Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「学校やデイサービス事業所」等でもオンライン診療を受けられるが、事業所自らオンライン診療を行う場合は診療所開設が必要—厚労省

2024.1.24.(水)

厚生労働省は1月17日に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、オンライン診療指針)に関する新たなQ&Aを公表しました(厚労省サイトはこちら)。

今般のQ&Aでは、新たに「通所介護(デイサービス)事業所や学校など、職場以外の場所でのオンライン診療受診」に関する考え方を示しています。

診療の補助行為などを行う場合にも、診療所の開設が必要

オンライン診療を受診可能な場所(患者の居場所)は、患者のプライバシ―が確保され、確実な本人確認が行える場所として、▼医療提供施設▼居宅等—のいずれかとされています。居宅等の「等」としては「居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所で、療養生活を営むことができる場所」とされ、例えば「患者の職場」(例えば人のいない会議室を利用するなど)が含まれることが明らかにされています。

この考えに沿って「学校やデイサービス(通所介護)事業所など」も、「居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所で、療養生活を営むことができる場所」と考えることができ、オンライン診療を受診可能であるケースが出てくるとの考えを厚労省が示しています(関連記事はこちら)。

なお、規制改革推進会議は「学校やデイサービス(通所介護)事業所などにおいて、『特定多数人』に対し、クリニックを開設することなしに、医師がオンライン診療を行える」ようにすべきではないか、との要請がなされていました。例えば「突発的な体調不良や慢性疾患の通院代替としてのオンライン受診が想定される。デイサービス利用者へのオンライン診療について、診療所開設を求めず、(上述の)『居宅等』の中で実施可能とせよ」との要請内容です。

これに対し昨年(2023年)11月29日に開催された社会保障審議会・医療部会では▼突発的な体調不良がデイサービス利用者に生じた場合、通常であれば連携医療機関に連れていったり、救急搬送を要請したりする▼慢性疾患を抱える利用者であれば、かかりつけの医療機関があろうから、そこの受診を促すべきである—とし、「特定多数人にオンライン診療を行う場合には診療所開設を行う必要があり、診療所開設をせずに特定多数人へオンライン診療を行わせろするのは無理筋な要請内容である」との見解で一致しました(関連記事はこちら)。

その後、医療部会意見をベースに厚生労働省と規制改革推進会議で意見調整が進められ、今般、Q&Aで「通所介護(デイサービス)事業所や学校など、職場以外の場所でのオンライン診療受診」に関する考え方が次のように整理されたものです。概略は、▼通所介護(デイサービス)事業所や学校などでも、オンライン診療を受けられるケースがある▼通所介護(デイサービス)事業所や学校などで特定多数人にオンライン診療を行う場合には診療所開設が必要である—との上記見解を明確化するもの、と言えます。

【オンライン診療を受ける場の基本的な考え方】
▽オンライン診療は原則として「個々の患者の居宅において受診する」ものである

▽個々の患者の日常生活等の事情によって異なるが、「居宅と同様に、療養生活を営む場所」として、「患者が長時間にわたり滞在する場合」には、オンライン診療を受診できる場所として認められる

【職場で受けるオンライン診療】
▽「職場」は、「居宅と同様に長時間にわたり滞在する場所」であることを踏まえ、「療養生活を営むことができる場所として、個々の患者の所在と認められる場合がある」ことを示している

【学校や通所介護(デイサービス)事業所などで受けるオンライン診療】
▽「学校」や「通所介護(デイサービス)事業所」などについても、個々の患者の日常生活等の事情によって異なるが「居宅と同様、療養生活を営む場所として、患者が長時間にわたり滞在する場合」には、個々の患者の所在として認められる

▼オンライン診療により医師が行う診療行為については「原則、当該医師が責任を負う」ため、医師は「患者の所在が適切な場所であるか」を確認する必要がある

▼学校の敷地内でオンライン診療を受診する場合は、学校等の許可を得た上で、本来の業務運営に支障のない範囲で「患者本人・保護者が、その責任においてオンライン診療を受ける」ものであり、「患者の急変時などの緊急時の体制確保等を含めて、オンライン診療については原則、当該医師が責任を負う」ことに留意が必要である

【学校や通所介護(デイサービス)事業所などで行うオンライン診療の留意点】
▽この場合の医療提供は、居宅同様、医師と患者の1対1関係の中で提供されるものであるため、利用者が誤解しないよう「通所介護事業所等が、自ら医療提供を行わない」こと、「診療所に課せられる医療法の各種規制(清潔保持、医療事故の報告、報告徴収等)の対象とならない」ことを利用者に説明した上で、事業所等の利用者等に対する周知や事業所等の職員による機器操作のサポートが可能である

