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2018年度改定後、医療療養1の7割で入院単価上昇―日慢協調査

2018.12.3.(月)

 2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われた。改定の前後で入院単価(入院患者1人1日当たりの請求金額)の変化を見ると、医療療養1では「1%以上3%未満」が最も多いが、医療療養2では「マイナス3%未満」が最も多くなるなど、入院料の種別による差が出ている―。

 日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が11月27日に公表した2018年度の「同時報酬改定影響度調査集計結果」から、こういった状況が明らかになりました(日慢協のサイトはこちら)。

より重症な患者を多く受け入れる「医療療養1」で入院単価の上昇が目立つ

 この調査は、日慢協が会員病院を対象に改定前と改定後で診療報酬の届け出・算定状況や入院単価がどのように変化したのか、などを調べたものです。242病院が回答しています。

まず療養病棟について、改定直前(2018年3月)から改定後(2018年6月)にかけて、入院単価がどう変化したのかを見ると、届け出の入院料等によって違いのあることが分かりました。

▼医療療養1(176病院):「1%以上3%未満」が最も多く、次いで「3%以上5%未満」「ゼロ%以上1%未満」が多い(プラス方向へのシフトが69.9%)
日慢協2018改定調査1 181127
 
▼医療療養2(37病院):「マイナス3%未満」が最も多く、次いで「1%以上3%未満」「3%以上5%未満」が多い(プラス方向へのシフトが56.8%)
日慢協2018改定調査2 181127
 
▼機能強化型Aの介護療養(49病院):「マイナス1%以上ゼロ%未満」が最も多く、次いで「1%以上3%未満」が多い(プラス方向へのシフトが55.0%)
日慢協2018改定調査3 181127
 
▼機能強化型Bの介護療養(9病院):「マイナス3%未満」が最も多く、次いで「1%以上3%未満」が多い(プラス方向へのシフトが33.3%)
日慢協2018改定調査4 181127
 
▼その他の介護療養(13病院):「ゼロ%以上1%未満」が最も多い(プラス方向へのシフトが53.8%)
日慢協2018改定調査5 181127
 
N数が小さい群もありますが、「医療療養1」で入院単価が上昇している病院が多いことが分かります。「より医療必要度の高い、しかも重症な患者を多く受け入れる病棟」の評価が充実していることが伺えます(関連記事はこちら)。
2018年度診療報酬改定(療養1) 180305
2018年度診療報酬改定(療養2) 180305
2018年度診療報酬改定(療養3) 180305
 

回復期リハビリ病棟、大半の病棟では「ADL改善度合い」が向上

次に、回復期リハビリテーション病棟の「実績指数」の動向を見てみましょう。2016年度の前回診療報酬改定で、「回復期リハ病棟の中には、漫然と効果の低いリハビリを提供している施設もある」ことが問題視され、効果の低いリハビリしか提供していない病棟においては、疾患別リハビリテーション料の算定制限が行われました。

 
2018年度の今回改定では、さらに「リハビリの効果」を実績と捉え、実績の高い病棟において高い入院料を設定するという見直しが行われています。
2018年度診療報酬改定(回復期リハ1) 180305
2018年度診療報酬改定(回復期リハ2) 180305
 
リハビリの効果を測定する指標として、FIM利得(入院時点に比べて、退院時点ではADLがどれだけ改善したか)をベースとした「実績指数」が用いられています。この実績指数を改定直前(2018年3月)と改定後(2018年6月)で比較すると、72.5%の病院ではプラス方向にシフトし、マイナス方向へのシフトは27.5%であることが分かりました。
日慢協2018改定調査6 181127
 
大半の回復期リハビリ病棟において、ADL改善を目指すリハビリが行われている状況が伺えますが、一部の回復期リハビリ病棟では大幅に実績指数が低下している点が気になります(関連記事はこちら)。

地域包括ケア病棟、「自宅等からの入棟患者割合」などが高いハードルに

 また、2018年度改定とは直接関係しないものの、地域包括ケア病棟(51病院)について、「2015年度」と「2017年度」とで決算金額がどう変化しているかを見ると、プラス方向へのシフトが45.1%、マイナス方向へのシフトが54.9%となりました。前回2016年度の診療報酬改定によって「過半数の地域包括ケア病棟は経営が厳しくなっている」と見ることができそうです。
日慢協2018改定調査8 181127
 
 ところで地域包括ケア病棟については、今般の2018年度診療報酬改定で報酬体系が大きく見直されました。「自宅や介護施設などからの入棟患者受け入れ」などを実績と捉え、「実績の高い、中小規模病院に設置された地域包括ケア病棟」について高い入院料を設定しています。
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)1 180305
2018年度診療報酬改定(地域包括ケア病棟)2 180305
 
この高い入院料を届け出るためには、▼在宅復帰率7割以上▼入院患者1人当たり床面積6.4平米以上▼許可病床数200床未満▼自宅等からの入棟患者割合1割以上▼自宅等からの緊急入院患者受け入れ数3人以上(3か月)▼在宅医療提供(在宅患者訪問診療料の算定回数20回以上(3か月)、同一敷地内の訪問看護ステーション設置など)▼ACPガイドライン等を踏まえた看取り指針の設定—などの施設基準をクリアすることが求められます。今般のアンケート調査では、これらのうち「自宅等からの入棟患者割合1割以上」「同一敷地内の訪問看護ステーション設置等が多い病棟」「自宅等からの緊急入院患者受け入れ数3人以上」の3項目が、医療現場において「特にハードルが高い」と捉えられていることが分かりました。
日慢協2018改定調査7 181127
 
また地域包括ケア病棟では、「在宅」復帰の対象から、介護老人保健施設が除外された点について、「厳しい」と捉える声も多くなっています(関連記事はこちら)。

2018年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設(強化型・加算型であっても)は除外された(上段)

2018年度の診療報酬改定で、地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設(強化型・加算型であっても)は除外された(上段)

 

 
 
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