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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

輸液中の四肢から採血すれば異常な検査値、治療の必要性は患者の状態を診て判断を―医療機能評価機構

2017.5.15.(月)

 「末梢静脈ラインから輸液中の四肢」から採血を行ったため、検査値に影響がでてしまった―。

 このような事例が、2013年1月から17年3月までに3件報告されていることが、日本医療機能評価機構の調べで明らかになりました(機構のサイトはこちら。機構では、輸液中の四肢から採血すると検査値に影響が出ることを院内に周知すると同時に、検査結果が異常値の場合、患者の状態をきちんとアセスメントし治療の必要性を判断するよう呼びかけています。

輸液中の四肢から採血すれば、検体に輸液が混入する可能性大

 日本医療機能評価機構は、注意すべき医療事故やヒヤリハット事例の内容をまとめた「医療安全情報」を毎月公表しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。15日に公表された「No.126」では「輸液中の四肢からの採血」がテーマとなりました。

 ある病院では、乳がん術後患者の採血を行う際に、「右上肢での採血・血圧測定は禁止」とされていたため、看護師が末梢静脈ラインから輸液中の左上肢から採血を行ってしまいました。検査部はその検体をもとに検査を実施したところ「血糖値が656mg/dLに上昇している」と判断し、別の看護師にその旨を報告しました。主治医はヒューマリンR10単位(インスリン製剤)を投与するよう指示しましたが、患者が「なぜ血糖が高くなるのか」との質問を受け、調べたところ、「輸液中の左上肢から採血していた」ことに気づいたといいます。

輸液を行っている四肢から採血し、異常値などとなった事例が報告されている。当該異常値に基づく治療は、有害事象を招く危険性が大きい

輸液を行っている四肢から採血し、異常値などとなった事例が報告されている。当該異常値に基づく治療は、有害事象を招く危険性が大きい

 

 また別の病院では、夜勤看護師が採血をする際、左上肢はPICCカテーテル(刺激性の抗癌剤や高カロリー輸液の投与に用いる)を設置していたため、末梢静脈ラインから輸液中の右上肢から採血を行いました。検査部で検査をしたところ「ナトリウム110mEq/L、カリウム7.8mEq/L」のパニック値であると判断。医師は再度の採血を指示しましたが、別の日勤看護師も右上肢(輸液中)から採血してしまいました。当然、再度の検体からもパニック値が検出されたため、医師は▼カルチコール(カルシウム補給剤)投与▼GI療法(グルコース・インスリン療法)―を実施しました。その後、医師が「輸液中の右上肢」から採血していたことに気づきましたが、看護師は両名ともに「輸液中の四肢で採血すると、検査値に影響が出る可能性がある」ことを知らなかったといいます。

 不適切な方法で、異常な検査値が検出された場合、その検査値に基づいた治療(薬剤の投与など)を行えば、重篤な医療事故に結びつく危険があります。上記の例でいえば、著しい低血糖を招く可能性があります。

 

 機構では、▼「輸液中の四肢から採血を行うと、検査値に影響する可能性がある」ことを院内に周知する▼検査結果が異常値の場合、患者の状態をアセスメントして治療の必要性を判断する―という基本的対策の徹底の必要性を指摘しています。

 
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