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診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

介護保険施設等に「医療機関と連携した感染症対応力強化」の努力義務、実際の連携強化を介護報酬で評価—社保審・介護給付費分科会(2)

2023.11.28.(火)

介護保険施設等の感染症対応力を強化するために、「医療機関と連携して感染症対応力を強化する」努力義務を課す—

さらに実際に医療機関と連携し、地域の医療機関等による感染症対策の合同訓練などに参加する介護施設などを介護報酬で評価する—。

また新興感染症蔓延時に「軽症患者の施設内療養」を行う介護保険施設等を、介護報酬で評価する—。

11月27日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、こういった議論も行われています(関連の第1ラウンド論議の記事はこちら)(同日の認知症対応力強化に関する記事はこちら)。

同日には「BCP(事業継続計画)作成推進」「LIFEの利活用推進」「虐待防止」「送迎サービスのルール明確化」なども議題に上がっており、これらは別稿で報じます。

介護保険施設等に「医療機関と連携して感染症対応力を強化する」努力義務を課す

2024年度の介護報酬改定に向けた議論が、個別具体的な第2ラウンドに入っています。

11月27日の会合では、(1)認知症への対応力強化(2)感染症への対応力強化(3)業務継続に向けた取り組みの強化等(4)LIFE・口腔・栄養(5)高齢者虐待の防止、送迎—といった点が議題に上がりました。本稿では(2)の感染症対応に焦点を合わせ、他の項目は別稿で報じます(認知症対応力強化に関する記事はこちら)。

新型コロナウイルス感染症に対応する中で、「介護施設等でも平時から医療機関と密接な連携をとり、新興感染症への対応力を強化する」「介護施設等の入所者が新興感染症に罹患した場合、可能な範囲で施設内での療養を継続する」ことの重要性が何度も確認されました。

今後も新たな感染症が発生する可能性が指摘されており、厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課の和田幸典課長は、2024年度の介護報酬改定でも認知症対応力をさらに強化するため、大きく次の2つの対応を図ってはどうかと介護給付費分科会に提案しました。

(a)感染症発生に備えた平時からの対応を強化してはどうか

(b)新興感染症の発生時等に施設内療養を行う高齢者施設等への評価を行ってはどうか



まず(a)は、介護施設等と医療機関とか連携を強化し「感染症対応の知識、技術、意識を高めていく」ことを目指すものです。

高齢者施設等(介護保険施設、特定施設、認知症グループホーム)に対して「新興感染症発生時などに感染者対応を行う『協定締結医療機関』と連携し、新興感染症発生時等における対応を取り決める」努力義務が課されます。

2024年度から稼働する医療計画では、都道府県と管内医療機関との間で「流行初期に対応する」のか、「入院医療を担当する」のか、「外来医療を担当する」のか、「自宅療養患者などに往診・訪問診療などを行う」のか、「後方支援を担う」のか、「医療人材の派遣を行う」のかなどを予め協議し「協定を締結」しておくこととなっています。感染症が発生してから「どの医療機関にどのような対応をしてもらうか」を考えていたのでは、迅速な対応ができないため、「事前に、どの医療機関にどのような対応をしてもらうかを『協定』として明確にしておき、感染症が発生した際には、その『協定』に基づいて行動してもらう」こととするものです。高齢者施設等も、こうした計画に沿った対応をとることが期待されていると言えるでしょう。

新興感染症にかかる都道府県と医療機関との協定(社保審・介護給付費分科会(2)1 231127)



さらに、介護保険施設等では協力医療機関を定める義務がありますが、この協力医療機関が『協定締結医療機関』である場合には、介護保険施設等と協力医療機関との間で「新興感染症の発生時等における対応について協議する」義務が課されます。

介護保険施設等が実際に「医療機関と連携して感染症対応力を強化する」ことを介護報酬で評価

また、高齢者施設等はもちろん、すべての介護事業者が「感染症に対する意識、知識を高め、必要な制御技術を獲得しておく」ことが、感染拡大の防止、感染者への適切な対応、医療従事者の負担軽減、介護事業継続のために必要不可欠です。

このため、2021年度の前回介護報酬改定では▼感染症BCP(感染症が流行し、スタッフや利用者・入所者が感染した場合でも介護サービスを継続できるようにする計画)の策定▼感染症まん延防止のための研修・訓練の実施—を全ての介護サービスに義務付けており、2024年度から本格稼働します(2023年度までは経過措置期間)。平時から、日頃から「基本的な感染対策に係る知識、技術、意識の向上に努める」よう求める内容と言えます。

