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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

2018年度診療報酬改定後、500床以上の大病院や3次救急病院で「収入増」の度合いが大きい―全自病調査

2019.3.19.(火)

 2018年度診療報酬改定の前後で、自治体病院では患者数が入院・外来ともに減少したが、診療単価が入院・外来ともに上昇したため、収入は入院・外来・全体のすべてで増加した。とくに「500床以上の大規模病院」「3次救急病院」では収入増の度合いが大きいが、一方で「医療資源の少ない地域」では増加の度合いが小さい―。

 全国自治体病院協議会が3月14日に公表した2018年度診療報酬改定影響率調査結果(第2報)から、こういった状況が明らかになりました(全自病のサイトはこちら)。

2018年度改定の前後で、自治体病院の収入は全体では増加

 この調査は、2018年度診療報酬改定前後(2017年10月と2018年10月)において自治体病院の経営状況がどう変化したかを調べるもので、有効回答は411病院(全自病加盟病院の47%)となりました。

 まず、全体について「改定前後で各種の経営指標がどう変化したか」を見ると、平均在院日数の短縮(前年に比べて2.5%減)に比べて、病床利用率の低下(同1.4%減)は小さく抑えられ、「在院日数の短縮(医療の質の向上)」と「新規患者の獲得」とを相当程度両立できているように見えます。また、患者数は入院(1.7%減)・外来(0.7%減)ともに減少しましたが、診療単価の向上(入院3.8%増、外来2.2%増)により入院収入(1.8%増)・外来収入(6.8%増)・総収入(3.1%増)がすべて前年に比べて増加しています。なお、今回の調査分析では費用(コスト)については調べられておらず、「利益の状況」などは今後を待つ必要があります。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)1 190314
 
 病床規模別に見ると、500床以上の大病院で収入増(対前年比)の度合いが大きいようです。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)2 190314
 
 救急体制別に見ると3次救急・2次救急で収入増の度合いが大きく、地域別に見ると、逆に医療資源の少ない地域で収入増の度合いが小さいことなども分かりました。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)3 190314
 

2018年度改定の影響、入院単価1.22%、外来単価0.7%程度、総収入1.05%程度

 次に、全体の「入院単価」の動向を見ると、▼2017年3月:4万9929円 → ▼2017年10月:5万817円 → ▼2018年3月:5万460円 → ▼2018年10月:5万1974円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」、「2017年10月と2018年10月」を比較すると、いずれも1.22%の増加となっており、全自病では「2018年度改定が入院単価に与えた影響は1.22%である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)4 190314
 
 
 また、全体の「外来単価」の動向を見ると、▼2017年3月:1万2762円 → ▼2017年10月:1万2652円 → ▼2018年3月:1万2967円 → ▼2018年10月:1万2946円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」を比較すると0.71%増、「2017年10月と2018年10月」を比較すると0.70%増となっており、全自病では「2018年度改定が外来単価に与えた影響は0.70-0.71%の範囲である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)5 190314
 
 
 さらに、全体の「総収入」の動向を見ると、▼2017年3月:5億4921万801円 → ▼2017年10月:5億3517万7783円 → ▼2018年3月:5億6580万3950円 → ▼2018年10月:5億5706万7692円―となっています。

 「2017年3月と2018年3月」を比較すると1.02%増、「2017年10月と2018年10月」を比較すると1.07%増となっており、全自病では「2018年度改定が総収入に与えた影響は1.02-1.07%の範囲である」と分析しています。
2018年度診療報酬改定影響率調査(2報、全自病)6 190314
 
 
 これら全体の数字と自院の数字とを比較し、例えば「単価が全体より低い」場合には、「軽症の患者が多い」可能性が高く、「より重症の患者を獲得するために、近隣中小病院や介護事業所・施設との連携強化や、救急搬送患者の積極的な受け入れなどを行う」などの対応策を検討することが重要です。

 
 
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