有床診療所、現時点で10万床を割っている可能性大―医療施設動態調査(2017年6月)
2017.9.1.(金)
今年(2017年)5月末から6月末にかけて、病院の一般病床数は49床増加した一方で、療養病床は263床減少した。また有床診療所数は17施設・226床減少し、7380施設・10万240床となった―。
このような状況が、厚生労働省が8月31日に公表した医療施設動態調査(2017年6月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。有床診は現時点で10万床を割っている可能性があり、来年(2018年)9月に7000施設を切るペースで減少しています。
有床診、昨年(2016年)6月末から月間27施設のペースで減少
厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前の月の状況はこちら)。今年(2017年)6月末の状況を見ると、医療施設総数は全国で17万9199施設となり、前月に比べて71施設増加しています。主に「無床の一般診療所」の増加(前月比で75施設増)によるものです。
このうち病院の施設数は、前月に比べて3施設減少し8426施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院が7366施設(前月に比べて4施設減少)▼精神科病院は1060施設(同1施設増加)―という状況です。一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3804施設で前月から1施設減少、地域医療支援病院は548施設で、前月から変わっていません。
診療所のうち有床診療所は7380施設で、前月から17施設減少しました。2年前の2015年6月末には8037施設、1年前の2016年6月末には7698施設でしたので、2015年6月末から16年6月末までの1年間で339施設、さらに17年6月末までの1年間で318施設減少しています。
また2016年6月末以降の有床診施設数の推移を見ると、次のようになっています。
▼2016年6月末:7698施設
↓(27施設減)
▼2016年7月末:7671施設
↓(15施設減)
▼2016年8月末:7656施設
↓(27施設減)
▼2016年9月末:7629施設
↓(24施設減)
▼2016年10月末:7605施設
↓(30施設減)
▼2016年11月末:7575施設
↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
この1年間では、1か月当たり27施設弱のペースで減少しています。このペースが続けば、15か月後、つまり2018年9月に7000施設を切ることになります。
有床診のベッド数、すでに10万床を割っている可能性大
病床数に目を移してみると、2017年6月末の全病床数は165万8730床で、前月から413床減少しています。このうち病院の病床数は155万8424床で、前月に比べて187床減少しました。病床種類別に見ると、▼一般病床は89万1466床(前月から49床増加)▼療養病床は32万7103床(同263床減少)▼精神病床は33万2717床(同31床増加)—となっています。
有床診療所の病床数は、前月から226床減少して10万240床となりました。2年前の2015年6月末には10万8631床、1年前の2016年6月末には10万4398床でしたので、2015年6月末から16年6月末までの1年間で4233床、続く17年6月末までの1年間で4158床減少しています。
2016年5月末以降の有床診のベッド数は、次のように推移しています。
▼2016年6月末:10万4398床
↓(383床減)
▼2016年7月末:10万4015床
↓(229床減)
▼2016年8月末:10万3786床
↓(335床減)
▼2016年9月末:10万3451床
↓(347床減)
▼2016年10月末:103104床
↓(367床減)
▼2016年11月末:10万2737床
↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
ここ1年間で1か月当たり347床のペースで減少しています。このペースが続いているとすれば、現時点ですでに10万床を割っていると思われます(前々月の2017年7月末に10万床を割っている計算)。
有床診療所には、▼産婦人科など専門医療を提供する▼地域包括ケアシステムの拠点となる(在宅医療や軽度急性期入院医療の提供)▼過疎地での慢性期入院医療の提供—などさまざまな機能があり、いずれも地域で重要な役割を果たしています。今後、中央社会保険医療協議会などで有床診療所の診療報酬についても議論されることになり、必要な機能を確保するために、2018年度診療報酬・介護報酬の同時改定でどのような手当てがなされるのか注目したいところです。
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一般病床数、療養病床数ともに3桁の減少―医療施設動態調査(2016年9月)
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