和田認知症施策・地域介護推進課長は、こうした平時からの基本的な感染対策を、厚労省の教材等を参考に各介護事業所・施設で継続するとともに、診療報酬における外来感染対策向上加算も参考に、上記の努力義務実践など、次のような対応を図る高齢者施設等を新たに評価(新加算等)してはどうかとも提案しました。

▽新興感染症の発生時等に感染者の診療等を実施する『協定締結医療機関』との連携体制を構築している(上記努力義務を、新加算を算定する場合には義務(要件)とする)
協力医療機関と「感染症発生時の対応」を取り決める(コロナ感染症を含む)
▽軽症者など「施設において対応可能な感染者」については、協力医療機関などと連携したうえで「施設内療養」を行う
▽感染症対策にかかる一定の要件を満たす医療機関等や地域の医師会が定期的に主催する「感染対策に関する研修」に参加し、助言や指導を受ける

あわせてコロナ禍での「感染管理の専門家による実地指導」の取り組みを参考に、「感染対策にかかる一定の要件を満たす医療機関から、施設内で感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受ける」ことも新たに評価(新加算)される見込みです。

診療報酬では、2022年度の前回改定で感染対策向上加算、外来感染対策向上加算を設けて「地域の医療機関、医師会、保健所が連携し、全体で感染症に対応する体制を構築する」こととなっています。このため加算算定医療機関などは定期的に「感染対策に関するカンファレンスを行う」「感染対策に関する訓練を行う」ことが求められています。介護保険施設なども、こうした訓練への参加することで、より地域の感染対策が進むと期待され、介護報酬で新たな評価が行われるものです。したがって「感染症対策にかかる一定の要件を満たす医療機関」とは、感染対策向上加算を取得する病院などが想定されます。

感染対策向上加算等の概要

感染対策向上加算等の施設基準概観



こうした内容に対し異論・反論は出ていませんが、「介護報酬と補助金などとの役割分担を明確にしておくべき」(小林司委員:日本労働組合総連合会総合政策推進局生活福祉局長、酒向里枝委員:日本経済団体連合会経済政策本部長)、「医療機関・医師会からの指導だけでなく、保健所による指導を受ける場合も要件を満たすと考えるべき」(稲葉雅之委員:民間介護事業推進委員会代表委員)、「老人保健施設や介護医療院では医師が常駐しており、当該医師が感染対策の研修を受けることで、『医療機関・医師会からの指導』の代替と考えてはどうか」(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)、「新たな評価では『施設内療養』が要件化されるようだが、高齢者施設等は治療の場ではない。医療提供体制の逼迫時にやむなく施設内療養を進める行うことは一定程度理解でるが、予め『要件化』しておく必要があるかどうか慎重に考えるべき」(江澤和彦委員:日本医師会常任理事)などの意見・注文がついています。こうした声も参考に、今後、詳細を詰めていくことになります。

新興感染症の軽症患者について「施設内療養」を行うことを介護報酬で新たに評価

また(b)は、上記(a)でも登場した「施設内療養」に関する論点です。

新型コロナウイルス感染症へ対応する中では、患者数の増加に地域の感染症病床の整備が追い付かず、医療提供体制が逼迫する事態が生じました。このため「高齢者施設等の入所者が感染した場合、軽症者については、必要な感染拡大防止策をとったうえで、高齢者施設等での療養を継続する」ことが求められ、対応する施設への補助も行われています(関連記事はこちらこちら)。

和田認知症施策・地域介護推進課長は、こうした取り組みも参考に「新興感染症蔓延時に施設内療養を行う施設などを介護報酬で評価」してはどうかと、次のような提案を行いました。

▽新興感染症のパンデミック発生時等に、高齢者施設等(介護保険施設、特定施設、認知症グループホーム)の施設内で、必要な体制を確保した上で当該感染者の療養を行うことに対する評価(新加算など)を行う

▽適切な医療提供、他入所者への感染拡大防止が重要となるため、▼当該感染症への対応を行う医療機関と連携していること▼適切な感染対策を行っていること—などを評価(新加算など)の要件とする

▽対象となる感染症は「今後のパンデミック発生時等に必要に応じて指定する」仕組みとする



この提案にも特段の異論・反論は出ておらず、今後、詳細を詰めていくことになります。



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