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入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)

2019.7.3.(水)

 病棟に「入退院支援・地域連携」業務を行うスタッフを配置することで、例えば「入退院支援業務の担当者が明確になり、地域との連携、調整がスムーズになる」「入退院支援に係る院内調整を円滑に行える」「より早期に退院支援を行う患者を病棟で抽出・関与できる」といった効果がある。ただし、そのスタッフが「専従であるか、専任であるか」などで効果の程度に明確な違いはない―

 7月3日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)で、厚生労働省からこういった調査結果が示されました。

こうした点を単純に受け止めれば、【入退院支援加算1】の取得で必要となる「入退院支援・地域連携業務に専従する看護師または社会福祉士を、加算算定病棟に専任で配置する」との施設基準を緩和してもよいのではないか、とも思われますが、「病院の規模」や「入退院支援・地域連携業務の担当スタッフの受け持ち患者数」なども詳しく分析していく必要がありそうです。

7月3日に開催された、「2019年度 第4回 入院医療等の調査・評価分科会」

7月3日に開催された、「2019年度 第4回 入院医療等の調査・評価分科会」

 

病棟での入退院支援スタッフ配置、大きな効果を病院側は実感

 2016年度・18年度の診療報酬改定では、退院困難な患者を早期に見つけ出し、集中的に支援することで早期退院を促す「入退院支援」の充実が重要テーマの1つとなりました。

2016年度改定では、【入退院支援加算】(当時は退院支援加算)について、病棟に入退院支援等を行うスタッフ配置などを求める【入退院支援加算1】(当時は退院支援加算1)を創設。▼入退院支援部門を設置し、「専従の社会福祉士1名以上+専任の看護師」または「専従の看護師1名以上+専任の社会福祉士」を配置する▼病棟に「入退院支援・地域連携業務に専従する看護師または社会福祉士」を「専任」で配置する(1人につき2病棟、120床まで)▼20以上の医療機関・介護サービス事業所などと連携し、入退院支援等業務に従事するスタッフと連携先の職員が年3回以上の頻度で面会し、情報共有などを行う―ことなどの施設基準が設定されました(関連記事はこちらこちら)。
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 地域連携室で「入退院支援が必要な患者がいる」という報告を待つのではなく、病棟で積極的に退院困難な患者を見つけて支援していくことを目指すもので、いわば「エース級」の看護師・社会福祉士が入退院支援・地域連携業務に携わることが期待されました。「専従のスタッフを、専任で配置する」とは、「入退院支援・地域連携業務に80%以上携わるスタッフ」(専従について明確な規定はないが、業務時間の概ね80%以上を当該業務に充てることと理解されている)が、最大2病棟を担当する(専任は同様に50%以上を当該業務に充てることとなるため、最大2病棟までしか担当できない)というイメージです。

 今般、厚労省が広く「病棟における入退院支援・地域連携業務に従事するスタッフの配置状況、活動状況」を調査したところ、▼【入退院支援加算1】の届け出・算定とは別に、当該スタッフを配置している病院も一定程度ある▼入退院支援等に向けて大きな効果が感じられている―ことが明らかとなりました。
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具体的な効果としては、▼入退院支援業務の担当者が明確になり、地域との連携、調整がスムーズになる▼入退院支援に係る院内調整を円滑に行える▼より早期に退院支援を行う患者を病棟で抽出・関与できる―などが目立ちますが、より明確に「早期退院につながる」という声も出ています。

早期退院を進めることにより、▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質を向上させることが可能であり、多くの病院で「早期退院に効果があると考えられる病棟の入退院支援等スタッフを配置している」実態は非常に喜ばしいことと考えられます。

入退院支援加算1、「病棟の専従・専任スタッフ」要件をどう考えるか

ところで、今般の調査では「こうした効果の程度は、入退院支援等スタッフが専従であるか、専任であるかなどで明確な違いはない」ことも分かりました。この結果を単純に踏まえると、【入退院支援加算1】の「病棟に入退院支援・地域連携業務に専従する看護師または社会福祉士を専任で配置する」という施設基準を緩和しても良いのではないか、と考えることもできそうです。地域において医療従事者が不足し、かつ「働き方改革」(時間外労働上限規制の厳格化など)が求められる中で、「専従・専任要件の緩和」は非常に重要なためです。

