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病床機能報告 病床ユニット

フレイル度の高い高齢者は就業中の転倒・転落事故が多い!フレイル度を踏まえた業務選択などが重要!―都健康長寿医療センター研究所

2023.4.18.(火)

フレイル度が高い高齢者では、就業中の転倒・転落などの事故が多いが、そうでない事故はフレイル度との関連は低い。高齢者の就業においては「フレイル度に応じた就業内容の選択」が重要である—。

また、フレイル度の高い高齢者ほど「安全就業について学ぶ機会」を活用できていない。フレイル度の高い高齢就労者に対しては、「安全就業に向けてより積極的に働きかける」ことが重要である—。

東京都健康長寿医療センター研究所が4月14日に公表した「シルバー人材センターに所属する高齢者の事故の実態とその予防のための取り組み」の中で、こうした点が明らかになりました(研究所のサイトはこちら)。

フレイル度の高い高齢就労者への、より積極的な「安全就業に向けた働きかけ」も重要

今年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。このため介護ニーズは今後急速に増大していきます。

一方、支え手となる現役世代人口は、2025年度から2040年度にかけて急速に減少していきます。

少なくなる一方の支え手(サービス提供者、費用負担者)で、増大する一方の高齢者(サービス利用者、受益者)を支えなければならず、「どのように効率的に要介護者を支えていくか」(サービス提供の生産性向上、介護費の負担の公平化など)とともに、「要介護者の発生をいかに防止していくか、要介護状態になったとしても、いかに重度化を防止するか」が重要になっています。

介護予防・重度化防止に向けて、「高齢になっても可能な範囲で就労する」ことの重要性が指摘されています。就労し、責任感を持って働くことにより、肉体的・精神的な健康が維持できるとともに、経済的なメリットも享受できます。

また「人口が減少する」中では、労働力の確保に向けて「高齢になっても可能な範囲で就労してもらう」ことが欠かせなくなってきます。

こうした点を背景に高齢の就労者数が増加していますが、「就業中の事故」も増えてきています。例えば転倒や転落などの事故は「骨折」などにつながり、「寝たきり」→「要介護状態」という悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。これでは本末転倒であり、「高齢就労者の安全確保」が今後、非常に重要なテーマとなります。

今般、都健康長寿医療センター研究所:藤原佳典副所長らの研究グループは、東京都内のシルバー人材センター登録者7265名を対象に、▼就労中の事故▼フレイルの有無▼安全就労研修等の受講の有無—の関係を調査。そこから次のような状況が明らかになりました。

(1)対象者の9.4%が、過去1年間に事故を経験していた

(2)「フレイルでない」者に比べて、「プレフレイル(フレイル予備群)」者では1.57倍、「フレイルである」者では2.31倍、事故を多く経験していた

(2-2)「転倒・転落・墜落」に関する事故に限ると、「フレイルでない」者に比べて、「プレフレイル」者では1.92倍、「フレイルである」者では3.10倍多く経験していた

(2-3)「それ以外の事故」(例:物損事故)については、「フレイルでない」者に比べて、「プレフレイル」者では1.13倍(有意差なし)、「フレイルである」者では1.61倍多く経験していた

フレイル度が高まるにつれて、就労中の事故、とりわけ転倒等に関する事故が多くなる



(3)「フレイルではない」者に比べて、「プレフレイル」者・「フレイルである者」は、安全就労について学ぶ機会(安全就労に関する研修会への参加、安全就労に関するチラシの確認など)を活用していない

フレイル度の高い者ほど安全就業について学ぶ機会を活用できていない



研究グループは、これらの結果を踏まえて▼フレイル度が高まるにつれて就労中の事故が多くなるが、そうした事故を起こしやすい層ほど安全就業について学ぶ機会を活用できていない▼ただし、転倒や転落の可能性が低い就業内容であれば、フレイル度の高い者でも比較的事故を起こしにくい―と分析。

ここからは、高齢者の就業においては「フレイル度に応じた就業内容を選択する」(フレイル度が高い場合には、転倒・転落リスクの少ない業務を選択する)ことや、「フレイル度の高い人に対して、安全就業に向けてより積極的に働きかける」ことが重要であると考えられます。

こうした「安全な就業」を実現することで、「肉体的・精神的な健康の維持」→「要介護状態に陥ることの防止」に繋がっていきます。また転倒・転落の防止が「骨折などの防止」→「要介護状態の防止」にダイレクトにつながることは述べるまでもないでしょう。



なお、フレイルは「加齢に伴い抵抗力が弱まり、体力が低下した状態」や「自立喪失(介護が必要な状態や死亡)のリスクが高まっている状態」などと定義され、自立→フレイル→要介護状態と進んでいきます。

しかし、適切な支援・介入により「フレイル→自立」と回復することも可能です。このため「フレイルの予防・改善を目的とした介入プログラム」が極めて重要であり、さらに今般の研究からは「就労継続」にも大きく関係することが明らかになりました。「少子高齢社会にどう対応するか」というテーマに関するさらなる研究が進むことが期待されます。



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