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8番目の患者申出療養「遺伝子変異に対応した分子標的薬治療」、メキニスト錠の安全性・有用性分析ステージに入る―患者申出療養評価会議

2023.6.1.(木)

8番目の患者申出療養である「遺伝子パネル検査でactionableな遺伝子異常を有すると判断された固形腫瘍に対するマルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」について、対象薬剤であるメキニスト錠に関しては、予定症例数に達したため、新規登録を停止し「安全性・有用性に関する分析」という次のステージに移る—。

5月24日に持ち回り開催された患者申出療養評価会議で、こういった点が了承されました。分析結果などから「安全性・有効性に関するエビデンス」が明らかになった場合には、メキニスト錠の「適応拡大」(保険診療の中でより多くのがん種に当該薬剤を使用可能となる)がなされる可能性も見えてきます。分析結果に期待が集まります。

標準治療を実施できない胸部悪性腫瘍について「凍結・融解」を繰り返し壊死させる技術

患者申出療養は、傷病と闘う患者の「海外で開発された未承認(保険外)等の医薬品や医療機器を使用してみたい」という希望・申し出を起点に、当該医療技術(未承認の医薬品等)に一定の安全性・有効性があることを評価会議で確認した上で、保険診療との併用を許可する仕組みです(2016年4月スタート)。

これまでに、次の14種類の患者申出療養が認められています(ただし「2」「3」「4」「5」「10」の技術はすでに新規患者の登録を終了)。
(1)腹膜播種・進行性胃がん患者への「パクリタキセル腹腔内投与および静脈内投与ならびにS-1内服併用療法」
(2)心移植不適応な重症心不全患者への「耳介後部コネクターを用いた植込み型補助人工心臓による療法」(関連記事はこちら
(3)難治性天疱瘡患者への「リツキシマブ静脈内投与療法」(関連記事はこちら
(4)髄芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍または非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍患者への「チオテパ静脈内投与、カルボプラチン静脈内投与およびエトポシド静脈内投与ならびに自家末梢血幹細胞移植術の併用療法」(関連記事はこちら
(5)ジェノタイプ1型C型肝炎ウイルス感染に伴う非代償性肝硬変患者への「レジパスビル・ソホスブビル経口投与療法」(関連記事はこちら
(6)進行固形がん(線維芽細胞増殖因子受容体に変化を認め、従来治療法が無効、かつインフィグラチニブによる治療を行っているものに限る)患者への「インフィグラチニブ経口投与療法」(関連記事はこちら
(7)早期乳がん患者への「ラジオ波熱焼灼療法」(関連記事はこちら
(8)遺伝子パネル検査でactionableな遺伝子異常を有すると判断された固形腫瘍に対する「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」(関連記事はこちらこちら
(9)HER2陽性の手術不能または再発の乳房外パジェット病患者に対する「トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ点滴静注用)静脈内投与療法」(関連記事はこちら
(10)ROS1融合遺伝子陽性の進行性小児脳腫瘍患者に対する「エヌトレクチニブ(販売名:ロズリートレクカプセル)の経口投与療法」(関連記事はこちら
(11)免疫グロブリンGサブクラス4自己抗体陽性難治性慢性炎症性脱髄性多発神経炎患者に対する「リツキシマブ追加投与療法」(関連記事はこちら
(12)BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫を有する小児を対象とした「ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法」(関連記事はこちら
(13)BRAF V600変異陽性の局所進行・転移性小児固形腫瘍に対する「ダブラフェニブ・トラメチニブの第II相試験」(関連記事はこちら
(14)EZH2阻害薬の有効性が期待される標準治療がない、または治療抵抗性の小児・AYA悪性固形腫瘍に対する「タゼメトスタット療法」(関連記事はこちら
(15)胸部悪性腫瘍に対する「経皮的凍結融解壊死療法」(還暦時はこちらこちら



5月24日には、次の3点の見直しを持ち回りで了承しています。

▽上記(8)の技術について、医薬品コホート(メキニスト錠)の新規登録を停止し、統計解析の実施に入る
→遺伝子パネル検査で最適な抗がん剤候補が見つかったが、当該抗がん剤が適応外である場合に「患者申出療養」を活用して自己負担を抑える(当該抗がん剤は完全自己負担(ただし、メーカーが薬剤を無償提供するケースもある)+通常診療部分は保険診療(1-3割負担))

→現在、22 種類の抗がん剤が(2種類の併用療法を含む)が対象となっているが、メキニスト錠の使用が予定症例数(50症例)に達したことから、新規登録を停止し、成果(安全性・有用性など)の分析に入ることとしたもの

→上述のとおり「安全性・有用性」が確認されれば、他のデータもあわせて「メキニスト錠の適用拡大」が検討される可能性もある



▽上記(8)の技術について、実施計画における「有害事象発現時の対応等」について「因果関係のないGrade4の有害事象(重い有害事象)が発現したが、軽快もしくは回復の転帰が得られた後に『臨床的に試験治療継続が妥当』と判断される場合には、試験治療の再開について検討することが可能である」旨を追記する

遺伝子パネル検査でactionableな遺伝子異常を有すると判断された固形腫瘍に対する「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」の概要(患者申出療養評価会議1 230524)

遺伝子パネル検査でactionableな遺伝子異常を有すると判断された固形腫瘍に対する「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」の対象薬剤(2022年9月26日時点)(患者申出療養評価会議2 230524)



▽上記(7)の技術について、重篤な有害事象が認められていない点を踏まえて「継続」を認める
→ニードル電極針を経皮的に乳房内腫瘍に刺し「がん細胞を加熱・死滅させる」技術で、「侵襲が少なく、整容面で大きなメリットがある」ものの、「手術療法に比べ再発リスクが高い可能性がある」と考えられることから「定期的に状況報告を受け、技術の継続実施を認めるか否かを判断する」こととされている

→今般、有害な重篤事象が発生していないことが確認され「当該技術の継続実施」が認められた

早期乳がん患者への「ラジオ波熱焼灼療法」の概要(患者申出療養評価会議3 230524)



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