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医療法人経営では集約化・大規模化が重要視点、地域医療連携推進法人設立も1方策―福祉医療機構

2020.1.14.(火)

医療法人の経営と事業規模には大きな関係があり、大規模法人ほど赤字割合が小さい。しかし、大規模化のハードルを考えたとき、例えば地域医療連携推進法人を設立して、リスク分散、多様化するニーズへの対応、コストカットなどを進めることも経営安定化の重要な1方策である―。

こうした状況が、福祉医療機構(WAM)が1月10日に公表したリサーチレポート「2018年度 医療法人の経営状況について」から明らかになりました(WAMのサイトはこちら)。

平均では増収・増益となるが、赤字医療法人の割合が増加

今般のリサーチレポートでは、WAMが貸し付けを行っている1248医療法人の昨年度(2018年度)財務諸表データを用いて、医療法人の経営上の課題などを分析しています。

まず2018年度における医療法人の決算状況(平均)を前年度の分析結果と比べると、事業収益(医業収益+介護老人保健施設事業等収益)が8865万8000円・2.6%増加(33億6676万7000円→34億5542万5000円)した一方で、事業費用は7205万8000円・2.2%の増加(33億956万3000円→33億8162万1000円)にとどまり、事業利益は1660万1000円・29.0%の増加(5720万4000円→7380万5000円)となりました。前年度に比べて「増収・増益」という格好です。

2017年度から18年度にかけて医療法人経営は平均で増収・増益となった(2018年度医療法人経営状況1 200110)



前年度との比較をより精緻に行うために、WAMでは「2017・2018の両年度の財務諸表データを保有する1136医療法人」の経営状況も分析しています。いわゆる「定点調査」であり、全体と同様に「増収・増益」であることが分かりました。具体的には、事業収益が7503万4000円・2.2%増加(34億1679万7000円→34億9183万1000円)したのに対し、事業費用は5519万3000円・1.6%の増加(33億6047万2000円→34億1566万5000円)にとどまり、事業利益は1984万2000円・35.2%増加(5632万5000円→7616万7000円)しています。

人件費は微増(従事者1人当たりでは前年度比0.2%増)しましたが、収入がそれを上回って増加(従事者1人当たりでは前年度比0.4%増)しており、人件費率は前年度比で低下(58.1%→57.9%で、前年度比0.2ポイント減)しています。

同一医療法人で見ても、2017年度から18年度にかけて増収・増益となった(2018年度医療法人経営状況2 200110)

医療法人の経営安定化には「集約化・大規模化」が極めて重要な視点

平均では、医療法人の経営状況は好転していることが分かりましたが、赤字法人の比率を見ると全体では2017年度:22.5%→2018年度:24.8%で、2.3ポイント増加しています。また、定点調査対象の1136医療法人では、赤字比率は2017年度:23.5%→2018年度:23.9%で、0.4ポイント増加しています。

赤字法人が増加した要因を探るために、WAMでは赤字法人と黒字法人に分けた分析。そこからは、次のような状況が見えてきています。

▽黒字法人のほうが従業員数、事業収益ともに規模が大きい

▽赤字法人では、「各費用項目の対事業収益比率」が軒並み高い

▽赤字法人では、従事者1人当たり事業収益が黒字法人よりも54万2000円も低い

黒字法人と赤字法人とで様々な違いがあるが、事業規模の差が大きい(2018年度医療法人経営状況3 200110)



WAMでは、公的医療保険・介護保険の下で収益規模を毎年拡大させることは難しく、「可能な限り地域ニーズに合わせた収益増加の取り組みをしたうえで、サービスの質を落とさない範囲で『コストカット』を推し進めなければ組織の維持が困難になるケースが増えていく」と見ています。



さらに法人の規模別に経営状況を比較すると、「事業規模の小さい法人のほうが赤字割合が高く、赤字割合が増加している」ことを改めて確認できます。前年度に比べて事業規模が10億円未満の法人では赤字割合が10ポイント超増加し、一方で40億円以上の法人では5ポイント超減少しています。

▽事業規模10億円未満:赤字比率34.6%(前年度に比べて10.4ポイント増加)

▽事業規模10億円以上20億円未満:赤字比率27.3%(同2.9ポイント増加)

▽事業規模20億円以上30億円未満:赤字比率22.3%(同2.3ポイント増加)

▽事業規模30億円以上40億円未満:赤字比率21.4%(同0.1ポイント増加)

▽事業規模40億円以上:赤字比率15.4%(同5.4ポイント減少)

事業規模が大きくなるほど、赤字割合は小さくなる(2018年度医療法人経営状況4 200110)

地域医療連携推進法人の設立で、リスク分散やコストカットを

WAMではさらに詳しく分析し、経営上の留意点を次のように探っています。

▽「診療所主体」の法人では赤字割合が45.0%と顕著に高い

▽「介護老健施設主体」の法人では赤字割合が15.5%と低い

▽3種の医療施設(病院、診療所、老健施設)をすべて運営する法人では赤字割合が20.2%と中程度である

この点、介護老健施設は現在好調ですが、介護報酬改定やニーズの変化等で状況が変わる可能性も大きなことから、複数事業の運営によるリスク分散が重要な視点になるとWAMは分析しています。

多角的に事業実施を行い、リスク分散することが経営安定化に重要となる(2018年度医療法人経営状況5 200110)



少子高齢化が進行する中では、現在の医療提供体制をそのまま維持することは難しく、厚生労働省は▼地域医療構想の実現▼医師をはじめとする医療従事者の働き方改革▼医師偏在対策―の3施策を進める方針を明確にしています。この3施策に共通するテーマとして「集約化・大規模化」があげられます。機能を集約し、大規模化を進めることで、医療従事者1人1人の負担も軽減され(当然、医療従事者の確保も重要)、医療の質も向上します。

厚生労働省は424の公立・公的等医療機関について、機能分化やダウンサイジングなどの再検討を要請していますが、そこでも「機能を再点検し、必要があれば当該機能を近隣医療機関と集約化する」ことが非常に重要な視点となります。

今般のWAM調査からは「経営的にも、民間病院においても集約化・大規模化が重要である」ことが再確認でき、今後、公立・公的等にとどまらず、民間においても「集約化・大規模化」を進めていくことが重要でしょう。

もっとも「集約化・大規模化」のハードルを考慮すれば、「連携の強化」が経営安定化に向けた近道と言えそうです。この点、WAMでは「地域医療連携推進法人」の設立によって、連携を強化し(リスク分散やニーズへの対応など)、コストを削減することが1方策になると見ています。

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