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2018年3月の後発品割合75.0%、80%以上の自治体は沖縄・鹿児島・岩手の3県―協会けんぽ

2018.8.8.(水)

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2018年)3月時点で75.0%となり、前月から0.4ポイント上昇した。都道府県別に見ると沖縄県・鹿児島県・岩手県の3自治体で、政府の第2目標「80%以上」をクリアしている―。

 こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が8月7日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

直近1年間の上昇ペースが続けば、2019年4月に後発品割合80%をクリア

 高齢化や医療技術の高度化などを背景に医療費が膨張し、我が国の財政を圧迫しています。医療費が膨張を続け、我々の負担能力を超えてしまえば、公的医療保険制度、国民皆保険制度が崩壊してしまい、結果として我が国の健康水準は大きく低下してしまいます。2025年にはいわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加することから、「医療費の適正化」が非常に重要なテーマとなっています。

医療費適正化方策としては、▼平均在院日数の短縮▼後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差の是正―などさまざまあります。このうち「後発品の使用促進」については、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定するとともに、診療報酬における加算の設定や充実、地域での保険者協議会の活用依頼など、さまざまな取り組みが進められています(関連記事はこちら)。

 協会けんぽの運営主体である全国健康保険協会でも、従前より後発品の使用促進に取り組んでいます。例えば、医療機関を受診し医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴兄に処方される医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合の公表などです(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)3月の状況を見ると、前月から0.4ポイント上昇し、数量ベースで75.0%(新指標、調剤分)となりました。

第2目標「80%以上」との間には、今年(2018年)3月時点で、5.0ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年4月から2018年3月)には、単純計算で「1か月当たり0.4ポイント」のペースで後発品割合が上昇しています。仮に、このペースが継続するとなれば、計算上は来年(2019年)4月に「80%」をクリアできることになります。もっとも、昨年(2017年)1年間は「後発品の使用が思うように進まない」状況もあり、今後もこうした状況に陥る可能性もあります。今後の動向を注視していく必要があります。

今年(2018年)に入ってから、協会けんぽ全体の後発品使用割合(数量ベース、調剤分)は、着実に上昇している

今年(2018年)に入ってから、協会けんぽ全体の後発品使用割合(数量ベース、調剤分)は、着実に上昇している

 

80%以上をクリアする自治体がある一方で、徳島、山梨、高知の3県で依然、70%未達

 後発品割合は協会けんぽ全体では着実に上昇していますが、都道府県別に見ると、依然として大きなバラツキがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で84.6%(前月から0.3ポイント上昇)、次いで鹿児島県の81.6%(同0.4ポイント上昇)、岩手県の80.4%(同0.6ポイント上昇)で高く、「80%以上」クリアは3自治体に増加しました(前月は沖縄・鹿児島の2県)。

 逆に最も低いのは徳島県で66.5%(同0.7ポイント上昇)。また今年(2018年)3月時点で、第1目標の「70%以上」をクリアできていない自治体は、徳島県のほか▼山梨県:67.2%(前月から0.1ポイント上昇)▼高知県:69.4%(同0.2ポイント上昇)—となっています。

最高の沖縄県と最低の徳島県との間には、18.1ポイントの格差があります。2018年度からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されており、「医療費適正化」を、まさに「我が事」と捉え、先進県(沖縄県や鹿児島県)の取り組みを参考に、後発品の使用促進に取り組むことが期待されます。

都道府県別に協会けんぽの後発品割合を見ると、沖縄・鹿児島・岩手の3県では政府の第2目標「80%以上」をクリアできている一方で、徳島、山梨、高知の3県では政府の第1目標値である70%を下回っている

都道府県別に協会けんぽの後発品割合を見ると、沖縄・鹿児島・岩手の3県では政府の第2目標「80%以上」をクリアできている一方で、徳島、山梨、高知の3県では政府の第1目標値である70%を下回っている

  
 なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の81.1%(同0.6ポイント上昇)、去たん剤の77.7%(同0.3ポイント上昇)、高脂血症用剤70.6%(同0.7ポイント上昇)など。逆に、後発品使用割合が低いのはホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の17.8%(同2.8ポイント上昇)、代謝拮抗剤の23.6%(同0.3ポイント上昇)、抗ウイルス剤の24.0%(同14.5ポイント上昇)などとなっています。
主な薬効別に見た、数量ベースの後発品使用割合

主な薬効別に見た、数量ベースの後発品使用割合

 
 また金額ベースでは、血管拡張剤の69.6%(同0.9ポイント上昇)、去たん剤の62.9%(同0.4ポイント上昇)、抗生物質製剤のうち「主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの」の47.3%(同1.1ポイント上昇)など、逆に、後発品使用割合が低いのは、抗ウイルス剤の4.3%(同1.6ポイント上昇)、糖尿病用剤の7.1%(同増減なし)などとなっています。
主な薬効別に見た、金額ベースの後発品使用割合

主な薬効別に見た、金額ベースの後発品使用割合

 
 
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