▼「通所介護(デイサービス)事業所等が自ら医療提供を行う」、「オンライン診療時に、診療の補助行為や通常医療機関に置いているような医療機器の使用等がなされる」場合などは「診療所の開設」が必要である
→例えば、オンライン診療時に「看護師等が採血等をする」場合は、診療の補助行為に含まれる

▼「高齢者のニーズに対応するサービス」(介護保険「外」サービス)として、通所介護提供時間「外」に、通所介護の職員が職場のICT機器を使用するなどして「利用者のオンライン診療をサポートする」場合には、利用者からの同意を取得し、介護保険サービスと明確に区分した上で「保険『外』サービスとして実施する」ことが可能である
▼事後的な検証の観点から、「通所介護(デイサービス)事業所等で診療所を開設せず利用者に対してオンライン診療を受診する場の提供」に関する実施状況調査を予定している



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

無理筋な「オンライン診療の拡大」要請に社保審・医療部会委員が冷静に反論、医療提供の根幹は「安全」である
初診からの向精神薬処方など「不適切なオンライン診療」を是正、D to Pwith N・D to Pwith Dを適切に推進—中医協総会(2)
へき地等で医療アクセス確保のための「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」、詳細を明確化—厚労省
一部に「歪んだオンライン診療」、適切な形でのオンライン診療推進を目指せ!D to P with Nの量・質の拡充を―入院・外来医療分科会(4)
安全・適正にオンライン診療等を推進するための基本方針、対面診療との適切な組み合わせが重要—厚労省
患者・一般国民の多くはオンライン診療よりも対面診療を希望、かかりつけ医機能評価する診療報酬の取得は低調―入院・外来医療分科会(5)
オンライン診療「推進基本方針」を近く取りまとめ!都市部で「オンライン診療のためのクリニック」認めるか?—社保審・医療部会(1)
へき地等での医療確保に向け、「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」を特例的に認める—厚労省
オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!―厚労省
オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!―厚労省
糖尿病治療薬を「ダイエット薬」等として処方する不適切なオンライン診療が散見、指針を見直し、国民にも周知を—社保審・医療部会(2)
「かかりつけ医機能」持つ医療機関の情報を国民に分かりやすく提示し、地域で機能充実論議を進める—社保審・医療部会(1)

通所介護事業所等でオンライン診療を受けられないか、有料老人ホームの人員配置緩和ができないか―規制改革推進会議

オンライン診療指針を改正し「初診からのオンライン診療」を制度化、かかりつけの医師によることが原則―厚労省
オンライン診療前に医学的情報把握する「オンライン相談」、医師がリアルタイムで診療と別に実施を―オンライン診療指針見直し検討会
電話・オンライン診療のコロナ特例、実施件数は横ばいから微減で適正実施が進む―オンライン診療指針見直し検討会(2)
完全初診患者へのオンライン診療、どういった仕組みで安全性など担保し、費用負担はどうすべきか―オンライン診療指針見直し検討会(1)
オンライン初診の制度化に向けた大枠固める、2021年秋の指針改定に向けて詳細をさらに詰める―オンライン診療指針見直し検討会
診療情報提供等ない初診患者、「事前のオンライン相談等で情報把握」しオンライン診療可能とせよ―規制改革実施計画

オンライン初診が適さない症状などを整理、「問診と動画のみで診断確定できる疾患」はほぼない―日本医学会連合

電話・オンライン診療の件数横ばい、不適切処方を繰り返す医療機関と新規医療機関が混在—オンライン診療指針見直し検討会(2)
「オンライン初診」の前提となる医学的情報把握、「医師の裁量」認めるべきでは―オンライン診療指針見直し検討会(1)
電話・オンライン診療、不適切事例は一部あるが減少傾向、臨時特例措置を当面「継続」―オンライン診療指針見直し検討会
オンライン診療予約から受診までの数時間で重篤化する危険も、事前トリアージを実施しては―オンライン診療指針見直し検討会
完全初診でも、予防接種や健診で患者情報を把握できればオンライン初診を認めて良いか―オンライン診療指針見直し検討会
初診含めたオンライン診療の恒久化論議開始、「完全初診」除外せよとの意見多数―オンライン診療指針見直し検討会(1)
初診からのオンライン診療解禁方針をトップダウンで決定、ただし電話初診は認めず—厚労省
2020年度の医療機関立入検査、オンライン診療や電話等診療が適正に実施されているかを重視―厚労省
完全初診患者への電話等診療、「ハイリスク薬の投与禁止」「処方日数7日まで」等のルールを遵守せよ―厚労省
「電話での湿疹治療」や「発熱患者に対面受診勧奨をしない」など、電話・オンライン診療の拡大に課題も浮上―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ対策、臨時特例的に電話等での初診を認め、214点に設定―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省