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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

2024年度から強力に「医師偏在解消」を推進!地域の「すべての開業医」に夜間・休日対応など要請—厚労省

2023.4.12.(水)

2024年度からの第8次医療計画には「医師確保計画」「外来医療計画」も含まれる。医師確保については「偏在が進んでしまっている」状況を踏まえ、施策のさらなる強化・推進を、外来医療については「地域の開業医全体で、地域で不足する機能(夜間・休日対応など)に協力する」ことを勧めていく—。

厚生労働省は3月31日に通知「『医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドラインについて』の一部改正について」を発出し、こうした考え方を明確にしました。
【厚労省サイト】
▽通知本文はこちら
▽医師確保計画策定ガイドライン(第8次前期)はこちら、新旧対照表はこちら
▽外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン(第8次前期)はこちら、新旧対照表はこちら

2020年度以降も「医師偏在」が進んでしまっている点を踏まえ、施策を強化

Gem Medでも繰り返し報じているとおり、2024年度から「第8次医療計画」がスタートします。各都道府県は本年度(2023年度)に第8次医療計画を作成することが求められ、その拠り所となる指針が厚労省から示されています(関連記事はこちら(指針)こちら(看護師特定行為研修関連))。

ところで医療計画の中には「医師確保計画」が含まれます。

医療提供体制の大きな課題である「医師の地域偏在・診療科偏在」を解消するため、都道府県で「3年を1クールとする医師確保計画」を立て、以下のような流れで医師確保に向けた取り組みを進めていきます(関連記事はこちらこちら)。

(1)地域の医師確保状況を精緻な指標(医師偏在指標)を用いて相対化(言わば順位付け)し、2次医療圏を▼医師多数区域(医師偏在指標に照らし上位3分の1)▼中間の区域▼医師少数区域(同下位3分の1)—に3区分する

(2)地域の区分に応じた「医師確保計画」(例えば下記のイメージ)を作成する
【医師確保に関する方針】
▼医師多数区域:圏域外からの医師確保は行わず、逆に医師少数区域に医師を派遣する
▼中間の区域:圏域内に「医師少数の地域」がある場合など、必要に応じて他の2次医療圏からの医師派遣等を受ける
▼医師少数区域:医師多数の区域(他の2次医療圏)から医師派遣等を受ける

【目標医師数】
▼2次・3次医療圏ごとに「計画満了時点」(つまり3年後)に確保すべき医師数を算出する

【具体的な施策】
▼「地域枠を●名確保する」「医師派遣を●名受けるよう調整する」などの施策を明示する

医師確保計画に基づく医師偏在対策の大枠(地域医療構想・医師確保計画WG3 220511)

医師多数区域では、偏在の助長を防ぐために、「他地域からの医師派遣など」を医師確保計画に盛り込むことはできない(好ましくない)(その1、3次医療圏)

医師多数区域では、偏在の助長を防ぐために、「他地域からの医師派遣など」を医師確保計画に盛り込むことはできない(好ましくない)(その1、2次医療圏)



この計画を第1期(2020-23年度)→第2期(2024-26年度)→第3期(2027-29年度)・・・と進め、段階的に、しかし強力に「医師多数区域」から「医師少数区域」への医師移動を促すなどし、「地域偏在を2036年度に解消する」ことを目指しています。

しかし、2016年から2020年にかけて医師の地域偏在が進んでしまったようにも見えることから、2024年度からの第2期医師確保計画(第8次医療計画の一部となる)に向けて、「第8次医療計画等に関する検討会」や「地域医療構想・医師確保計画ワーキンググループ」では、「医師偏在解消に向けた対策を強化する」方針を立てました(関連記事はこちらこちら)。

この方針を受け、今般の通知では「2024-26年度の医師確保計画」(第8次前期)について、例えば次のような点に留意して作成・実行することを各都道府県に求めています。

▽2024年4月より開始する「医師に対する時間外・休日労働時間の上限規制」を踏まえ、各病院・クリニックにおける「医師の働き方改革」とともに、「地域医療構想」「医師確保」の取り組みを一体的に推進する(いわゆる三位一体で進める、関連記事はこちら

▽医師確保計画は医療計画の一部であり、「へき地医療」「周産期医療」「小児医療」などを含む医療計画との整合性に留意する。「医師確保計画」と「へき地の医療計画」を連動させるため、地域医療支援センターとへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含め地域で一体的な医師確保を実施する

【医師確保計画の記載事項】
▽「都道府県・2次医療圏ごとの医師の確保の方針」「都道府県・2次医療圏ごとの確保すべき目標医師数」「目標達成のための施策」を医師確保計画に記載する

▽医師確保計画に「地域枠等の設置による長期的な医師確保の施策」を記載する場合は、その根拠として「将来時点(2036年)における医師数との関係」記載が望ましい

▽医師確保計画(第8次前期)には「第7次医師確保計画に係る評価結果」を記載する

【医師偏在指標】
▽医師偏在指標の活用に当たっては、地域医療構想の推進や医師の働き方改革も踏まえた一体的な議論が重要であり「地域の実情に合わせた医療提供体制の維持」を十分に考慮する

▽医師偏在指標について「複数医療機関で勤務する医師の按分」ルールを設定し、病院・クリニック別の数値を参考値として国が示す

▽複数医療機関で勤務する医師について、主たる従事先0.8人、従たる従事先0.2人として按分する

【医師少数スポット】(医師多数や中間の県・区域においても「限定的ながら医師が少ない地域」が存在し、そこでの医師確保が重要となる)
▽医師少数スポットは原則「市町村単位」で設定する(2次医療圏全体や個別医療機関を設定することは適切ではない)

