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産科・新生児科医療の「集約化」、救急医療の「搬送受け入れ件数」での評価など進める―医療計画見直し検討会

2019.12.10.(火)

産科や新生児科など周産期医療については「集約化」を進めることで、医療の質や医療機関の経営を確保することができ、また「医師の働き方改革」にもつなげることができる―。

救急医療については「搬送受け入れ件数」を新たな評価指標として、地域の救急医療体制の整備状況を評価していく必要がある―。

「へき地」と「医師少数区域・医師少数スポット」とが重複しない場合でも、へき地に必要な医療が確保されるよう、へき地の医療計画の中で「医師の巡回診療」などを確実に盛り込む必要がある―。

11月28日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった方向が概ね固められました。

11月28日に開催された、「第16回 医療計画の見直し等に関する検討会」

2020年度に医療計画の中間見直しを行い、21年度から稼働させる

2014年施行の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、医療・介護連携を進めるために、従前の「5年を1期とする」医療計画から「6年を1期とする」医療計画に改められました。これにより「3年を1期とする」介護保険事業(支援)計画と歩調を合わせることが可能となります。

現在、2018-2023年度を対象とする第7次医療計画が稼働していますが、6年間は長期間であり、その間に地域医療を取り巻く状況が大きく変化すると考えられることから、「3年後」(第7次医療計画では2021年度)に中間見直しを行います。具体的には、▼2019年中に見直し事項等を検討会で固める → ▼2019年度中に医療計画見直し指針を厚労省で定める → ▼2020年度に各都道府県で見直し作業を進める → ▼2021年度から見直し後の第7期医療計画を稼働させる―というスケジュール感です。

ところで中間見直しが大きなものとなれば、「医療計画の前提が崩れ、これまでの都道府県の取り組みが水泡に帰してしまう」こともありうるため、検討会では「小幅な見直し」(5疾病・5事業および在宅医療ごとの課題把握や、指標の見直し(追加)など)にとどめることを確認しています。大きな見直しは第8期計画(2024-29年度を対象)に向けて検討されます。

11月28日の検討会では、▼周産期医療▼救急医療▼へき地医療▼精神疾患▼がん▼脳卒中▼心血管疾患▼糖尿病―について、中間見直し方向を固めました。また「在宅医療」については下部組織(在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ)において「在宅歯科医療の提供体制の構築を進めるための指標」を追加することが固められています。今後、検討会で「5疾病5事業および在宅医療」の残りの領域(災害医療、小児医療)についても中間見直し内容を詰めていきます。

各事業・疾病の見直し方向は、概ね次のように整理できます。

【周産期医療】
▽周産期医療における精神科との連携について、「【ハイリスク妊婦連携指導料1・2】の届け出医療機関数」を指標に追加する

▽災害時小児周産期リエゾンについて、重点指標に据えるとともに、災害医療・小児医療に係る指標例にも追加し、災害医療の体制構築との整合性に留意した扱いとする

▽「母体・新生児搬送数・都道府県内搬送率」「母体・新生児搬送数のうち受入困難事例の件数」について計算方法等の見直しを行う(周産期医療機関ごとの搬送受入数に改める)

周産期医療体制の評価指標見直し方向(医療計画見直し検討会1 191128)



【救急医療】
▽プロセス評価において、新たに「救急車の受入件数」「転院搬送の受入件数」「転院搬送の受入件数」「転院搬送の実施件数」「転院搬送の実施件数」「救急要請(覚知)から救急医療機関への搬送までに要した平均時間」を指標とする

▽ストラクチャー評価における「転棟・退院調整をする者を常時配置している救命救急センターの数」を重点指標に据える

救急医療体制の評価指標見直し方向(医療計画見直し検討会2 191128)



【へき地医療】
▽プロセス評価において、「へき地医療拠点病院の中で主要3事業の年間実績が合算で12回以上の医療機関の割合」「へき地医療拠点病院の中でへき地医療拠点病院の必須事業の実施回数が年間1回以上の医療機関の割合」を指標に追加する

へき地医療体制の評価指標見直し方向(医療計画見直し検討会3 191128)



【精神疾患】
▽精神疾患の医療体制の現状把握として、地域の精神保健医療福祉資源の活用実態状況を網羅的に把握できる「ReMHRAD」を情報源に追加する

▽アウトカム評価において、「精神病床における退院後3・6・12か月時点の再入院率」にはレスパイト等の短期入院を行うケースがあるなどの課題を踏まえ、新たに「地域平均生活日数」と指標を見直す

