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日病協が2018年度改定で第1弾の総論的要望、第2弾要望に当たっては事前に厚労省と協議も

2017.5.9.(火)

 日本病院団体協議会の原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)が9日、厚生労働省保険局の鈴木康裕局長に宛てて、2018年度の診療報酬改定に関する第1弾の要望事項を提出しました(関連記事はこちら)。

5月9日、日病協の原澤茂議長が、2018年度診療報酬改定に関する要望を厚労省に提出した後、省内で記者会見に臨んだ

5月9日、日病協の原澤茂議長が、2018年度診療報酬改定に関する要望を厚労省に提出した後、省内で記者会見に臨んだ

 

 今回の要望は総論的なものですが、日病協では、この9-10月にもより個別項目に踏み込んだ第2弾要望を行う予定で、鈴木局長の代理として対応した厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「要望をいただく前に、何度か協議を行いたい」との見解を示したとのことです。より医療現場の意向を踏まえた改定内容になることが予想されます。

2018年度に「大きな改定」を行えば、地域医療への影響は甚大

 日本病院団体協議会(日病協)は、全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される協議会で、主に診療報酬に関する要望活動を行うための協議を行っています。

 要望提出後に記者会見に臨んだ原澤議長は、「控除対象外消費税(特別の診療報酬プラス改定でも賄えない消費税負担、いわゆる損税)と人件費高騰で病院経営は苦しい」状況にあるものの、全国一律の診療報酬について「大きな改定」を行うことは、地域医療に大きな影響与えてしまうため、「慎重に対応すべき」との考えを強調。さらに「地域医療構想に向けて、各病院がどういう立ち位置で経営・運営方針をもつべきか、長期展望が立てられないでいる。『2025年・2035年に至る2018年度診療報酬改定』と考えれば、急激な変化は避けるべきではないのか」との考えも示しています。

 これに対し迫井医療課長も、「長い目で見た日本の医療の在り方を国民に示す必要があり、これをベースに診療報酬改定を考えていく必要がある。日病協の意見を受け止め、中央社会保険医療協議会で議論していくことになる」旨の考えを示したことが原澤議長から報告されました。

 また日病協では、この9-10月にも具体的な第2弾要望を厚労省に提出する考えですが、迫井医療課長から「要望をいただく前に、数回意見交換をしたい」との申し出があったといいます。原澤議長は「いきなり要望するのではなく、要望項目・内容が具体的になってきた段階で厚労省と数回、意見交換を行い、要望内容を詰めていきたい」との考えを述べています。日病協側としては要望の真意を厚労省に伝えることができ、厚労省としても現場の意向を的確に捉えることが可能になり、より現場の意向を踏まえた改定内容となることが予想されます。

患者の状態像や病棟の機能に応じた入院基本料、10-20年かけて検討を

 今回の第1弾要望は、これまでにお伝えしているとおり次の8項目です(関連記事はこちら)。

(1)入院基本料の評価基準の見直しと病棟群単位による届け出制度の改善(関連記事はこちらこちら

(2)急性期病床の重症度、医療・看護必要度の評価(内科系疾患の評価の充実)(関連記事はこちらこちらこちらこちら

(3)DPC/PDPS制度の見直し(関連記事はこちら

(4)医療療養病床の方向性の早期決定と、看護配置基準・医療区分の見直し(関連記事はこちら

(5)精神疾患特性を踏まえた在宅移行の在り方と高齢化対策について

(6)包括対象範囲の見直し

(7)診療報酬体系の簡素化

(8)医療のICT化推進の診療報酬上の評価

 このうち(1)の前半は、看護配置ではなく、▼患者の状態像▼病棟の機能—に応じて設定する入院基本料について「2018年度改定にこだわらず、十分な議論を尽くす」よう求めるものです。原澤議長は「日病協の実務者会議でも、学識者を招き数年にわたって議論してきたが結論がでない。同じ病名でも重症患者から軽症患者までさまざまで、患者の状態や重症度が、必ずしも看護の手間にリンクしているわけでもない。今後、10年、20年かけて新たな評価基準を見つける作業・研究を続けなければならず、病院団体も協力していく」との見解を改めて説き、「当面は看護配置に基づく入院基本料が適切との判断が続くのではないか」と見通しています。

 

 また(8)のICT化については、安倍晋三内閣総理大臣や塩崎恭久厚生労働大臣の提唱する「AIや最新のICT技術を活用した診療(遠隔診療など)」というよりも、今後、「医療・介護連携で必要不可欠となる電子カルテなど」の導入・維持・更新費用について診療報酬で評価すべきと要望しています。

 
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