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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

費用対効果評価、10月までに試行導入の詳細、年内に制度化の骨子を固める—中医協・費用対効果評価専門部会

2017.8.24.(木)

 2018年度からの費用対効果評価の制度化(本格導入)に向けて、10月中に13品目を対象とした試行導入における「評価基準の設定方法」「価格調整の方法」を固める。それを受けて、年内(2017年内)に「制度化の骨子」をとりまとめる—。

23日に開催された中央社会保険医療協議会の費用対効果評価専門部会では、こういったスケジュールが了承されました。また、最大の懸案事項とも言える「支払い意思額」調査について、早期に実施に向けて次回以降、調査票案が厚生労働省から提示される見込みです。

8月23日に開催された、「第46回 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」

8月23日に開催された、「第46回 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」

「試行導入の詳細決定」「制度化の骨組み固め」の2段階で議論

「医療保険財政が厳しくなる中で、すべての医薬品・医療技術を保険収載する現在の仕組みを維持することが難しくなる。費用対効果を勘案した保険収載の仕組みを検討する必要があるのではないか」―。中央社会保険医療協議会の森田朗前会長(国立社会保障・人口問題研究所長)のこう発言を受け、「費用対効果評価」に関する議論が中医協の専門部会を中心に進められ、(1)13品目を対象に試行導入し、2018年度の薬価・材料価格改定時に再算定を行う(2)2018年度から制度化(本格導入)を行う—ことが決まっています(関連記事はこちら)。

大まかな仕組みを振り返ると、▼企業が費用・効果に関するデータを提出する▼中立的な立場の専門家がデータの検証などを行う▼費用と価格だけでは勘案できない倫理的・社会的影響などを勘案する▼当該医薬品・医療機器について費用対効果の「良し」「悪し」を判断し、保険償還価格に反映する—というものです。

試行導入、制度化のいずれにおいても大枠は変わりませんが、例えば「どういった項目で倫理的・社会的影響を考えるのか」「費用対効果の良し・悪しを判断する基準をどう設定するのか」「費用対効果評価の結果を、保険償還価格にどのように反映させるのか」といった具体的な仕組みについては結論が出ていません。

専門部会では7月26日の会合で「(1)の試行導入における価格調整方法などを優先的に検討し、(2)の制度化に向けた検討は別途、並行して行う」ことを確認(関連記事はこちら)。23日の専門部会では、厚労省保険局医療課の古元重和企画官から具体的な検討スケジュール案が示されました。

費用対効果評価の試行導入・制度化に向けた検討スケジュール

費用対効果評価の試行導入・制度化に向けた検討スケジュール

 
10月までに試行導入に関する評価基準(費用対効果の良し・悪しを判断する基準)や価格調整方法などの考え方をとりまとめ、その後、年内(2017年)に「制度化の骨子」を取りまとめることになります。なお、価格調整方法などは、薬価・保険医療材料価格の算定ルールを検討する薬価専門部会・保険医療材料専門部会と合同で議論することになりそうです。委員からの「議論が遅れ気味」との指摘を受け、古元企画官と厚労省保険局医療課の迫井正深課長はスピード感を持って議論する考えを強調しています。

支払い意思額の調査、健康状態を何パターンか設定して調べる方向

 ところで、費用対効果の良し・悪しを判断するための基準(評価基準)については、「日本国民が、新たな医療技術のためにいくらなら支払ってよいか」をベースに設定されます。この点、試行導入では▼過去の調査結果▼諸外国の状況—を踏まえて設定しますが、制度化(本格導入)では「新たな調査結果も踏まえて別途検討する」ことになっています。

 「新たな調査」は、国民が健康を確保するためにどの程度、公的医療保険から給付することを認めるか(支払い意思額)を調べるもので、当初は試行導入にも調査結果を反映させる予定でしたが、調査内容などについて委員間で意見のバラつきが大きく、「試行導入には時間的に間に合わないため、反映させない」ことが8月9日の前回会合で決まりました(関連記事はこちら)。

 どういった意見が出されていたのかを振り返ると、▼回答者には、医療保険制度について一定の知識が必要なのではないか▼他人が病気のケース(当初の厚労省案)と自分自身が病気のケースでは、回答内容が異なるのではないか▼「死が迫っている」(当初の厚労省案)という設定だけでは現実の状況を反映していないのではないか—といったところが目立ちます。23日の専門部会では、古元企画官から、こうした意見に対する「対応案」が報告されました。例えば「対面調査であり、調査者が回答者に医療保険制度の概要を説明する」「死が迫っているケースだけでなく、さまざまなケースを設定する」などです。

 支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「いくら議論をしても堂々巡りとなる。完全な調査内容ではないかもしれないが、継続して調査を行うことを踏まえて、今回は、厚労省案を了承し、速やかに調査を行うべきである」と要望しています。また同じく支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「新たな支払い意思額調査の結果をもとに、試行導入の事後検証を行ってはどうか」と提案しています。

これに対し診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「『他人が病気となり、それを治療するために公的医療保険制度からいくらまで支払ってよいか』という調査内容になりそうだ。どんどん複雑で難しくなる。調査者によって説明の仕方も変わってしまい、回答者の理解度も変わってしまうのではないか」と指摘、「試行結果を見てから調査内容を固めるべきではないか」と提案しています。

このように議論はまだ収束しておらず、今後、厚労省から示される具体的な調査票案をもとに検討していくことになります。

  
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