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新型コロナ対策 症例Scope

オンライン初診の制度化に向けた大枠固める、2021年秋の指針改定に向けて詳細をさらに詰める―オンライン診療指針見直し検討会

2021.7.1.(木)

初診からのオンライン診療(オンライン初診)の恒久化・制度化に向けて、今後「必要となる医学的情報とはどのようなものが該当するか」「かかりつけ患者でない場合などにもオンライン初診を可能とするための『オンラインでの事前のやりとり』をどのようなものとするか」「オンライン初診に適さない症状・医薬品等情報をどう整理するか」などを詰めていく―。

6月30日に開催された「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(以下、検討会)で、こういった考え方をまとめました。今秋(2021年秋)の「オンライン診療指針」(オンライン診療の適切な実施に関する指針)見直しに向けて、さらに詳細を詰めていきます。

もっとも、現在は「初診を含めたオンライン・電話診療を大幅に認める」という新型コロナウイルス感染症に伴う臨時特例措置が動いており、今秋(2021年秋)からの改正指針に基づく「恒久化されたオンライン初診」などが「いつから稼働するか」は不透明です。

6月30日に開催された「第16回 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」

今秋(2021年秋)のオンライン診療指針見直しに向け、オンライン初診の大枠固まる

菅義偉内閣総理大臣を筆頭に、平井卓也IT担当大臣、河野太郎行革担当大臣、田村憲久厚生労働大臣が「安全性と信頼性をベースに、初診も含めオンライン診療は原則解禁する」(恒久化)方針を決定しています。検討会では、この方針を踏まえて「初診を含めたオンライン診療」を適切に実施するための枠組みを議論しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

これまでに、例えば▼オンライン診療では得られる情報が対面診療に比べて格段に少なく、誤診や見落としのリスクが得られるため「対象患者や症状」などを限定する必要があるのではないか▼「オンライン診療では対応できない」ことが判明した場合に、速やかに対面診療に移行できるような体制を整えておく必要があるのではないか▼「オンライン診療に適した症状化」などを事前にトリアージする仕組みを設ける必要があるのではないか▼オンライン診療で適切に症状把握等ができるよう、実施医師には適切な研修受講を義務づけるべきではないか―などの論点について議論が重ねられてきています。

6月30日の検討会では、これまでの議論を整理し、また6月18日に閣議決定された規制改革実施計画に盛り込まれた「かかりつけ医がおらず、医学的情報も持たない患者に対し、初回オンライン診療に先立つ『別のオンラインでのやりとり』で得られた情報を活用したオンライン初診も認める」旨の内容(関連記事はこちら)を踏まえて、次の論点を詰めていく方向が固められました。

▽初診からのオンライン診療に必要な医学的情報の詳細
▽規制改革実施計画における「オンラインでのやりとり」の取扱いの詳細や実際の運用
▽初診からのオンライン診療に適さない症状・医薬品等情報
▽医師・患者の同意や、不適切な事例への対応など「安全性・信頼性の担保」

初診からのオンライン診療の恒久化・制度化」に向けて、「原則はかかりつけの医師・医療機関で実施する」「医学的情報などが得られる場合にもオンラインでも初診を認める」(もちろん詳細は今後詰める)という大枠が正式に固められたと言えるでしょう。

検討会で上記論点についてすでに議論が始まっており、これまでの議論も含めてポイントをピックアップしてみましょう。

まず、「初診からのオンライン診療に必要な医学的情報の詳細」については、「診療録」や「診療情報提供書」「地域医療ネットワーク」「健康診断結果」などが例示されていますが、最終的には「医師と患者の合意の中で決めるべき」との方向が固まってきています(関連記事はこちら)。この点、今村聡構成員(日本医師会副会長)は「『●●の情報があればオンライン初診を行って良い』と無条件に認めるのではなく、医師が『当該情報で初診からのオンライン診療を行ってよいか』を判断するプロセスが必要であり、重要である」と指摘しています。「安全・安心」を担保するためにも非常に重要な指摘と言えるでしょう。

