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「オーラルフレイルの予防・改善」のために、定期的な歯科受診や口腔機能維持トレーニング実施を—都健康長寿医療センター

2024.2.6.(火)

「口腔状態に問題」があると全身状態の悪化、認知機能の低下につながる。毎日の歯磨きと定期的な歯科受診、口腔機能を維持・向上するためのトレーニング実施が重要である—。

東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が2月1日に研究トピックス「栄養・口腔ケアのちょい足し:オーラルフレイル対策でいつまでもおいしく食べよう!」を公表し、こうした点への留意を求めました(研究所のサイトはこちら)。

「口のささいなトラブル」に早期に気づき、対処することが介護予防にとって重要

昨年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢化の進展は「要介護者、要支援者の増加」につながるため、「介護予防」などが非常に重要となり、その一環として「フレイル対策」が重視されています。

フレイルとは「加齢に伴い抵抗力が弱まり、体力が低下した状態」や「自立喪失(介護が必要な状態や死亡)のリスクが高まっている状態」などと定義され、自立→フレイル→要介護状態と進んでいきます。

しかし、適切な支援・介入により「フレイル→自立」と回復することも可能です。このフレイル予防においては「食べる」機能、中でも「咀嚼(噛む)」機能がとりわけ重要であることが分かっています(関連記事はこちらこちら)。

これまでに研究所では、次のような研究結果を既に明らかにしています(関連記事はこちら)。

▽(1)歯の数(2)咀嚼の困難感(3)嚥下の困難感(4)舌の力(5)舌口唇運動機能(6)咀嚼力—の6項目のうち「3項目以上該当する」場合を「オーラルフレイル」と定義したとき、高齢者の2割程度(19.3-20.4%)が「オーラフレイル」に該当する

▽「孤食」の人は、そうでない人に比べて、年齢や性別、独居の有無、生活習慣などの影響を調整しても「オーラルフレイルの割合が1.82倍」高い

▽オーラルフレイルの高齢者は、そうでない高齢者に比べ「低栄養状態である割合が2.17倍」高い

▽4年間の追跡調査によれば、オーラルフレイルの高齢者は、▼死亡リスクが高まる(そうでない者に比べて2.1倍)▼身体的フレイルになりやすい(同2.4倍)▼要介護状態に陥りやすい(同2.4倍)―

オーラルフレイルの健康リスク



この研究結果を踏まえれば、「オーラフレイル対策」が極めて重要であることが分かります。

さらに今般の研究トピックスでは、具体的な「オーラフレイル対策」を示しています。

まず、オーラルフレイルについては、下表の8項目について「はい」「いいえ」をチェックし、それぞれの合計点数が2点以下であれば「オーラルフレイルの危険性は低い」、3点であれば「オーラルフレイルの危険性あり」、4点以上だと「オーラルフレイルの危険性が高い」と判定されます。

オーラルフレイルチェック表



そのうえで、「オーラルフレイルの予防・改善」に向けて次のような対策をとることを提唱しています。

(A)毎日の歯磨きと定期的な歯科受診
(B)口腔機能の維持・向上を目的としたトレーニング

前者(A)の重要性は述べるまでもないでしょう、「歯磨きによって虫歯や歯周病を防止する」→「歯科医療機関で専門家によるチェックを定期的にしてもらう」ことで、口腔機能・咀嚼機能の維持が可能となります。この点、2024年度の診療報酬・介護報酬改定でも「歯科専門職による口腔機能チェック」を経済的に評価する項目が盛り込まれるため、例えば「介護施設や介護事業所において、要介護・要支援高齢者の歯科受診勧奨」に力を入れていくことが重要です(関連記事はこちら(介護報酬改定)こちら(診療報酬改定))。



後者(B)に関しては、次のような具体的なトレーニング方法を紹介しています。

▽肩と首のストレッチ(食べる前の準備運動として、首回りの筋肉の緊張をほぐし、鍛える)
・「息を吸いながら肩をあげて、息を吐きながら肩を下げる」動きをゆっくりと3回繰り返す
・「右へ首を倒して、左側の首筋を伸ばす」→「頭を元の位置に戻す」→「反対に左へ首を倒して、右側の首筋を伸ばす」→「頭を元の位置に戻す」動きをゆっくりと3回繰り返す

オーラルフレイル対策1



▽頬のトレーニング(口周りや頬の筋力をアップする)
・「頬をふくらます」→「舌を上顎に押し付けて、唇をしっかりと閉め、口から息が漏れないようにする」→「息を吸うように口をすぼめる」動きをゆっくりと3回繰り返す

オーラルフレイル対策2



▽舌のトレーニング(下の筋力をアップする)
・「口を大きく開け、舌をできるだけ前に出し、無理のない範囲で、しっかりと力を込めて舌を動かす」→「舌を上に向けて上唇を舌先で触る」→「左右の口角を舌先で触る」動きを3回繰り返す

オーラルフレイル対策3



▽唾液腺マッサージ(唾液の分泌を促す)
・▼耳下腺(耳の少し前ほど)▼顎下腺(下顎の骨の内側、首に近いところ)▼舌下腺(顎先の少し内側、舌の付け根あたり)—をそれぞれ「1回につき5秒程度」を目安にやさしくマッサージする(3回)

オーラルフレイル対策4



研究所では、▼フレイル予防には、なるべく多くの種類の食品を選び、バランスの良い食生活を送る(関連記事はこちらこちら)▼「固いものが食べにくくなった」「お茶などでむせることが増えた」「おしゃべりをしていて聞き返されることが増えた」など、「口に関するささいな衰え」を放置しない—ことを提唱しています。



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