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重度者で訪問看護ニーズが高まり、かつ認知症患者が増加している―厚労省

2017.9.29.(金)

 訪問看護利用者の要介護度が上がるほど、利用頻度が高くなる。また重度者では認知症患者の割合が高くなる―。また、介護保険施設ごとに「退所者の行き先」に特徴があり、機能分担が進んでいることが再確認できる―。

 厚生労働省が9月28日に公表した2016年の「介護サービス施設・事業所調査」の概況から、こういった状況がわかりました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

定期巡回や看多機、増加しているが、実数ベースでは・・・

 この調査は介護サービスの提供体制、提供内容を把握し、基盤整備の課題などを明らかにすることを狙いとして毎年実施されています。

 事業所数・施設数の動向を見てみると、昨年からの増加が目立つのは▼看護小規模多機能型居宅介護(看多機、旧「複合型サービス」)の22.0%増▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護の19.3%増▼訪問看護ステーションの8.9%—など、逆に昨年に比べて減少が目立つのは▼通所介護(デイサービス)の46.9%減▼介護療養型医療施設の7.0%減▼訪問入浴介護の5.2%減―などです。ただし、通所介護については2015年度の介護報酬改定において「小規模事業所を地域密着型通所介護に移管する」旨の見直しが行われたことに伴う「見かけ上の減少」で、地域密着型通所介護を加味すると事業所数は増加しています。

 また地域包括ケアシステムの要と期待される「看多機」や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、伸び率は大きいものの、実数はまだまだ少なく、さらなる整備に期待が集まります。

看多機、定期巡回、訪問看護で事業所数増加が目立ち、通所介護、介護療養、訪問入浴介護で減少が目立つが、通所介護の減少は見かけ上のもの

看多機、定期巡回、訪問看護で事業所数増加が目立ち、通所介護、介護療養、訪問入浴介護で減少が目立つが、通所介護の減少は見かけ上のもの

重度者では訪問看護ニーズが高く、認知症患者も多い、認知症ケアのスキルアップを

 2016年調査では「訪問看護」に焦点を合わせた詳細な調査・分析が行われています。まず、「要介護度」と「利用者1人当たりの訪問回数(2016年9月の1か月)」との関係を見ると、▼要介護1:5.5回▼要介護2:5.9回▼要介護3:6.1回▼要介護4:6.7回▼要介護5:7.9回―となり、「要介護度が高いほど、頻回の訪問が必要である」ことが分かります。さらに、経年変化を見ると「特に要介護度の高い利用者において、訪問頻度が年々増加している」状況も伺えます。

訪問看護利用者の要介護度が上がるにつれ、1か月当たりの利用頻度(つまり訪問看護ニーズ)が高まる

訪問看護利用者の要介護度が上がるにつれ、1か月当たりの利用頻度(つまり訪問看護ニーズ)が高まる

重度の要介護者ほど、訪問看護の頻度(つまり訪問看護ニーズ)が年々高まっていることが分かる

重度の要介護者ほど、訪問看護の頻度(つまり訪問看護ニーズ)が年々高まっていることが分かる

 
 次に、介護保険の訪問看護利用者について「認知症」の状況を見てみると、「年齢が上がるにつれて、重度の認知症患者の割合が高まる」状況が見て取れ、要介護5では「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準、III以上」の割合が39.5%にのぼっています。日本看護協会が、認知症看護の分野で熟練した看護技術と知識を有していると認めた「認知症看護認定看護師」は2017年8月時点で1000名を超えていますが、「重度の要介護者で訪問看護ニーズが高まっている」こと、「重度の要介護者では認知症患者の割合が高い」ことを踏まえると、訪問看護に従事する看護師が、より積極的に「認知症看護認定看護師」資格を取得することが望まれていると言えそうです。
訪問看護利用者の要介護度が高まるにつれ、認知症患者の割合も高まる

