有床診、新年度から減少ペース早まり、今年(2017年)7月に10万床切る―医療施設動態調査(2017年4月)
2017.6.29.(木)
今年(2017年)3月末から4月末にかけて、病院の一般病床数は318床減少、療養病床は274床減少した。また有床診療所数は38施設・489床減少し、7426施設・10万873床となった。一方、無床のクリニックは167施設増加し、9万4283床となった―。
このような状況が、厚生労働省が26日に公表した医療施設動態調査(2017年4月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。新年度(2017年度)に入って減少ペースがやや増加し、このペースが続けば、有床診は今年(2017年)7月に10万床を切り、来年(2018年)10月に7000施設を切る見込みです。
有床診、昨年(2016年)4月末から月間26施設程度のペースで減少
厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前の月の状況はこちら)。今年(2017年)4月末の状況を見ると、医療施設総数は全国で17万9056万施設となり、前月に比べて124施設の大幅増となりました。「無床の一般診療所」の増加が主因です。
このうち病院の施設数は、前月に比べて4施設減少し8435施設となりました。種類別に見ると、一般病院が7374施設(前月に比べて4施設減少)、精神科病院は1061施設(前月から増減なし)という状況です。一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3808施設で前月から6施設減少、地域医療支援病院は540施設で、前月からの増減はありません。
診療所のうち有床診は7426施設で、前月から38施設減少しました。2年前の2015年4月末には8159施設、1年前の2016年4月末には7740施設でしたので、2015年4月末から16年4月末までの1年間で419施設減、さらに17年4月末までの1年間で314施設減少しています。
また2016年4月末以降の有床診施設数の推移を見ると、次のようになっています。
▼2016年4月末:7740施設
↓(24施設減)
▼2016年5月末:7716施設
↓(18施設減)
▼2016年6月末:7698施設
↓(27施設減)
▼2016年7月末:7671施設
↓(15施設減)
▼2016年8月末:7656施設
↓(27施設減)
▼2016年9月末:7629施設
↓(24施設減)
▼2016年10月末:7605施設
↓(30施設減)
▼2016年11月末:7575施設
↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
↓(38施設)
▼2017年4月末:7426施設
暦月の減少数に多少のバラつきがありますが、この1年間では、1か月当たり26施設強のペースで減少しています。
有床診、ベッド数では月340床強のペースで減少
病床数に目を移してみましょう。2017年4月末の全病床数は165万9656床で、前月から1673床減少しました。このうち病院の病床数は155万8717床で、前月に比べて1184床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から318床減少し89万1357床に、療養病床は274床減少し32万7251床となりました。また、精神病床は前月に比べて592床減少しています。
ところで有床診療所の病床数は、前月から489床減少して10万873床となりました。2年前の2015年4月末には10万9940床、1年前の2016年4月末には10万4974床でしたので、2015年4月末から16年4月末までの1年間で4966床、続く17年4月末までの1年間で4101床減少しています。
さらに2016年4月末以降の有床診のベッド数の推移を見ると、次のようになっています。
▼2016年4月末:10万4974床
↓(322床減)
▼2016年5月末:104万652床
↓(254床減)
▼2016年6月末:10万4398床
↓(383床減)
▼2016年7月末:10万4015床
↓(229床減)
▼2016年8月末:10万3786床
↓(335床減)
▼2016年9月末:10万3451床
↓(347床減)
▼2016年10月末:103104床
↓(367床減)
▼2016年11月末:10万2737床
↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
ここ1年間の状況をみると、1か月当たり340床強のペースで減少しています。
暦月の変動こそありますが、有床診療所は施設数・ベッド数ともに減少を続けています。現在のペース(1か月当たり26施設・340床)で減少が続けば、3か月後の今年(2017年)7月には10万床を切り、17か月後の2018年10月に7000施設を切ってしまう計算です。
今後、「離島やへき地、中山間地域ではどうなっているのか?」「地域包括ケアシステムで重要な役割を担っている(例えば24時間の在宅医療提供など)有床診の整備状況はどうなっているのか?」など、詳細な分析を行った上で、必要な対策を検討していくことになるでしょう。
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