しかし入院医療分科会では、牧野憲一委員(日本病院会常任理事)や神野正博委員(全日本病院協会副会長)、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)らから「この結果のみを持って、【入退院支援加算1】の施設基準緩和を検討することは非常に乱暴で、早計である」との意見が出され、例えば▼病院の規模別▼入退院支援等スタッフ1人当たりの担当患者数別(個々のスタッフに着目した分析をし、特定のスタッフに業務が集中していないかも見ていく必要がある)▼具体的なアウトカム(定量的な在院日数短縮度合い)―などで詳しく分析できるか検討することになりました。詳細な分析により、「専従でも、専任でも効果等に大きな違いはない」という結果が出れば、「施設基準を緩和できないか」という議論に結びつきやすく、逆に「やはり専従スタッフのほうが大きな効果等が出ている」という結果が出れば、「専従スタッフ配置が好ましく、これを促すために報酬でも必要な対応を行うべきではないか」という議論に結びつきやすくなります。

入院時支援加算、必須要件でない「褥瘡リスクや栄養状態の評価」は未実施病院も多い

 2018年度診療報酬改定では、「入院の前から退院が困難になるであろう患者を抽出し、支援を行っていく」ことの重要性が再確認され、新たに【入院時支援加算】(【入退院支援加算】の加算)が設けられました。例えば、「退院後に訪問介護などが必要になる」と予想される患者には、退院が見えてくるはるか前、つまり入院前に「要介護認定を受けているか」などを確認し、未申請であればケアマネジャーなどと連携して申請を支援することで、「要介護認定結果を待ち、退院が遅れる」事態を避けることができます(関連記事はこちらこちら)。

 厚労省の調査では、【入院時支援加算】により▼入院前に利用していたサービスが把握できることで、退院先の見通しが立てやすくなった▼入退院支援加算に係る退院困難な要因を有している患者の抽出が容易となった▼病棟での入院時の受入における入院生活等の説明に係る負担が減った―などの効果が出ていることが確認できました。また、従前より「入院前からの患者支援」を推進している佐久総合病院・佐久医療センターの西澤延宏・副統括院長兼副院長は、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン開催のセミナーで、▼患者満足度の向上▼病棟スタッフの負担軽減▼診療単価の向上―など、さまざまな効果があることを強調しています(関連記事はこちら)。

 
 ところで、【入院時支援加算】を算定するためには、【入退院支援加算】を算定する予定入院患者に対し、入院前に▼身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握(必須)▼入院前に利用していた介護サービス・福祉サービスの把握(必須、要介護等の場合のみ)▼褥瘡に関する危険因子の評価▼栄養状態の評価▼服薬中の薬剤の確認▼退院困難な要因の有無の評価▼入院中に行われる治療・検査の説明▼入院生活の説明(必須)―を行うとともに、「入院中の看護・栄養管理等に係る療養支援計画」を立て、それを患者や病棟スタッフと共有することなどが必要となります(他、施設基準を満たす必要がある)。
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 ただし、厚労省の調査では、入院前に実施すべき項目のうち、必須とされていない▼褥瘡に関する危険因子の評価▼栄養状態の評価―などは必ずしも十分に行われていないことが分かりました。多くの病院は、全項目を実施していない理由について「全項目を入院前に実施する必要がなかった」としていますが、「配置看護師・社会福祉士のみでは、全項目の実施は困難」「他職種(医師、薬剤師、管理栄養士等)の協力が必要」という声も少なくありません。
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今後、円滑な入院生活の確保や早期退院に向けて「褥瘡リスクや栄養状態の評価」は必ずしも行わなくてよいのか、行うべきなのかなどに遡って議論が行われる見込みです。ただし、「褥瘡対策が重要となる療養病棟において、褥瘡リスクの評価が十分に実施されていない」点には別の角度からの分析・検討も必要かもしれません。

 

 

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