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2018年5月の後発品割合は76.0%、都道府県別の最高は沖縄の85.9%―協会けんぽ

2018.10.12.(金)

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2018年)5月時点で76.0%となり、前月から0.4ポイント上昇した。都道府県別に見ると沖縄県・鹿児島県・岩手県の3自治体で、政府の第2目標「80%以上」をクリアしている―。

 こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が9月29日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら(2018年5月分)こちら(2018年4月分))。

直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)2月に後発品割合80%をクリア

 高齢化や医療技術の高度化などを背景に医療費が膨張し、我が国の財政を圧迫しています。2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。さらに2040年度にかけては、高齢化の進行スピードこそ鈍化するものの、医療保険制度を支える若年世代の人口が急速に減少していきます。このように「医療費が膨張を続け、一方で支え手が減少していく」状況の中では、公的医療保険制度、国民皆保険制度の基盤が極めて脆くなります。

公的医療保険制度の崩壊は、医療へのアクセスを大きく制限することになるため、我が国の健康水準は大きく低下してしまいます。そこで、「医療費の適正化」が非常に重要なテーマとなってくるのです。医療費適正化に向けては、例えば▼平均在院日数の短縮▼後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差の是正▼健康寿命の延伸―などさまざまな取り組みが進められています。

このうち後発品については、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定するとともに、診療報酬・調剤報酬における加算の設定や充実、地域での保険者協議会の活用依頼など、さまざまな使用促進策が講じられています。

 「協会けんぽ」の運営主体である全国健康保険協会でも、従前から後発品の使用促進に積極的に取り組んでいます。例えば、医療機関を受診し医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴兄に処方される医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出しているほか、毎月の後発品使用割合を公表しています。9月29日には、今年(2018年)4月および5月の後発品使用割合が公表されました(2018年3月の状況はこちら、2018年2月の状況はこちら)。メディ・ウォッチでは、最新データとなる今年(2018年)5月の状況を見てみましょう。

まず全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)は、3月から1.0ポイント、4月から0.4ポイント上昇し、数量ベースで76.0%となりました。
協会けんぽ後発品割合(2018年5月)1 180929
 
第2目標「80%以上」との間には、4.0ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年6月から2018年5月)では、単純計算で「1か月当たり0.46ポイント」のペースで後発品割合が上昇しています。仮に、このペースが継続するとなれば、計算上は来年(2019年)2月に第2目標「80%」をクリアできることになります。ただし、昨年(2017年)1年間は「後発品の使用が思うように進まない」状況もあり、今後もこうした状況に陥る可能性もあります。今後の動向を注視していく必要があります。

80%以上をクリアする自治体がある一方で、徳島、山梨の2県で依然、70%未達

 後発品割合は協会けんぽ全体では着実に上昇していることが分かりましたが、都道府県別に見ると、まだまだ大きなバラツキがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で85.9%(3月から1.3ポイント、前月(4月)から上昇)、次いで鹿児島県の82.2%(3月から0.6ポイント、前月から0.4ポイント上昇)、岩手県の82.0%(3月から1.6ポイント、前月から0.5ポイント上昇)で高くなっています。ただし、「80%以上」クリアは3自治体のままです(2018年3月から3自治体)。

 逆に、最も低いのは徳島県で67.2%(3月から0.7ポイント、前月から0.6ポイント上昇)です。また今年(2018年)5月時点で、第1目標の「70%以上」すらクリアできていない自治体は、ほかに山梨県69.1%(3月から1.9ポイント、前月から0.8ポイント上昇)だけ(徳島、山梨のみ)となっており、他自治体では「70%以上」はクリアできています。
協会けんぽ後発品割合(2018年5月)2 180929
 
最高の沖縄県と最低の徳島県との間には、18.7ポイントの差があり、徐々に広がってきてしまっています。2018年度からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されており、「医療費適正化」を「我が事」と捉え、先進県(沖縄県や鹿児島県)の取り組みを参考に、後発品の使用促進に取り組むことが期待されます。

 
 
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