訪問看護利用者の要介護度が高まるにつれ、認知症患者の割合も高まる

介護保険3施設で、「退所者の行き先」に特徴あり

 次に介護保険施設の状況を見てみましょう。

 ユニットケア(一部ユニット型を含む)の実施施設数が占める割合は、▼特別養護老人ホーム36.7%(前年より0.8ポイント増)▼介護老人保健施設10.5%(同0.2ポイント減)―となり、定員に占める割合は▼特養ホーム36.8%(同0.9ポイント増)▼老健施設6.6%(同0.1ポイント減)―という状況です。特養ホームでは微増、老健施設では微減となっており「足踏み状態」になっている可能性があります。

特養ホームではユニットケア実施割合が微増、老健施設では微減となった

特養ホームではユニットケア実施割合が微増、老健施設では微減となった

 
 また介護保険3施設別に入所者の要介護度を見てみると、▼介護療養型医療施設では要介護4が33.9%(同0.6ポイント増)、要介護5が53.6%(同1.1ポイント減)で、合計87.5%(同0.5ポイント減)▼特養ホーム(介護老人福祉施設)では要介護4が35.7%(同1.5ポイント増)、要介護5が32.9%%(同0.1ポイント減)で、合計68.6%(同0.6ポイント増)▼老健施設では要介護4が26.8%(同0.1ポイント減)、要介護5が18.7%(同0.7ポイント減)で、合計45.5%(同0.8ポイント減)―などとなっています。前年から大きな変化はありません。
特養ホーム、老健施設、介護療養のそれぞれで、入所者の要介護度の構成に特徴がある

特養ホーム、老健施設、介護療養のそれぞれで、入所者の要介護度の構成に特徴がある

 
 さらに退所者の状況を施設類型別に見ると、▼特養ホームでは死亡が67.5%、医療機関が26.8%▼老健施設では医療機関が36.6%、自宅が33.1%▼介護療養では死亡が47.2%、医療機関が28.9%—となっており、「特養ホームは終の棲家機能」「老健施設は在宅復帰機能」といった機能分担が一定程度進んでいる状況を再確認できます。
特養ホーム、老健施設、介護療養のそれぞれで退所者の行き先にも特徴がある

特養ホーム、老健施設、介護療養のそれぞれで退所者の行き先にも特徴がある

介護人材確保、安倍首相は「さらなる処遇改善」を明言

 最後に、「今後の最大の課題」となる「従事者」の状況を見てみましょう。

 各サービスについて、1事業所当たりの看護・介護職員数(常勤換算)を見ると、▼訪問介護7.3人(前年に比べて0.1人減)▼訪問看護4.8人(同増減なし)▼通所介護7.5人(同2.0人増)▼通所リハビリ7.8人(同0.1人減)▼短期入所生活介護14.2人(同0.4人増)▼特定施設入居者生活介護19.9人(同0.1人増)▼認知症対応型共同生活介護11.5人(同0.1人増)―などとなっており、サービスによって微増減があります。なお、通所介護の人員増は「小規模事業所が地域密着型通所介護に移行した」ことによる見かけ上の増加である点には留意が必要です。

介護保険サービス事業所における看護・介護職員数(1事業所あたり)は、昨年から大きな増減はない(通所介護は見かけ上の増加)

介護保険サービス事業所における看護・介護職員数(1事業所あたり)は、昨年から大きな増減はない(通所介護は見かけ上の増加)

 
 安倍晋三内閣は「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定し、介護離職ゼロを目指して特養ホームなどの整備を進める方針を明確にし、今年度(2017年度)には、月1万円程度の処遇改善などを要件とする新たな介護職員処遇改善加算が設けられました(臨時の介護報酬改定)(関連記事はこちらこちらこちら)。さらに安倍首相は、9月25日の経済財政諮問会議において「介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、他の産業との賃金格差をなくしていくよう、更なる処遇改善を進める」考えを明確にしました(内閣府のサイトはこちら。この点は今後の介護給付費分科会でも議論され、2018年度改定で「処遇改善加算の充実」方向が決まったと言えそうです。

 ただし、こうした処遇改善が「人材確保」に結びついているのか、その効果を確認・検証するとともに、より抜本的な人材確保方策を「国を挙げて」考えていく必要があります。

 
【関連記事】
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