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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

DPC病院や地域医療支援病院など、多くの機能で「在院日数短縮に新患獲得が追いつかず」―厚労省

2017.1.31.(火)

 病院の機能別に2015年度の1日当たり医療費をみると、医科入院では▼特定機能病院7万353円▼地域医療支援病院5万9634円▼DPC対象病院5万6018円▼療養病床のみの病院2万1477円―、医科入院外では▼特定機能病院2万3276円▼地域医療支援病院1万9029円▼DPC対象病院1万7738円▼療養病床のみの病院7380円―などとなっている―。

 こういった状況が、厚生労働省が24日に公表した2015年度の「病院機能別制度別医療費等の状況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちらこちら)。ほとんどの機能において、平均在院日数の短縮に新患獲得が追いついていない状況もうかがえます。

1日当たり入院単価、特定機能病院で7万353円、地域医療支援病院で5万9634円

 これは病院の機能別に医療費の内訳を詳しく分析したもので、どの医療保険制度に加入する人が、どの機能病院にどれだけかかり、どれだけの医療費がかかっているのかなどが分かります。病院経営的には「どういった患者を積極的に受け入れれば、収益を向上することができるのか」といった視点で眺めることができるでしょう。

 まず病院機能別の1日当たり医療費(単価)を見ると、医科入院では▼特定機能病院7万353円▼地域医療支援病院5万9634円▼DPC対象病院5万6018円▼療養病床のみの病院2万1477円―などとなっています。また、機能に関わらず「未就学児」で医療費が高く(特定機能病院では8万5595円、地域医療支援病院では7万629円、DPC病院では7万451円)、逆に75歳以上の高齢者(特定機能病院では6万7962円、地域医療支援病院では5万4440円、DPC病院では4万9367円)などでは医療費が小さいことが分かります。

 また医科入院外では、▼特定機能病院2万3276円▼地域医療支援病院1万9029円▼DPC対象病院1万7738円▼療養病床のみの病院7380円―などという状況です。入院と異なり、未就学児では医療費が小さく(特定機能病院で1万6894円、地域医療支援病院で1万3507円、DPC病院で1万1636円)、国民健康保険の加入者で医療費が高い(特定機能病院で2万5018円、地域医療支援病院で2万502円、DPC病院で1万9259円)状況です。診療報酬の支払方式(包括か、出来高か)なども勘案した、さらなる詳しい分析が期待されます。

1日当たり医療費は病院の機能によってもちろん異なるが、同じ機能であっても患者の属性(どの医療保険に加入しているか)で特徴がある

1日当たり医療費は病院の機能によってもちろん異なるが、同じ機能であっても患者の属性(どの医療保険に加入しているか)で特徴がある

平均在院日数、国保加入者は被用者保険加入者よりも長い傾向

 次に、平均在院日数を見てみると、▼特定機能病院16.7日▼地域医療支援病院15.4日▼DPC対象病院16.8日▼療養病床のみの病院178.0日―などとなっています。未就学児では在院日数が短い傾向(地域医療支援病院では8.7日、DPC病院では9.2日)にありますが、特定機能病院では重篤な症例などが多く15.1日と比較的長めです。逆に在院日数が長いのは75歳以上の高齢者(特定機能病院で17.8日、地域医療支援病院で19.4日、DPC病院で21.9日)。また70歳未満でも、国保加入者は被用者保険加入者に比べて在院日数が長い傾向にあります。

 平均在院日数は、ほとんどすべての病院機能、加入する医療保険制度で短縮しており、特に特定機能病院(前年度に比べて2.9%短縮)、地域医療支援病院(同2.7%短縮)、DPC病院(同2.4%短縮)という具合に、もっぱら急性期医療の提供が期待される病院で短縮傾向が強くなっています。

いずれの機能であっても新規入院患者数が増加している一方で、平均在院日数が短縮し、結果として1入院あたり医療費は減少する傾向にある

いずれの機能であっても新規入院患者数が増加している一方で、平均在院日数が短縮し、結果として1入院あたり医療費は減少する傾向にある

稼働率はもっぱら低下傾向、在院日数短縮に新患獲得が追いつかず

 一方で病床の稼働率を見てみると、特定機能病院では「2013年度:82.2%→14年度:82.0%→15年度:82.8%」と維持、あるいは若干の上昇傾向を見せていますが、地域医療支援病院(2013年度:81.9%→14年度:81.4%→15年度:81.2%)やDPC病院(2013年度:80.3%→14年度:80.0%→15年度:80.3%)をはじめ、多くの病院機能で稼働率は減少傾向あるいは維持となっています。

ほとんどの機能において病床稼働率は減少傾向にある

ほとんどの機能において病床稼働率は減少傾向にある

 ただし、新規入院件数の伸び率は、ほとんどの機能でプラス(とくに地域医療支援病院では前年度比7.5%増、DPC病院でも3.1%増)となっており、「在院日数の短縮に新患獲得が追いついていない」状況が見て取れます。今後は、より地域のニーズにマッチした機能への転換(例えば急性期ニーズが減少し、回復期ニーズが増加している地域では、回復期への機能転換が必要になる)と連携の推進、さらにはダウンサイジングも重要検討項目に位置付ける必要があるのではないでしょうか(関連記事はこちらこちらこちら)。

【更新履歴】

 本文中、DPC対象病院の1日当たり入院医療費を5万9634円としておりましたが、正しくは5万6018円です。お詫びして、訂正いたします。本文は修正済です。

   
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