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オンライン診療指針を改正し「初診からのオンライン診療」を制度化、かかりつけの医師によることが原則―厚労省

2022.2.4.(金)

厚生労働省は1月28日に、改正「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、オンライン診療指針)を公表するとともに、 Q&A を更新しました。

「初診からのオンライン診療」を制度化するものですが、対面診療に比べて得られる情報が少なく、医療行為の実施もかなわないことから「かかりつけの医師」によることが原則となります。

診療情報提供などがある場合、診療前のオンライン相談を行う場合にも例外的に実施可

菅義偉前内閣において「安全性と信頼性をベースに、初診も含めオンライン診療は原則解禁する」(恒久化)方針が決まったことを受け、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(以下、検討会)で、オンライン診療指針の見直し案が議論されました(関連記事はこちら)。その後に国民から寄せられたパブリックコメントを踏まえ、今般、改訂オンライン診療指針が確定したものです。

オンライン診療指針の主な見直し点は、「初診からのオンライン診療」(以下、オンライン初診)を認めている点です。患者の医学的情報が十分に得られない中で、安全かつ有効にオンライン診療を実施するために次のような要件を設けるものです。

▽オンライン初診は、原則として「かかりつけの医師」が行う

▽ただし、患者の情報が過去の診療録や診療情報提供書などから一定程度得られている場合にもオンライン初診を可能とする(情報について「Personal Health Record」を明示したところが、検討会で示された「見直し案」からの変更点と言える)

▽さらに、リアルタイムのオンラインでの事前のやりとり【診療前相談】によって「オンライン診療が実施可能と医師、患者双方が合意した」(医師は十分な情報が得られたと確認した)場合にも、オンライン初診を可能とする(【診療前相談】の内容は診療録に記載し、オンライン診療に至らなくとも記録保存が望ましい)

▽オンライン初診に当たっては、医学会の作成する「オンライン初診が可能な傷病」「オンライン診療で処方できる薬剤」に関するガイドラインに沿うことが求められる(関連記事はこちら)。また現在のオンライン診療や電話診療にかかるコロナ臨時特例と同様に▼麻薬・向精神薬の処方▼ 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる、いわゆるハイリスク薬)の処方▼基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方—は行えないこととが、改訂オンライン診療指針にも明示されます(関連記事はこちら

▽オンライン診療と対面診療との組み合わせが原則であり、例えば、患者に「かかりつけの医師」がいない場合(例えば【診療前相談】を踏まえてオンライン初診を実施する場合など)には、オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近隣にある「対面診療が可能な医療機関」を紹介することも想定される



ただし、オンライン診療指針だけでは分かりにくい部分、例えば「かかりつけの医師」とは誰かなど、があります。そこで厚労省はQ&Aも更新しており、そこでは次のような解釈が示されています。

▽「かかりつけの医師」は、「日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」で、最後の診療からの期間や定期的な受診の有無によって一律に制限するものではない

▽【診療前相談】を効果的かつ効率的に行うため、先立ってメール、チャットその他で情報収集することは問題ないが、その場合でも「映像を用いたリアルタイムでのやりとり」が必要である

▽オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせて行うことが基本だが、「オンライン診療のみで必要な情報が得られ、結果として、対面診療を行うことなく治療が完結する」ことはあり得る



個別ケースをすべて把握することは難しく、Q&Aでも「一般的、抽象的な表現」にとどまっています。今後、事例を積み重ねる中で詳細な姿が明確になっていくことでしょう。

なお、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中ではオンライン診療や電話診療にかかるコロナ臨時特例が優先され、改訂オンライン診療指針が適用されるのは、もう少し先になりそうです。



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