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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

急性期リンパ性白血病治療の新薬を薬事承認、ただし肝障害による死亡例も―厚労省

2018.1.23.(火)

 抗がん剤「イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)製剤」(販売名:ベスポンサ点滴静注用1mg)について、「再発または難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」への効能・効果が認められ、薬事承認されたが、本剤の使用によって静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)を含む肝障害があらわれることがあり、死亡例も報告されている。このため、緊急時に十分対応できる医療施設で、造血器悪性腫瘍治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤投与が適切と判断される症例についてのみ行うとともに、定期的に肝機能検査を行い、VOD/SOSを含む肝障害の徴候や症状の発現に注意することが必要である—。

 厚生労働省は1月19日に通知「イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について」を発出し、こういった点に注意するよう呼びかけています(厚労省のサイトはこちら)。

骨髄抑制、膵炎、腫瘍崩壊症候群などの副作用も

 「イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)製剤」は、同日に「再発または難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」を効能・効果として薬事承認されました。

しかし、本剤使用によって静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)を含む肝障害が現れ、死亡例も報告されています。

こうした状況を踏まえて厚労省は、本剤使用に当たっては、次のような点(添付文書の警告欄に記載)に留意し、適正に使用するよう強く求めています。

(1)本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対し十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行う
(2)治療開始に先立ち、患者またはその家族に有効性・危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始する
(3)定期的に肝機能検査を行うとともに、患者の状態を十分に観察し、VOD/SOS を含む肝障害の徴候や症状の発現に注意する

また(1)のうち、「本剤の投与が適切と判断される症例」とは、「フローサイトメトリー法等の検査によりCD22抗原が陽性であることが確認された患者」を意味し、厚労省は、▼本剤の有効性・安全性を十分に理解した上で、適応となる患者の選択を行う▼本剤投与による造血幹細胞移植(HSCT)施行後の全生存期間への影響は、既存の化学療法と同程度ではない可能性が示唆されており、HSCT施行予定患者には、本剤以外の治療の実施を十分検討した上で、本剤投与を慎重に判断する—よう求めています。

なお、▼肝疾患のある、またはVOD/SOS既往歴のある患者▼HSCT施行歴のある患者▼感染症を合併している患者—には慎重投与が求められ、高齢者では「HSCT施行後のVOD/SOS発現リスクが高くなるおそれがある」ほか、一般に生理機能が低下しており「患者の状態を確認しながら慎重に投与する」ことが求められます。

このほか、▼骨髄抑制(感染症増悪のリスクあり)▼infusion reaction(アナフィラキシーショックなどの急性輸注反応)▼QT間隔延長(心筋細胞の電気的な回復の延長)▼膵炎▼出血▼腫瘍崩壊症候群—などが現れることにも留意が必要です。

 
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