▽医師少数スポットを設定する場合は、その理由も明記する

▽これまで設定していた医師少数スポットについて、これまでの医師確保の状況等を踏まえ「設定の見直し」を行う

【目標医師数】
▽目標医師数の設定ルールを見直し「医師偏在の助長」を回避する
▼「県内2次医療圏の設定上限数の合計」>「都道府県の計画開始時の医師数」の場合
→「2次医療圏の目標医師数合計」が「都道府県の計画開始時医師数」を上回らない範囲で、2次医療圏の目標医師数を設定する

▼「計画期間開始時に既に下位33.3%に相当する医師偏在指標に達する」ために必要な医 師数を達成している場合
→医師の地域偏在の解消を図る観点から、原則として「目標医師数は計画開始時の医師数を設定上限数」とする

▼医師少数区域以外の2次医療圏における目標医師数
→原則として「計画開始時の医師数を設定上限数」とする
→ただし、今後の医療需要増が見込まれる地域では、厚労省が参考として提示する「計画終了時に計画開始時の医師偏在指標を維持するための医師数」を踏まえ、その数を設定上限数 とする

▽高度・専門的な医療の提供を担う特定機能病院や、地域医療確保のために必要な支援機能を担う地域医療支援病院等については、「地域で必要な医療を提供するための医師を確保する」必要があることから、これらの病院が存在する医療圏は、医師偏在指標が大きい傾向があるが、医師偏在対策を実施するに当たっては「当該地域全体の医療機関毎の医師の配置状況を考慮」した検討が必要である

【目標達成のための施策】
▽「2次医療圏見直し」について先行して議論し、「2次医療圏を見直す」場合は先んじて国へ報告する(2次医療圏が変われば、医師偏在指標を計算しなおさなければならなくなるため)

▽厚労省は、2023年度より、都道府県でのキャリア形成プログラム(地域枠医師等に対し、学位取得などのキャリア形成を都道府県が支援する仕組み)の円滑運用のため、「キャリア形成プログラムの効果的な運用方法に係る調査」「各都道府県のキャリアコーディネーターを対象とした統一的な対応マニュアルの作成」「キャリアコーディネーター等からの相談受付や研修の実施」しており、各都道府県はこれらの事業も活用する

▽地域の医療関係者、都道府県、市区町村等の地域の関係者が連携し、地域の実情に応じて「子育て支援」に取り組む

▽大学医学部に寄附講座を設置する、医師を派遣する病院に対する補填・支援を進めるなど、効果的な医師確保策に取り組む

▽「医学部定員の減員」に向けて医師養成数方針の検討が進む中、安定した医師確保を行うため、都道府県は「大学の恒久定員内に、地域枠に加え、柔軟に運用できる地元出身者枠を設置する」ことについて積極的に大学と調整する(関連記事はこちら

▽若手医師の「指導体制」についても強化を行う

すべての開業医を対象に「地域で不足する機能」への対応・協力を要請

また、医療計画の中には「外来医療計画」も含まれます。外来医療についても▼医療従事者の大きな偏在がある(都市部のクリニック開業集中など)▼CTやMRIなどの共同利用が必ずしも十分に進んでいない—などの課題があります。

こうした課題の解消・改善に向け、各都道府県において「外来医療計画」(上述のように医療計画の一部)を作成し、2020年度から稼働させています。例えば「外来医療における医師偏在状況を明らかにする」「クリニックが集中する地域(外来医師偏在指標が大きな地域)で開業する場合には、地域医療への貢献(学校保健など)を求める」「CT・MRIなどの共同利用を推進する」方策がとられてきています(関連記事はこちら

第8次医療計画においても、こうした課題の改善・解消にさらに努める必要があるとの議論が「第8次医療計画等に関する検討会」で行われ(関連記事はこちらこちら)、今般、「外来医療計画の作成ガイドライン」(外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン)について次のような見直しが行われるものです。

【外来機能の分化等】
▽都道府県は、地域で不足する医療機能(夜間・休日の診療、在宅医療、公衆衛生等)について具体的な目標を定め、達成に向けた取り組みの進捗評価に努める

▽すべての開業医による「地域で必要な機能」(夜間・休日対応、公衆衛生対応など)発揮を進めていく(これまでは「医師集中地域(外来医師多数区域)で新規開業する」ケースを対象としていた)

▽外来医師多数区域における新規開業医に対しては、「地域で不足する医療機能を担うことに合意が得られた事項」に関し、地域医師会や市町村と情報共有するなど「フォローアップ」を行う

▽患者の流れの円滑化を図るため、医療資源を重点的に活用する外来(紹介受診重点外来)の機能に着目し、当該外来医療を提供する基幹的な役割を担う意向を有する病院・クリニックとして「紹介受診重点医療機関」を明確化する(関連記事はこちらこちらこちら

▽外来医療は「救急医療」「在宅医療」施策との連携のほか、学校医の確保については都道府県等の教育委員会、医師会等との連携も重要である

【高額医療機器の共同利用推進】
▽都道府県において「医療機器の配置・稼働状況」に加え、共同利用計画から入手可能な「医療機器の共同利用の有無」「画像診断情報の提供の有無」などの方針についても可視化を進 め、医療機関が「地域で活用可能な医療機器」を把握できるよう周知を進める

▽地域の医療資源を可視化する観点から、2023年4月1日以降に医療機器を新規購入した医療機関には、「医療機器の稼働状況」(保有台数、利用件数、共同利用実績)を都道府県へ報告を求める
→「外来機能報告」を行う場合には不要(代替可能とする)

▽都道府県に報告された医療機器の利用件数や共同利用の有無等の情報は、地域における協議の場に報告するとともに、管下の医療機関や金融機関等の関係者に情報提供することも重要である



【第8次医療計画等に関する検討会に関する記事】
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