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科学的介護の確立に向けて収集すべき事項を2観点で整理―厚労省・科学的介護検討会

2017.12.22.(金)

 介護サービスの効果に関する科学的な裏付け(エビデンス)の構築に向けて、新設するデータベースに格納するデータ項目を今年度(2017年度)中に確定させるため、▼研究利用へのニーズが高いか▼データの利用が可能か―という2つの観点から、収集すべき項目を整理する―。

 12月21日の「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」で厚生労働省は、このような方針を示しました。この検討会では、栄養状態や認知症、リハビリテーションなどの分野に関連して収集すべきデータ項目を検討してきました。今後は、優先して収集する項目を絞っていき、2020年度からの本格的なデータ収集につなげます。

12月21日に開催された、「第4回 科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」

12月21日に開催された、「第4回 科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」

すぐに収集すべきデータ項目を年度内に取りまとめ

 「○○状態の患者に対して●●介護サービス(例えば訪問リハビリや訪問看護など)を提供すると効果が上がりやすい」といった科学的な裏付け(エビデンス)があれば、介護サービスを効率的かつ効果的に提供しやすくなり、利用者本人・家族や介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護サービス事業所を選ぶ目安にもなります。

 既存の介護領域のデータベースには、要介護認定情報や介護保険レセプト情報を格納する「介護保険総合データベース」があります。また、厚労省が昨年度(2016年度)に開始した、通所・訪問リハビリテーションの質を評価する事業「VISIT」(monitoring&eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care)では、リハビリテーション計画書などの情報を収集しています。VISITに参加する事業所数は、2016年度は100事業所程度にとどまっていますが、来年度(2018年度)介護報酬改定で「VISITへの参加を算定要件とする加算」が設けられる見通しのため、参加事業所数・データ量ともに増えていくことが期待されます(関連記事はこちら)。

 もっとも、これらのデータだけでは、▼利用者の状態▼提供したケアの内容▼効果―をひとつなぎに把握することができず、介護分野のエビデンス構築のための研究に十分な情報がそろうとは言えません。特に、「効果」(転倒回数の減少など)に当たるデータが少ないことから、補完的な情報を集めて新たなデータベースに格納し、既存のデータベースと連結させることが検討されています。厚労省は、この新たなデータベース「CHASE」(Care,HeAlth Status&Events)を2020年度に本格稼働させることを目指しています。

 CHASEを本格稼働させるまでには、(1)新しいデータベースの仕様書を確定させる(2)データベースを開発する(3)データを収集するに当たり問題が生じないか検証する―といったプロセスが必要です。2020年度のデータベース本格稼働から逆算すると、(1)の仕様書を今年度(2017年度)中に確定させる必要があります。

 検討会では、CHASEに格納すべきデータ項目を分野別に話し合ってきました。10月26日には「栄養」、11月7日には「リハビリテーション」と順々に検討していき、12月21日は「認知症」がテーマでした。武田章敬委員(国立長寿医療研究センター在宅医療・地域連携診療部長)らが、認知症に関する約50項目を列挙した「案1」と、介護職員が短時間で無理なく測定可能なデータだけをまとめた「案2」を示し、それらを踏まえて意見交換しています。

エビデンス構築につながるが現時点で収集困難な項目は「中長期的課題」に

 12月21日の検討会で厚労省は、これまでに挙がった項目の中から、「2020年度から収集するデータ項目」(初期仕様)を絞り込むため、(1)研究利用へのニーズが高いか(2)データの利用が可能か―の2つの観点で、項目を整理してはどうかと提案しました。

 (1)の「研究利用へのニーズの高さ」を踏まえて選ぶ理由は、「収集は可能だが、収集してもエビデンス構築につながらない項目」を予め排除し、データ提出に協力する介護職員らの負担を少しでも軽くするためです。

 一方、(2)の「データの利用が可能か」という観点からは、▼介護職員が把握しているが、電子的に取得できない項目▼そもそも介護職員が把握することが難しい項目―を排除することになります。後者としては、「介護職員が現在測定していない検査の値」や、「高額な機器を導入しなければ計測できない値」などの項目が挙げられます。ただし、検査を実施する事業所が増えたり、技術革新により廉価な機器で測定可能になれば、これらのデータ項目も容易に収集可能になるため、その収集方法などは、検討会が来年度(2018年度)以降に検討する「中長期的な課題」となります。

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