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医療計画と介護保険計画の整合性図るため、都道府県と市町村で「協議の場」設置を―医療介護総合確保促進会議

2016.11.1.(火)

 今後、医療と介護の連携がますます重要となる。地域の医療提供体制を所管する都道府県と、専ら介護を所管する市町村との間で、医療計画・介護保険事業計画の整合性をとるための「協議の場」「調整の場」などを設置してはどうか―。

 10月31日に開催された医療介護総合確保促進会議(以下、促進会議)では、多くの委員からこういった指摘がなされました(関連記事はこちらこちら)。

 促進会議では年内に、今後の医療計画・介護保険事業計画のベースとなる改定「総合確保方針」をまとめます。

10月31日に開催された、「第8回 医療介護総合確保促進会議」

10月31日に開催された、「第8回 医療介護総合確保促進会議」

年内に、医療計画・介護保険事業計画の上位指針となる「総合確保方針」を改定

 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて75歳以上になる2025年に向けて、医療(とくに慢性期医療)・介護のニーズが急速に高まるため、病院・病床機能の分化・連携の推進や地域包括ケアシステムの構築が急務とされています。このため国は2013年に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)を制定しました。

 同法では、都道府県に地域医療構想の策定を指示したほか、医療計画と介護保険事業計画のサイクルを同調させており、2018年度から6年計画となる第7次医療計画と、3年計画となる第7期介護保険事業(支援)計画が同時にスタートします。両計画では、サイクルが揃うだけではなく、「内容の整合性」をとることがこれまでに以上に重要となるため、厚生労働省は両計画の策定指針の上位方針となる「総合確保方針」の改定論議を進めているのです。

2018年度(平成30年度)から第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画がスタートする。あわせて2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も行われる。

2018年度(平成30年度)から第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画がスタートする。あわせて2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も行われる。

 31日の促進会議では、「内容の整合性」をはかるためにどのような方策が必要かという点について議論が行われました。目立ったのは「都道府県と市町村との間で、両計画を調整する場を設けるべき」との意見です。介護保険事業計画は市町村が作成し、医療計画と介護保険事業支援計画は都道府県が作成するために、両者で意見のすり合わせが必要との指摘です。

 井上由起子構成員(日本社会事業大学専門職大学院教授)は「県と市町村の担当者で構成されるタスクフォース」を一時的に設置し、集中的な協議を行うことの必要性を強調。また、小林剛構成員(全国健康保険協会理事長)も「都道府県に担当部局を設置すべき」と、具体的な指摘を行いました。さらに今村聡構成員(日本医師会副会長)や大西秀人構成員(香川県高松市長)らは、「県による市町村の支援」の重要を訴えています。

 もっとも相澤孝夫構成員(日本病院会副会長)は、「県が市町村をコントロールするのは政治的に難しい。協議の場・調整の場を実効性のあるものとすべく、法規などで内容やメンバーを規定したほうがよいのではないか」と指摘しています。

 こうした意見を踏まえて厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「構成員の意見を精査し、次回会合に提出する叩き台に盛り込む」考えを示しています。年内に改定「総合確保方針」が固められる見込みです。

 

 また、「医療は都道府県、介護は市町村」という垣根を超えて、都道府県が介護に、市町村が医療に積極的に関与していくべきとの意見も出されました。白川修二構成員(健康保険組合連合会副会長)は、「介護保険において都道府県は市町村を支援するだけでよいのだろうか。より明確に『都道府県の任務』を明確に定めるべきではないか」と指摘。山崎泰彦構成員(神奈川県立保健福祉大学名誉教授)も、「国民健康保険制度は、都道府県が財政運営の責任を負い、保険料徴収や適用などの事務を市町村が行う、いわば『共同保険者』になる先進的な仕組みとなった。介護保険でも、都道府県が支援を超えて、より積極的に関与できるような仕組みとすべき」と提言しています。

 この点、荒井正吾構成員(奈良県知事)の代理として出席した林修一郎参考人(奈良県医療政策部長)は、「全国知事会で研究会などを開き、医療・介護政策に都道府県がどのように関与していくかを議論したり、先行事例の共有などを行っている」ことを紹介しています。

 なお、東京都稲城市では、市町村として初めて医療計画を策定しており、「医療と介護の垣根」は徐々に低くなっていくことが予想されます。

 

 このほか、白川構成員は「シームレスな医療・介護提供を行うためには、ケアマネジャーが入院中から支援を行うことなどの取り組みが必要だが、報酬上の裏付けがなければなかなか進まない。2018年度は診療報酬・介護報酬の同時改定も控えているが、改定方針の策定を早め、それを医療計画や介護保険事業計画に盛り込むようにすべき」と提案しています。

 2018年度には、このように▼診療報酬改定▼介護報酬改定▼第7次医療計画▼第7期介護保険事業(支援計画)▼国保の財政運営の都道府県化―など、大きな制度改正が重なる言わば「惑星直列」が控えています。今後の動きに大きな注目が集まります。

 

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