【がん】
▽現状維持とする(現在、第3期がん対策推進基本計画の中間評価を行い、新たな第4期計画(2024-28年度)策定論議が近く始まることから、第8期医療計画に向けて指標等見直しの議論を行うこととする)

【脳卒中】
▽現状維持とする(第8期医療計画に向けて指標等見直しの議論を行うこととする)

【心血管疾患】
▽現状維持とする(近く、基本的策定論議が始まるため、第8期医療計画に向けて指標等見直しの議論を行うこととする)

【糖尿病】
▽新たに▼糖尿病患者の新規下肢切断術の件数(合併症治療のアウトカム指標)▼1型糖尿病に対する専門的治療を行う医療機関数(合併症予防を含む専門治療のストラクチャー指標)―を評価指標に追加する

糖尿病に関する医療体制の評価指標見直し方向(医療計画見直し検討会5 191128)

救急搬送受け入れ件数に着目した診療報酬上の評価などの検討も進む

周産期医療については、例えば新生児特定集中治療室(NICU)の整備が全国的に進み、2017年度に「整備目標」が達成されています。一方で、少子化が進んでおり、症例の分散と、これに伴う「医療の質確保」「労働資源の分散」が懸念されており、今後、産科医療機関や新生児医療機関について「集約化」を進める方向が検討されています。11月28日の検討会に参考人として出席した日本産科婦人科学会の木村正理事長も「現在の分娩施設をすべて維持しようとすれば、共倒れとなってしまう。少なくとも病院については一定程度の集約化が必要である。一方で産科クリニックなどはアクセスポイントとして確保すべきである」と強調。

この方向に加納繁照委員(日本医療法人協会会長)も賛意を示し「NICUの新設に制限を設けるなどの検討が必要である」とコメントしています。

こうした点を踏まえて中央社会保険医療協議会でも「新規NICU1(新生児特定集中治療室管理料1)取得では、病床数要件(一定規模以上のユニットを設置しなければならない)を課してはどうか」という見直し方向が議論されていますが、診療側委員からは「時期尚早である」との声が出ており、診療報酬の行方はまだ不透明です。

また、産科や新生児科では「医師の長時間労働」が極めて多いことが分かっており、「医師の働き方改革をどう進めるか」も注目ポイントです。この点について木村参考人は「集約化・大規模化を進める必要がある。例えば、過程の事情でオンコールが障壁になっている医師もいる。そうした医師でも『週に何回かの定時勤務』という働き方は可能である。大規模化で医師数も増やし、オンコールに対応する別の医師を確保することなどが必要である」との考え方を示しています。

なお、周産期医療センターについてはBCP(業務継続計画)の策定が指定要件に盛り込まれる方向も固められています。



一方、「救急医療」に関しては、「救急搬送受け入れ件数」が新たな評価指標に盛り込まれることも踏まえ、中医協において「救急搬送受け入れ件数に着目した新たな加算」の創設方向が固められています。

「へき地」と「医師少数スポット」が重複しない場合でも、医療確保ができるように

ところで、地域間・診療科間の医師偏在の是正に向けて、現在、都道府県で「医師確保計画」を作成中です。新たな指標に基づいて「医師少数区域(主に2次医療圏)」「医師少数スポット(2次医療圏内のより狭い地域、市町村など)」を定め、医師多数区域等から医師派遣を強化することなどを計画に盛り込みます(関連記事はこちらこちら)。

この点、「医師少数区域・医師少数スポット」と「へき地」とが重複していれば、医師確保計画の中で「へき地での医師確保」対策が図られますが、「医師少数スポット」と「へき地」とが重複しない場合、医師確保計画の中での「へき地への医師確保」対策は不十分となってしまいます。

へき地と医師少数区域等との関係(医療計画見直し検討会4 191128)



そこで厚労省は、▼「医師確保計画」と「へき地に従事する医師の確保対策」を連携させ、整合性をとることを「へき地に関する医療計画に記載される」よう指針(医療計画作成・見直しのために厚労省医政局長・地域医療計画課長が示す通知)に明記する▼第8次医療計画に向け、医師確保計画策定後の各都道府県における「へき地での医師確保の状況」を踏まえ、医師確保計画とへき地医療計画の連携について引き続き整理する―考えを示しました。

ただし、へき地では人口数も少ないことから、医師の確保(医師を派遣して常駐させる)よりも「医療の確保(定期的な巡回診療を実施するなど)」に力点が置かれている点に留意が必要です。
 
 

 

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