オンライン初診前の「オンラインでのやり取り」、位置づけをどう考えるか

また、規制改革実施計画に盛り込まれた、かかりつけ患者でなく、医学的情報もない患者に対して「別のオンラインでのやりとり」で医師が医学的情報を収集する仕組みについては、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)から、▼オンライン健康相談▼オンライン受診勧奨▼オンライン診療—の区分を明確にしたうえで議論すべきとの指摘がなされています。

規制改革実施計画に盛り込まれたのは、例えば、かかりつけ患者でなく、医学的情報提供もないAさんが、オンライン初診を希望したとして、事前に医師が「オンラインで既往歴や服用薬剤歴、現在の病状などを聴取する」などし「オンライン診療に適し、実施可能か、それとも直接の対面診療の方が望ましいか」を鑑別する仕組みと言えます。この「鑑別のためのオンラインのやりとり」は、詳細は今後の議論を待つ必要がありますが、少なくとも「オンライン診療」ではなく、「オンライン健康相談や受診勧奨に該当する」ことになるでしょう。なぜなら、これが「オンライン診療」に該当すれば、それは「オンライン初診」であり、「ハードルなくオンライン診療が可能になってしまう」ことを意味するからです。

しかし、オンライン健康相談・受診勧奨は「保険診療」には該当せず、患者が全額を負担する「自費診療」(自由診療)となります。これは患者サイドからすれば「費用が高くなる」ことを意味し、医療保険が適用可能な「オンライン診療」へ、なし崩し的に動く(つまりオンライン健康相談・受診勧奨の範疇を越え、オンライン診療を実施する)ことが危惧されるのです。

このため、山口構成員は「初回のやりとりが『オンライン診療』とならず、『オンライン健康相談・受診勧奨』にとどまるような仕掛け」「患者に『オンライン健康相談・受診勧奨』は自費診療であると明確に伝えるような仕掛け」を考えるべきと提案しました。

ただし、「オンライン診療」と「オンライン健康相談・受診勧奨」との区分けは、必ずしも明確ではありません。山口構成員は「医薬品の処方の有無」を一つの目安として例示しましたが、大橋博樹構成員(多摩ファミリークリニック院長)や黒木春郎構成員(医療法人社団嗣業の会理事長)、大石佳能子構成員(株式会社メディヴァ代表取締役社長)らは「医薬品処方のない診療もある。対面診療でも医薬品処方をせず、指導のみで終わるケースもある」と指摘しています。

両者の区分け、より具体的には「オンライン初診に向けた『初回のやりとり』で、どういった聞き取りなどを行うべきなのか、何をしてはいけないのか」などを詰めていく際には、非常に難しい議論となることが予想されます。

医学会連合の提言をベースに「オンライン初診にふさわしい症状」などのリスト化を進める

一方、「初診からのオンライン診療に適さない症状・医薬品等情報」に関しては、日本医学会連合がまとめた「オンライン診療の初診に関する提⾔」(2021年6月1日版)をベースに検討していく方向が確認されています(関連記事はこちら)。

「臨床現場では、個別の状況に応じて患者の希望を勘案した上で担当医が下す判断が優先される」ことを前提に、(1)オンライン診療の初診に適さない症状(医師⽤)(2)オンライン診療の初診に適さない症状(患者・予約受付応対⽤)(3)オンライン診療の初診での投与について⼗分な検討が必要な薬剤—を整理したものです。医学会連合では、「オンラインからの初診が適する症状」としてポジティブリスト方式にするかも含めて議論を行い、提言のように「適さない症状」を明示するネガティブリスト方式を採用しました。今後、オンライン診療が進む中で「バージョンアップ」が図られていきます。高倉弘喜構成員(国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授)は「提言をもとに、オンライン初診で使用可能や医薬品、使用不可能な医薬品などを検討する場を設けるべき」と提案しました。

関連して津川友介構成員(カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教授)は、「日本では、オンライン診療で得られる情報が限られていることから、『念のため』の過剰診療が生じる可能性があり、フォローアップしていく必要がある」と指摘。対面診療でも問題となっていますが、「いわゆる風邪」症状に対して、効果のない「抗生剤」を投与するようなケースです。

