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病床稼働率の著しく低い病院、国の補助でダウンサイジングや機能転換を促進せよ―日慢協、武久会長・池端副会長

2019.5.24.(金)

 地域医療提供体制を詳しく見ていくと、病院ごとに病床稼働率・利用率に大きなバラつきがある。稼働率・利用率の低い病院は、「ダウンサイジング」や「地域の医療ニーズにマッチした機能への転換」がどうしても必要だが、コストもかかるため、何らかの補助を検討すべきではないか。また、地域には「住民が暮らしていくために欠かせない医療機関」も存在することから、そこは国などが関与し、存続を図る必要がある―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、5月23日の定例記者会見でこのような考えを述べました。

5月23日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

5月23日に定例記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長

 

同じ地域、同じ機能でも稼働率に大きな差があり、それは「地域住民の評価」結果

 入院医療においては「在院日数の短縮」が必要です。不必要な長期入院には、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者・家族の経済的損失(医療費がかかることはもちろん、収入が途絶える可能性もある)―などさまざまな弊害があるためです。

 さらに「入院から外来へのシフト」(例えば抗がん剤治療など)が進められ、病院によっては、新規患者の確保が追い付かず、病床稼働率・利用率が低下しているところもあります。一方、こうした「在院日数の短縮」等によっても病床稼働率・利用率を維持している病院も少なくありません(関連記事はこちら)。

 日慢協が病床機能報告結果をもとに調べたところ、例えば北海道小樽市では、稼働率・利用率が90%を超える急性期一般病院(急性期一般病棟を持つ病院、ケアミクスの場合も)がある一方で、60%そこそこの障害者病院(障害者施設等入院基本料の届け出病棟を持つ病院)もあります。
日慢協会見1 190523
 
また同様に大阪府門真市では、稼働率・利用率が90%近い急性期一般のみの病院がある一方で、70%そこそこのケアミクス病院もあります。
日慢協会見2 190523
 
さらに岡山県玉野市では、急性期一般・障害者施設・地域包括ケア・回復期リハというケアミクス体制を敷きながら、稼働率・利用率が40%台にとどまる病院もあります。
日慢協会見3 190523
 
こうした病床稼働率・利用率の差は「地域住民による評価の結果である。稼働率・利用率の低い病院は地域住民から評価されていない。今、何か手を打たなければ、10年後、20年後には存続できないであろう」と武久会長は見通します。

 
その際に重要となる視点として、(1)ダウンサイジング(病床数の削減)(2)機能転換―の2つがあげられます。

まず(1)のダウンサイジングは、地域の医療ニーズ(患者数)を踏まえて、病院を「適正な規模」にすることを意味します。池端幸彦副会長は「急性期病棟では70%、慢性期病棟では90%程度の病床稼働率・利用率がなければ安定経営は難しい」と指摘しており、例えば200床の急性期病院で、病床稼働率・利用率が60%にとどまっているのであれば、120人の入院患者を70%で割り戻し、170床程度にダウンサイジングすることがまず考えられます。これにより、看護配置を手厚くすることなどができ、場合によってはより高い診療報酬を取得できる可能性も出てきます。なお、都道府県知事が認めれば「200床未満」の病院であっても地域医療支援病院となることが可能です。

しかし、武久会長は「いまだに、病床数の多さをステイタスと考えている病院も少なくない」と指摘したうえで、「減反政策ならぬ『減床』政策として、ダウンサイジングを行う病院には一定の補助を行ってはどうか」と提案。この点、ダウンサイジングには地域医療介護総合確保基金を活用できますが、武久会長と池端副会長は「退職するスタッフも出てくるであろうし(退職金の発生)、構造設備の見直し(改修コストの発生)も必要になる」ことから、これらを適切に賄えるよう、さらに「1床当たり500万円程度の補助」を行うよう提言しています。

また(2)の機能転換は、地域の医療ニーズ(疾患等の構成)を踏まえて、「適切な病棟構成」にすることを意味します。例えば、高齢者の多い地域では「急性期病棟」から「回復期病棟」や「慢性期病棟」への転換することが求められます。

武久会長は、「公立病院であっても、地域によっては『急性期病棟の維持』から『回復期や慢性期への転換』へと柔軟な考えを持つ必要がある」と指摘しています。

この点、地域医療構想の実現に向けた議論を行う厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、「公立病院や公的病院等は、公立病院等でなければ担えない機能に特化すべき」とし、例えば「民間病院と公立病院が競合する地域で、公立病院が地域包括ケア病棟や療養病棟を整備することは好ましくない」との方針を打ち出しています。ただし、過疎地等で公立病院しかないような地域では、その公立病院が総合的な機能を果たす必要があり、急性期から回復期、慢性期まで多種類の病棟を持つべきことは当然で、武久会長の提言と、地域医療構想ワーキングとの議論とに齟齬はない点に留意が必要でしょう。

 
さらに武久会長・池端副会長は、ダウンサイジングや機能分化を進めてもなお経営が困難な病院のうち、「その病院がなければ地域が守れない」というところには、国等による補助で存続させる必要があるとも指摘します。

例えば過疎地や離島などでは、そもそもの患者数が少なく、病院は慢性的な経営困窮状態にあると言えるでしょう。しかし、当該病院の存続がなければ地域住民の生活がなりたたないようなケースでは、ダウンサイジングや機能転換を十分に進めた上で、「存続のための補助」を行う必要があると武久会長・池端副会長は強調。また池端副会長は「外来医療や在宅医療においても、バックベッドが必要である」とし、「ここは残さなければならない」という病院については存続のための補助をすべきと説明しています。

 
 

 

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