2018年1月の後発品割合74.3%、70%未達は徳島、山梨など3県に減少―協会けんぽ
2018.5.23.(水)
主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は今年(2018年)1月時点で74.3%。前月から1.6ポイントと大幅に上昇した―。
こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が5月23日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。
「2020年9月に80%以上」の第2目標達成に向け、光明さす
国民の負担能力を超えて医療費が増加してしまえば、医療保険制度、国民皆保険制度が崩壊してしまいます。「保険証1枚あれば、低廉な自己負担で高水準の医療を受けられる」仕組みの崩壊は、我が国の健康水準を大きく低下させることを意味します。
そこで医療費の伸びそのものを抑える医療費適正化対策が進められ、その一環として「効果が同じで価格が安いジェネリック医薬品(後発品)」の使用促進が重視されています。政府は、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定。診療報酬における加算の設定や充実、地域での保険者協議会の活用依頼など、さまざまな取り組みを行っています(関連記事はこちら)。
協会けんぽを運営する全国健康保険協会では、従前より、個別加入者に宛てて「貴兄に処方される医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表などしています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)1月の状況を見ると、前月から1.6ポイントと大幅に上昇し、数量ベースで74.3%(新指標、調剤分)となりました。
後発品使用割合は昨年(2017年)1月に70.6%に達した後、伸び悩んでいましたが、2017年10月から11月にかけて0.9ポイント、11月から12月にかけて0.7ポイント、12月から今年(2018年)1月にかけて1.6ポイントと、大幅な伸びを見せており、政府の第2目標(2020年9月に80%以上)達成に向け、明るい光が差してきています。もちろん、今後の状況を注視していく必要性は変わりありません。
第2目標の「80%以上」との間には、今年(2018年)1月時点で、5.7ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年2月から2018年1月)の状況を見ると、単純計算で「1か月当たり0.345ポイント増加」しています。これが継続するとなれば、計算上は来年(2019年)6月に80%を達成できる見込みです。今後の動向に期待が集まります。
70%未達は徳島、山梨、高知の3県に減少、ただし後発品割合は確実に上昇
後発品使用割合を都道府県別に見ると、依然として大きなバラツキがあります。
今年(2018年)1月に後発品割合が低い(第1目標の「70%以上」をクリアできていない)のは、▼徳島県:65.6%(前月から1.7ポイント増)▼山梨県:67.5%(同2.0ポイント増)▼高知県:68.4%(同1.8ポイント減)—の3県に減少しました。
こうした、いわば「後発品後進」県において、2ポイント近い上昇を見せていることは、目標達成に向けて極めて重要です。2018年度からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されており、「医療費適正化」を、まさに「我が事」と捉える意識がこれまで以上に強くなっていることが伺えそうです。なお、先進県である沖縄県は84.0%で、前月に比べて1.0%の増加となっています。好事例が、他の都道府県にも波及している様子も見てとれそうです。
なお、主な薬効分類別に後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の80.2%(同0.5ポイント増)、去たん剤の77.3%(同1.6ポイント増)、消化性潰瘍用剤の68.0%(同0.7ポイント増)など、逆に後発品使用割合が低いのは抗ウイルス剤の8.0%(同13.2ポイント減)、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の13.9%(同0.6ポイント増)、化学療法剤の20.5%(同11.7ポイント減)などとなっています。
また金額ベースでは、血管拡張剤の68.4%(同0.7ポイント増)、去たん剤の62.2%(同1.7ポイント増)、抗生物質製剤のうち「主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの」の45.8%(同1.5ポイント増)など、逆に後発品使用割合が低いのは、抗ウイルス剤の2.5%(同2.2ポイント減)、化学療法剤の5.3%(同3.5ポイント減)などとなっています。
抗ウイルス剤・化学療法剤では、数量・金額ともに後発品割合が大きく低下しています。
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