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重症筋無力症治療にエクリズマブ投与が有効、ただし髄膜炎菌感染症に留意を―厚労省

2017.12.27.(水)

 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制などに用いる「エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤」(販売名:ソリリス点滴静注)について、「全身型重症筋無力症」への効能・効果追加が認められたが、本剤の使用によって髄膜炎菌感染症の発症リスクが高まる可能性がある。このため、原則として「本剤投与前に髄膜炎菌ワクチン」の接種を行い、緊急時に十分に措置できる医療施設のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断・治療が可能な医療施設との連携下で投与することが必要である—。

 厚生労働省は12月25日に通知「エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について」を発出し、こういった点に注意するよう呼びかけています(厚労省のサイトはこちら)。

免疫抑制状態にある重症筋無力症患者では感染リスクが高まる、ワクチン接種を

 「エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤」は、▼発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制▼非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制—に用いられており、今般、「全身型重症筋無力症」(免疫グロブリン大量静注療法または血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)への効能・効果追加が認められました。

 重症筋無力症は、臓器特異的自己免疫疾患で、運動の反復により筋力が低下する(易疲労性)、夕方に症状が増悪する(日内変動)を特徴とする指定難病です(告示番号11)。主な症状は、▽眼瞼下垂、複視などの眼症状▽四肢・頸筋の筋力低下▽構音障害▽嚥下障害―などで、重症例では呼吸障害を引き起こします。

ステロイドや免疫抑制薬などの投与療法が一般的ですが、今般、新たな治療法が開発されたこととなり、我が国に2万人弱とされる患者には朗報と言えます。ただし「エクリズマブ(遺伝子組換え)製剤」には、髄膜炎菌感染症の発症リスクがあり、死亡例もあります。重症筋無力症患者では免疫抑制剤治療が行われるケースも多く、それだけ髄膜炎菌感染症の発症リスクが高いと考えられます。

こうした状況を踏まえて厚労省は、本剤使用に当たっては、次のような点(添付文書の警告欄に記載)に留意し、適正に使用するよう強く求めています。

▼本剤の投与に際しては、▽発熱▽頭痛▽項部硬直—など髄膜炎菌感染症の初期徴候に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与などの適切な処置を行う

▼緊急な治療を要する場合などを除き、原則「本剤投与前」に髄膜炎菌に対するワクチンを接種し、とくに免疫抑制状態にある全身型重症筋無力症では、必要に応じて「ワクチンの追加接種」を考慮する

▼髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、「緊急時に十分に措置できる医療施設および医師」のもとで、あるいは「髄膜炎菌感染症の診断および治療が可能な医療施設との連携下」で投与する

▼髄膜炎菌感染症のリスクを患者に説明して、感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与える

▼本剤は、適応疾病に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与する。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性・危険性を患者・家族に十分説明し、同意を得てから投与する

 
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