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ケアマネジャーの「本来業務」を明確化して負担軽減を図るとともに、業務に見合った適切な報酬設定を—ケアマネ課題検討会

2024.4.16.(火)

介護保険制度の要となるケアマネジャーの減少が続いている。人材確保・定着を図るために、「ケアマネジャーの本来業務を明確化する」「業務内容やキャリアに見合った適切な報酬(給与)を設定する」ことなどが重要ではないか—。

4月15日に開催された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった議論が始まりました。

ケアマネジャーを「無料の便利なお手伝いさん」と勘違いしている利用者・家族も

2022年12月に社会保障審議会・介護保険部会が介護保険制度改革に向けた意見をとりまとめ、その中で「ケアマネジメントの質の向上、人材確保の観点から、第9期介護保険事業計画期間(2024-26年度)を通じて包括的な方策を検討する必要がある」ことを提言しました(関連記事はこちら)。

介護保険部会で「ケアマネの質向上、人材確保」を検討することが逓減された(ケアマネ課題検討会1 240415)



2040年に向けて、高齢者人口そのものは大きく増えないものの、「多様な介護・医療ニーズを持つ85歳以上高齢者の割合が高まる」とともに「高齢者を支える現役世代人口が急速に減少していく」ことが分かっています。少なくなる一方の「支え手」(若者)で、増大する高齢者を支えなければならず、「どのように人材を確保していくのか、どのようにサービスの質を落とさずに業務効率化を進めていくのか」などが極めて大きな課題となっていきます。

現にケアマネジャー等の状況を見ると、▼従事者数が2020年度から減少傾向にある▼ケアマネ事業者数も2018年度から減少傾向にある—ことなどが分かっています。

ケアマネジャーが減少している(ケアマネ課題検討会2 240415)

ケアマネ事業所も減少している(ケアマネ課題検討会3 240415)



こうした状況を踏まえて厚生労働省は検討会を設置し、(1)ケアマネジャーの業務の在り方(2)人材確保・定着に向けた方策(3)法定研修の在り方(4)ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み促進—の4テーマについて議論を深めていくこととしました。

キックオフ会合となった4月15日の検討会では、(1)から(4)の各テーマについて自由討議が行われています。

まず(1)のケアマネジャー業務については、ほとんどの構成員・参考人から、こぞって▼業務の範囲が広すぎる▼本来のケアマネジメント業務に加え、さまざまな要望が利用者・家族からくる—ことなどから、ケアマネジャーが疲弊していることが報告されました。

利用者の状態・ニーズが多様化し「本来のケアマネジメント業務が複雑になっている」点に加えて、従前より問題となっている「ケアマネジメント業務『外』の業務」も少なくありません。中には「預貯金の引き出し・振込代行」「利用者のペットに関わる支援」など、利用者・家族が専門職であるケアマネジャーを「無料の便利なお手伝いさん」と勘違いしているケースも少ないことが改めて問題視されています(関連記事はこちら)。

本来業務以外にケアマネに要望される事項(ケアマネ課題検討会4 240415)



このため、やはり多くの構成員・参考人が▼ケアマネジャーの業務の明確化・線引きを厳格に行う必要がある▼本来業務外の業務を実施する場合の費用・報酬について検討する必要がある—と要望しました。

もっとも、こうした切り分けを行ってもなお、「本来業務『外』の行為についても、無償でやらざるを得ない」状況の根本解決に至らないと心配する声もあります。今後、検討会等で具体的な解決方法を検討する必要があるでしょう。

なお、その際、「これまでケアマネジャーが担っていた業務(本来のケアマネジメント以外の業務)を、だれが担うのか」という問題が出てきます。このため、常森裕介構成員(東京経済大学現代法学部准教授)や石山麗子構成員(国際医療福祉大学大学院医療福祉経営専攻教授)、工藤英明構成員(青森県立保健大学健康科学部社会福祉学科教授)らは「他職種へのタスクシフト」なども視野に入れた検討が必要と進言しています。



また、こうした状況、さらに報酬(給与)の低さが(2)の「人材確保・定着」を困難にしているとの点でも構成員の意見は一致しています。

「ケアマネジャーの資格を保有するが、ケアマネジャーとしては働いていない者」(いわゆる潜在ケアマネ)について、多くの構成員・参考人は「ケアマネジャーの受験資格を得る頃には、介護従事者は事業所内で一定の地位(管理者等)に就いていることが多く、その際、累次の処遇改善により『ケアマネジャーの給与<介護職員の給与』となっていることが多い」「ケアマネジャーの実際の業務内容を見ると『便利屋さん』となっており、ケアマネジャー資格を持つが『直接介護のほうが良い』と考える介護職員も少なくない」ことなどを紹介。(1)で見た「業務の明確化」とともに、「十分な処遇改善」を行うことの必要性が強く指摘されました。

ケアマネ確保が困難な要因(ケアマネ課題検討会5 240415)



また、人材確保に向けては「養成ルートの多様化や、ケアマネジャーのキャリアパス作成などを検討する必要がある」との意見が、内藤佳津雄構成員(日本大学文理学部心理学科教授)や工藤構成員らから出ています。

▼本来業務(必須業務)とプラスアルファ業務との切り分けを行う→▼業務内容を踏まえたキャリアパスを設ける→▼キャリア・業務内容に見合った報酬を設定する—ことが非常に重要と考えられます。もっとも介護保険財源は厳しく、こうした流れを実現するためには「保険料の引き上げ」などをセットで考える必要があり、そこには「国民、被保険者の理解」が不可欠となります。今後も難しい議論が続きそうです。



このほか、(3)の法定研修については「費用、時間面での負担軽減」「国よる標準研修動画の作成」などを提案する声が、(4)の質向上策については江澤和彦構成員(日本医師会常任理事)から「ケアマネ事業所の規模拡大、ケアマネ事業所間の意見交換・連携なども考えるべき」との声が出ています。

研修をどうすれば受講しやすくなるか(ケアマネ課題検討会6 240415)



なお、介護保険部会では「ケアマネジメントにかかる利用者負担導入の是非」も重要検討テーマの1つとなりましたが、検討会では議論せず、介護保険部会で議論することになりそうです。



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