「30分毎に3分立ち上がる」、「10分多く歩く」、「膝伸ばしやスクワット10回ずつ反復する」ことで健康維持を—都健康長寿医療センター
2024.3.5.(火)
「30分ごとに3分間くらい立ち上がる」、「10分程度、余分に歩く」、「▼もも上げ▼膝伸ばし▼脚の横上げ▼スクワット—を、まず10回ずつ反復する」といった、ちょっとした身体活動の実施が、健康維持に非常に重要である—。
東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が3月1日に研究トピックス「運動・身体活動の『ちょい足し』のポイント:最近のガイドラインを踏まえて」を公表し、こうした点への留意を求めました(研究所のサイトはこちら)。
座りすぎは不健康に、少しの身体活動にも効果がある
昨年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢化の進展は「要介護者、要支援者の増加」につながるため、「介護予防」などが非常に重要となります。
この点、世界保健機関(WHO)の「身体活動・座位行動ガイドライン2020」では、▼身体活動は心身の健康に寄与する▼少しの身体活動でも、何もしないよりは良い。多いほうがより良い▼すべての身体活動に意味がある▼筋力向上はすべての人の健康に役立つ▼座りすぎで不健康になる▼身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、すべての人が健康効果を得られる—という重要なメッセージを発しています。
では、この「少しの身体活動」とは、どのようなことを、どの程度の時間実施すればよいのでしょう。この点について研究所では、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」などをベースに、(1)どのようなことを、どの程度の時間実施すればよいのか(2)推奨量を満たさなくても健康効果は得られるのか(3)今日からすぐにできることは何か—についてポイントを解説しました。
まず、(1)の「どのようなことを、どの程度の時間実施すればよいのか」については、次のような点が紹介されました。
【有酸素性運動】(散歩やウォーキング、ジョギング、自転車運動、ダンス、エアロビクス、水泳など)
→WHOでは、65歳未満・以上を問わず、少なくとも「週に150-300分の中強度運動」(普通歩行以上)、または「週に75-150分の高強度運動」(ジョギング以上)、あるいはそれらを組み合わせて実践すること推奨
→厚労省では、「65歳以上では1日40分以上の中高強度身体活動」(1日約6000歩の歩行)推奨
【筋力運動】(ダンベルやウエイト、マシンなどを利用する方法のほか、自体重による負荷を中心とし、ゴム製のチューブやピラティスボールなどで抵抗を調節する方法も推奨される)
→WHO、厚労省では、「中強度以上(ややきつい)の筋力運動を週に2日以上実践する」ことを推奨
【複合的運動】(有酸素性運動や筋力運動、バランス運動、柔軟性運動など、複数要素を組み合わせて実践する運動)のことを指します。
→▼WHO、厚労省ガイドでは、65歳以上の場合「中強度以上のレジスタンス運動やバランス運動から成る複合的運動を週に3日以上実践する」ことを推奨
もっとも、こうした運動を日常的に行うことは、それほど容易ではありません。
この点、上述のようにWHOでは「ちょっとした身体活動にも意味がある」こと強調します。例えば、▼歩数が「1000歩」(約10分)多いだけでも死亡リスクが低くなる▼1回10分未満の低強度身体活動でも、1日平均概ね3時間以上積み重ねているグループでは、最も短いグループに比べて6年間の要介護化リスクが約35%低い—などの研究結果が明らかになっています。
つまり、「推奨量を満たさなくても、健康効果は得られる」、「ちょい足しの積み重ねが介護予防につながる」と言えるのです。
一方、「運動のやりすぎ」については、「わかっていないことも多く、無理は禁物」とも研究所はコメントしています。
こうした知見を踏まえて研究所では、(3)の今日からすぐにできる「ちょい足し」として、次のような点を推奨しています。
▽「座りっぱなし」の時間を減らす・中断する(ブレイク30(サーティ))
→長時間の連続した座位行動を中断(ブレイク)することにも意義がある(座位時間が長くても、頻繁に立ち上がるなど、中断回数が多いと総死亡リスク上昇が緩和される)
→例えば、テレビを見ている時など「30分ごとに3分間くらい立ち上がる」(ブレイク30(サーティ))を取り入れる
→結果的に椅子からの立ち座り回数も増やせる
▽余分に歩く(プラス10(テン))
→あまり運動していない方は「1日10分間、余分に歩く」ことから始める(10分間=約1000歩)
→最初の1カ月間は「+10分(1000歩)」、次の1カ月間には「さらに+10分(1000歩)」といった具合に、「自身の身体と相談」しながら散歩やウォーキングの時間を段階的に増やす方法も推奨される
▽筋力運動の「ちょい足し」をする
→有酸素性運動(散歩やウォーキング等)と筋力運動を組み合わせて実践すると、「両方実践していない」「どちらか一方のみ」の人よりも心血管系疾患死亡・全がん死亡リスクが低値を示す
→例えば、▼もも上げ▼膝伸ばし▼脚の横上げ▼スクワット—を、まず「10回ずつ反復」してみる
→10回(約15分)繰り返した後に、「レベル9以上のきつさ」(ゼロが座位、10がもう限界)を感じる場合には回数を少し減らし、「レベル5よりも低い」と感じる場合には回数を少し増やすなど、自分に合った負荷(回数)を調整する(ややきつい、程度が望ましい)
→時間がない場合には、▼膝伸ばし▼スクワット—が推奨される
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