この点、提言作成に携わった南学正臣構成員(東京大学大学院医学系研究科腎臓・内分泌内科学教授/日本医学会)は「提言では、臨床現場の意見を踏まえて、抗生剤処方をオンライン初診では『慎重に検討すべき』との扱いとしており、過剰診療を防ぐための配慮を行っている」ことを紹介しています。



一方、「安全性・信頼性の担保」に関しては、「不適切なオンライン診療が行われていないかパトロールする事業が必要ではないか」(鈴木美穂構成員:認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事)、「患者サイドに、どういったケースがオンライン診療にマッチしており、オンライン診療を受ける際にはどういった点に注意すべきかなどを情報提供していく必要があるのではないか」(山口構成員)といった意見が目立ちました。



今後、これらの論点を中心に細部を詰め、今秋(2021年秋)にもオンライン診療指針の改訂が行われ、「初診からのオンライン診療」が恒久化・制度化されます。それを踏まえた中央社会保険医療協議会において「オンライン診療の報酬」に関する議論が行われます(少なくとも、臨時特例を除き、現時点では「初診」でオンライン診療を行うことはできず、点数も設定されていない)。

ただし、現在は、新型コロナウイルス感染症に伴う臨時特例措置として、非常に広範な「オンライン・電話による初診」が認められており、「臨時特例から恒久化・制度化にどういったタイミングで移行するのか」などを別途検討する必要があるでしょう。「今秋(2021年秋)から直ちに恒久化・制度化されたオンライン初診が実施される」わけではなさそうです。

高機能病院におけるオンライン診療の在り方をどう考えるべきか

また、規制改革実施計画では「オンライン診療の推進」に向けた基本指針を策定せよとの提言も行われています。検討会での所掌よりも「広範なテーマ」であり、どういった場でどういった議論を行うのかは今後整理されます(検討会は「オンライン診療指針」を見直す場である)が、6月30日の検討会でも、「オンライン診療の推進」を目指すべきとの意見が出ています。

とりわけ注目されたのが「大病院でのオンライン診療の在り方」に関する議論です。この点、南学構成員は「東京大学病院でも、慢性期の安定患者に対してオンライン診療の実施に取り組んでいく」考えを表明。ただし「診療報酬の設定が低く、オンライン診療の実施は赤字になってしまう」ともコメントしています。

この東大病院の動きには、複数の委員から「画期的である」との意見も出ましたが、大道道大構成員(日本病院会副会長)は「病院が実施するオンライン診療を考えたとき、例えば『脳性麻痺の小児難病患者の遠隔指導』や『クリニックでは難しい、地域の独居老人の見守り』などが思い浮かぶ」と述べ、「高機能病院で実施すベきオンライン診療の在り方」を冷静に議論していく必要性を指摘しました。

例えば、「状態が安定した慢性期疾患の患者」については、そもそも大学病院で診療すべきなのか、地域のクリニックや中小病院に逆紹介していくべきではないのか、という論点があるでしょう。「指定難病」や「癲癇」など、専門的な医療が必要な患者に、いわゆるD to P with D形態で行うオンライン診療もあります(これらは診療報酬での評価もなされている)。「診療所が行う形態のオンライン診療」を、大学病院で進めるべきなのか、という点については、医療提供体制全体を踏まえた検討が必要でしょう。この点、南学構成員も「将来的には臓器移植後患者の管理や、パーキンソン病患者のモーションキャプチャーを活用した高度医療にオンライン診療を活用していきたい」との構想を明らかにしています。

また大石構成員も、「オンライン診療が真価を発揮するのは、僻地への遠隔診療や、在宅医療などの場である。クリニックで現在行われているレベルのオンライン診療の事例を積み重ねても、そうした場面での発展につながっていかないのではないか。国よる支援なども検討していく必要がある」と提案しています。

医療提供体制には、▼入院▼外来▼在宅—があるとされ、4番目の形態として「オンライン診療」が位置づけられる見込みです。入院・外来については「機能分化」論議が進んでおり、「オンライン診療」に関しても、当初から機能分化を見据えた議論が必要となってくるかもしれません。



厚生労働省医政局の迫井正深局長は「医療にはチャレンジが必要であるが、行き過ぎれば弊害もある。安全・安心とチャレンジ(規制改革)とのバランスをとってオンライン診療を推進していく必要がある」との考えを強調しています。

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