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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2018年4-8月、医療費の伸びは鈍化、調剤医療費のマイナスが主要因―厚労省

2019.1.30.(水)

 2018年度診療報酬改定後の医療費の動向を見ると、2018年4―8月の5か月で17兆6000億円となり、前年同月に比べて1.0%の増加にとどまっている。このペースが維持されれば、2018年度の医療費は42兆2400億円程度にとどまる―。

 こういった状況が、厚生労働省が1月28日に公表した、2018年8月分の「最近の医療費の動向—MEDIAS―」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

現在のペースが続けば、2018年度医療費は42.2兆円程度にとどまる

2018年度には、入院基本料等の体系を大きく見直す診療報酬改定が行われました。改定率は、ネット(本体+薬価+材料)でマイナス1.19%されています。

この診療報酬改定後に、医療費がどのように推移しているのかを見ると、2018年4-8月の5か月間(ただし4月分の医療費は、改定前の3月分の点数・診療内容に基づくものである点には留意が必要)で17兆6000億円となり、前年同月に比べて1.0%の増加にとどまっていることが分かりました。また2018年4-8月の5か月分医療費を12か月に引き延ばすと42兆2400億円となり、前年度に比べてわずか「0.1%増」にとどまる計算です。
2018年4-8月の医療費動向1 190128
 
年度ごとの医療費の伸び率(対前年度)は、▼2014年度:1.8%▼15年度:3.8%▼16年度:マイナス0.4%▼17年度:2.3%―となっており、このペースが続けば、2018年度は2016年度に続き、「医療費の伸びが鈍化した」年度となります。ちなみに、2016年度の医療費伸び率がマイナスとなった背景には、「2015年度に画期的ながら高額なC型肝炎治療薬(ソバルディやハーボニー錠)が登場し、医療費の伸び大きくなった」ことの反動があります(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

また、1人当たり医療費についても、2018年4-8月の5か月間で13万9000円となり、12か月分の引き延ばすと33万3600円で、前年度からの伸び率は「0.2%増」にとどまる計算です。
2018年4-8月の医療費動向2 190128
 

調剤医療費の前年度比3.2%減が、医療費鈍化の主要因

制度別に医療費の伸び率を見ると、2018年4-8月は、▼被用者保険本人:2.4%(2017年度は5.3%)▼被用者保険家族:0.2%(同1.4%)▼国保:マイナス2.4%(同マイナス2.2%)▼75歳以上:2.7%(同4.4%)―となっており、全体として伸び率が鈍化しているようです。1人当たり医療費の伸び率を見ても、類似の傾向が伺えます。

 
また、診療種類別に医療費の伸び率を見ると、2018年4-8月は、▼医科入院:2.6%(2017年度は2.7%)▼医科入院外:1.2%(同1.6%)▼歯科:1.4%(同1.4%)▼調剤:マイナス3.2%(同2.9%)▼訪問看護:17.0%(同16.4%)―などとなっており、「調剤医療費」の減少が、伸び率鈍化の主な要因であることが分かります。薬剤費を含めた調剤医療費の動向の詳細分析が待たれます。
2018年4-8月の医療費動向3 190128
 

大学病院・公的病院など急性期度の高い病院で、1施設当たり収益は向上

なお、医療機関等の種類別に1施設当たり医療費の伸び率を見ると、2018年4-8月は、▼大学病院:3.5%(2017年度は2.6%)▼公的病院:3.3%(同2.9%)▼法人病院:2.5%(同2.4%)▼個人病院:マイナス2.7%(同マイナス2.4%)▼医科診療所:マイナス0.4%(同0.9%)▼歯科診療所:1.2%(同1.7%)▼調剤薬局:マイナス4.6%(同2.0%)―などという状況です。大学病院や公的病院など、急性期度の高い病院において1施設当たりの収益が増加していると考えられるでしょう。
2018年4-8月の医療費動向4 190128
 
 
 
 
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