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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

有床診療所の減少に歯止めかからず、2018年度改定の効果に期待集まる―医療施設動態調査(2017年9月)

2017.11.30.(木)

 今年(2017年)8月末から9月末にかけて、病院の一般病床数は89床の微増、療養病床では183床の減少となった。また有床診療所の減少傾向は依然続き、25施設・206床減少し、7317施設・9万9531床となった―。

 このような状況が、厚生労働省が11月29日に公表した医療施設動態調査(2017年9月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

前月(2017年8月末)に比べて、病院の一般病床は89床増加、療養病床は183床の減少となった。有床診の減少には歯止めがかからない

前月(2017年8月末)に比べて、病院の一般病床は89床増加、療養病床は183床の減少となった。有床診の減少には歯止めがかからない

有床診、来年(2018年)10月に7000施設を割る可能性大

 厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前の月の状況はこちら)。

今年(2017年)9月末の状況を見ると、医療施設総数は全国で17万9323施設で、前月に比べて37施設増加しました。このうち病院の施設数は、前月に比べて3施設減少し8415施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院が7355施設(前月に比べて2施設減)▼精神科病院は1060施設(同1施設減)―という状況です。一般病院の中で「療養病床を持つ病院」は3795施設(同4施設減)、「地域医療支援病院」は555施設(同3施設増)となりました。

 診療所(以下の一般診療所)は10万1976施設で、92.8%(9万4659施設)は無床診療所です。また有床診療所は7317施設で、前月から25施設減少しました。2年前の2015年9月末には7961施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前の2016年9月末には7629施設(厚労省のサイトはこちら)でしたので、一昨年(2015年)9月末から昨年(16年)9月末までの1年間で332施設、さらに今年(2017年)9月末までの1年間で312施設減少しています。昨年(2016年)9月末以降、有床診施設数は以下のように推移しています。

▼2016年9月末:7629施設

 ↓(24施設減)

▼2016年10月末:7605施設

 ↓(30施設減)

▼2016年11月末:7575施設

 ↓(25施設減)

▼2016年12月末:7550施設

 ↓(27施設減)

▼2017年1月末:7523施設

 ↓(38施設減)

▼2017年2月末:7485施設

 ↓(21施設減)

▼2017年3月末:7464施設

 ↓(38施設減)

▼2017年4月末:7426施設

 ↓(29施設減)

▼2017年5月末:7397施設

 ↓(17施設減)

▼2017年6月末:7380施設

 ↓(17施設減)

▼2017年7月末:7363施設

 ↓(21施設減)

▼2017年8月末:7342施設

 ↓(25施設減)

▼2017年9月末:7317施設

 この1年間は「1か月当たり26施設」のペースで減少しています。このペースが続けば、13か月後の来年(2018年)10月に7000施設を割る計算になります。

年間4000床のベッドが消滅、介護サービス併用を認める厚労省案の効果は如何に

 病床数に目を移してみると、今年(2017年)9月末の全病床数は165万6908床で、前月に比べて138床減少しました。うち、病院の病床数は155万7312床で、前月に比べて69床増加しています。病床種類別に見ると、▼一般病床は89万1344床(前月から89床増)▼療養病床は32万6211床(同183床減)▼精神病床は33万2649床(同163床増)—などという状況です。

 有床診療所の病床数は、前月から206床減少して9万9531床となりました。2年前の2015年9月末には10万7626床(厚労省のサイトはこちら)、1年前の2016年9月末には10万3451床(厚労省のサイトはこちら)でしたので、一昨年(2015年)9月末から昨年(16年)9月末までの1年間で4175床、そこから今年(2017年)8月末までの1年間で3920床減少しています。1年間で4000床程度減少しているということは、数字上は「400床の病院が年間10施設のペースで閉院している」ことを意味します。昨年(2016年)9月末以降、有床診のベッド数の推移は次のようになっています。

▼2016年9月末:10万3451床

 ↓(347床減)

▼2016年10月末:103104床

 ↓(367床減)

▼2016年11月末:10万2737床

 ↓(287床減)

▼2016年12月末:10万2450床

 ↓(305床減)

▼2017年1月末:10万2145床

 ↓(448床減)

▼2017年2月末:10万1697床

 ↓(335床減)

▼2017年3月末:10万1362床

 ↓(489床減)

▼2017年4月末:10万873床

 ↓(407床減)

▼2017年5月末:10万466床

 ↓(226床減)

▼2017年6月末:10万240床

 ↓(221床減)

▼2017年7月末:10万19床

 ↓(282床減)

▼2017年8月末:9万9737床

 ↓(282床減)

▼2017年8月末:9万9737床

 ↓(206床減)

▼2017年9月末:9万9531床

 直近1年間では「1か月当たり327床強」のペースで減少しており、今後も病床数の動向を見守る必要があります。

 ところで、2018年度の診療報酬改定に向けた議論が中央社会保険医療協議会で進められており、11月20日には、有床診を▼専門的な医療サービスを効率的に提供する「専門医療提供モデル」▼主に地域医療を提供する「地域包括ケアモデル」―に大別し、後者の「地域包括ケアモデル」有床診では、「介護サービス提供をより柔軟に認める」方針が厚労省から示されています。例えば、有床診のベッドを通常どおり「医科の入院」に使うことはもちろん、介護保険の入所系サービス(介護医療院や看護小規模多機能型居宅介護、短期入所療養介護)に使うことも認めるといったことが考えられます。

 「地域包括ケアモデル」の有床診では、収入の8割超が入院料となっており、「稼働率を高める」ことが経営安定化に向けて重要と考えられるためです。今後、中医協や社会保障審議会・介護給付費分科会(介護報酬改定を論議)で詳細が詰められ、新ルールが来年(2018年)4月から適用されます。これで有床診の減少に歯止めがかかるのか、点数改定論議と併せて有床診の動向にも注目が集まります。

病院病床数は、減少の一途をたどっていたが、今年(2017年)9月には小休止状態になっている

病院病床数は、減少の一途をたどっていたが、今年(2017年)9月には小休止状態になっている

療養病床のベッド数は、直近で減少ペースが速まっているようだ

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