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診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

糖尿病対策を効果的に進めるため「多職種連携」「医療機関連携」等を継続推進、予防・重症化予防・合併症対策が重要な柱—厚労省

2023.2.14.(火)

厚生労働省が2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を公表しました(厚労省サイトはこちら)。

糖尿病対策中間まとめ



生活習慣病の1つである「糖尿病」対策が重要性を増しています。2016年には「糖尿病が強く疑われる者」の数は1000万人となり、まさに「国民病」の1つと言えそうです。

糖尿病は重度化すれば「腎機能が低下し、透析が必要となる」事態に陥り、患者自身のQOLが著しく低下するとともに、医療費の高騰をも招いてしまいます。

そこで「糖尿病」にならない(予防)、重度化させない(重症化予防)が極めて重要となり、厚労省の「腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」で具体的な対策に関する議論を行い、この議論結果を踏まえた「新たな医療計画」(第8次医療計画)策定が進められます(関連記事はこちらこちら)。

今般、「腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」において中間取りまとめが行われました。中間とりまとめは、(1)糖尿病対策に係る他計画との連携等を含めた診療提供体制(2)新型コロナウイル感染症拡大時の経験を踏まえた今後の糖尿病医療体制(3)糖尿病対策に係る指標の見直し—の大きく3つの柱で構成されています。

まず(1)の他計画との連携も含めた診療体制に関しては、「医療費適正化」「重症化予防」「治療と仕事の両立支援」などの動きを踏まえて、次のような方向を打ち出しました。

▽「地域の保健師・管理栄養士等と連携した糖尿病の発症予防」「保健師・管理栄養士等と医療機関の連携」「健診後の受診勧奨・医療機関受診状況等に係るフォローアップ」など予防と医療の連携に係る取り組みを引き続き推進する

▽最新の診療ガイドラインや調査・研究結果等を踏まえた診療・外来療養指導・外来栄養食事指導・運動指導を強化する

▽高齢者糖尿病に関しては高齢者糖尿病におけるコントロール目標などが設定されたことにも留意し、「低血糖予防」「フレイル対策」「併存症としての心不全」に関する実態把握、在宅医療・在宅訪問看護や介護・地域包括ケアとの連携等の要素も含め、糖尿病の治療や合併症の発症予防・重症化予防につながる取り組みを進める

▽合併症の発症予防・重症化予防に係る医療機関間連携(かかりつけ医医療機関-専門医療機関との連携)や関連機関等の連携を含む取組を引き続き推進する

▽糖尿病対策推進会議や糖尿病性腎症重症化予防プログラムなど、保険者と医療機関等が連携した取組を引き続き推進する

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援を含め、産業医等と連携した職域における糖尿病対策に係る取組を引き続き推進する(関連記事はこちら

▽周術期や感染症入院中の血糖コントロールなど「糖尿病を併存している他疾患を主たる病名として治療中の患者」の血糖管理体制についても取り組みを進める

▽患者・家族等に対する教育や、国民に対する正しい知識の普及啓発等に係る取り組みを引き続き推進する

▽糖尿病の動向や治療の実態を把握するための取り組みや、その評価のための適切な指標の検討を引き続き推進する(後述)



また(2)では、▼感染症流行下等の非常時にも「切れ目なく糖尿病患者が適切な医療を受けられる」ような体制整備▼ICTの活用やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の利活用、在宅医療との連携を含めた継続的・効果的な疾病管理に係る検討▼「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿った、オンライン診療による対応が可能な糖尿病患者の病態像についての整理—を進める考えを明確にしています。初期の糖尿病では自覚症状などがないために「医療機関を受診しない」「医療機関を受診してもドロップアウト(患者が勝手に治療を中断)してしまう」ことにより、結果、重症化を招いてしまうことが問題視されています。このため「オンライン診療などを活用して、受診継続を図り、重度化防止を目指す」などの取り組みが重視されており、こうした方向が一層強化されるものと期待されます。



他方、(3)では「取り組みが上手く進んでいるのか?本当に効果(糖尿患者の減少、重症患者の減少など)を生んでいるのか?」を把握するための指標に考え方を整理しています。都道府県において医療計画の中に「糖尿病対策」を記載することが求められ、さらに効果評価を行うことも求められます。その評価にあたっても下記の指標が活用されることになります(関連記事はこちらこちら)。

▽▼糖尿病の予防▼糖尿病の治療・重症化予防▼糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防—の3項目を軸として整理する

▽「専門家数」または「専門医療機関数」のいずれも用いうる指標については、医療提供体制の整備という観点から「専門医療機関数」を採用する

▽「比率」または「実数」のいずれも用いうる指標については、都道府県間での比較を可能とする観点から、原則として「人口10万人当たりの比率」を採用する

▼ただし「1型糖尿病に対する専門的治療を行う医療機関数」「妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に対する専門的な治療を行う医療機関数」など人口10万人当たりを母数とすることが必ずしも適当でなく、かつ、適切な母数(母集団)の設定が難しい指標については「実数」を用いる

▼「HbA1cもしくはGA検査の実施」や「重傷低血糖の発生率」など、糖尿病患者を対象とした検査の実施・糖尿病患者における合併症の発生については、母数として「糖尿病患者数」を用いる

第8次医療計画の糖尿病対策に関する指標案(第8次医療計画検討会5 221104)



厚労省は、この中間とりまとめも踏まえて「医療計画を作成するための指針」(医政局長通知、地域医療計画課長通知)を作成し、本年度末(2023年3月末)の発出を目指します。



なお、「高齢者の糖尿病の実態把握」「ICT等を活用した糖尿病対策のあり方」「糖尿病対策の取り組みの評価に係る適切な指標」については、今後も引き続き検討が進められます。



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