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大腸がんの術後抗がん剤選択での「マイクロサテライト不安定性検査」、保険診療で実施可能に―厚労省

2020.12.3.(木)

大腸がんの術後抗がん剤を選択する際に「マイクロサテライト不安定性(MIS)検査」を行うことを保険診療上認める―。

厚生労働省は11月30日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を示し、こうした点を明確にしました。12月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

大腸がん治療において、より的確に診断を行い、より効果的な治療法を選択する道が広がってきています。

大腸がんの術後抗がん剤選択のためのMIS検査、2500点を算定

ヒトの細胞は常に分裂を繰り返しています。分裂は、「細胞内のDNAの2本鎖がほどける」→「1本になった両鎖の対となる形で新しい鎖がつくられる」→「元の1本鎖と新しい1本鎖とが結びつき、2つの2本鎖」となる、という工程で進みます。この新しい鎖を作る際にエラー(ミス)が生じることがあり、それが、細胞ががん化する要因の1つと考えられています。

このエラーは多くの場合、修復されますが、その修復機能が衰えていることがあり、それは言わば「がんになりやすい」状態と言えるでしょう。このエラー修復機能が衰えている状態を「マイクロサテライト不安定性」と呼び、遺伝性大腸がんの1種である「リンチ症候群」では約9割の患者で「マイクロサテライト不安定性」が生じているとの研究結果があります。

医療保険でも、がん患者の診断補助を行うための「マイクロサテライト不安定性検査」がD004-2【悪性腫瘍組織検査】の中で評価(保険適用)されており、▼リンチ症候群の診断補助を目的とする場合▼局所進行、もしくは転移が認められた標準的な治療が困難な固形がんの抗がん剤治療法選択を目的とする場合―に、次の区分に従って所定の点数を算定きます。

▽リンチ症候群の診断補助を目的とする場合
→2100点(イ「処理が容易なもの」のうち(2)「その他のもの」として)

▽局所進行、もしくは転移が認められた標準的な治療が困難な固形がんの抗がん剤治療法選択を目的とする場合
→2500点(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)

D004-2【悪性腫瘍組織検査】



今般、この「マイクロサテライト不安定性検査」が、「手術後の大腸がんについて、抗がん剤治療選択を目的とする場合」にも、医療保険の中で実施することが認められました。

この場合に算定する点数は、「2500点」(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)となります。



また、「リンチ症候群の診断補助」を目的とするマイクロサテライト不安定性検査については、上述のとおり「2100点」を算定できますが、「使用目的または効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品を使用した場合」は、ここから除外され、「2500点」(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)を算定することも新たに明らかにされています。



次のように整理することができるでしょう。

▽リンチ症候群の診断補助を目的とする場合
▼通常の場合
→2100点(イ「処理が容易なもの」のうち(2)「その他のもの」として)
▼使用目的または効果として、医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品を使用した場合
→2500点(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)

▽局所進行、もしくは転移が認められた標準的な治療が困難な固形がんの抗がん剤治療法選択を目的とする場合
→2500点(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)

▽手術後の大腸がんについて、抗がん剤治療選択を目的とする場合
→2500点(イ「処理が容易なもの」のうち(1)「医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」として)

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