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へき地等で医療アクセス確保のための「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」、詳細を明確化—厚労省

2023.8.16.(水)

へき地等において開設可能となる「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」については、その趣旨に沿った場所での開設が求められ、また行政が積極的に寛容することが重要である—。

「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」では、開設時や定期に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を遵守可能な体制が整っていることなどを実地調査・チェックシート(チェックリスト)提出により確認する必要がある。実地調査は自治体職員が現地確認することが原則だが、代替手段を用いた調査も認められる—。

厚生労働省は8月14日に事務連絡「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための 診療所の開設に関する質疑応答集(Q&A)について」を示し、こうした考えを明らかにしました(厚労省サイトはこちら)。

オンライン診療指針が遵守可能かなど、適切な運用確保について実地調査も行って確認する

厚労省は5月18日に通知「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」を発出し、へき地等においても一定の医療提供を確保するために、特例的に「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設」を認める考えを明確にしました(関連記事はこちら)。

医療機関等の整備が十分でなく、医療アクセスに困難を生じているへき地等において、「公民館などに、オンライン診療を行うための医務室」を設置し、それを病院や診療所のサテライト施設として指定。医務室に医師は常勤していませんが、そこにPCやテレビ電話などを設置して、公民館スタッフなどの助力を得て患者がオンライン診療を受けるというイメージです。医療資源が極めて乏しいへき地等でも、またPC操作等に不慣れな高齢住民にも、一定の医療アクセスを確保するための特例措置です。

今般の事務連絡では、「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」開設にあたっての自治体・医療現場の疑問に答えています。

まず、開設者について厚労省は、「医療資源が限られ、受診機会が十分に確保されていない地域における患者の医療アクセスを確保するために、『行政が開設者となる』ことなど、行政が主体的に関与することが求められる」との考えを示しました。ここからは必ずしも行政のみしか開設できないわけではなく、医療法人や個人によるクリニック開設も可能であると考えられますが、その場合でも「行政による積極的な関与」が期待されます。

また、「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」開設を認める趣旨が「巡回診療や訪問診療が困難な場合や、看護師同席のもと患者宅でオンライン診療(いわゆるD to P with N)を行うことができない場合など、医療資源が限られている地域で患者の医療アクセスを確保する」ことにある点を踏まえた開設が必要です。逆に考えれば「巡回診療等が可能である」「D to P with Nによる対応が可能である」場合には、安易に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」開設を認めるべきではありません。この点、「へき地に限らず、都市部でも『医師が常駐しないオンライン診療のための診療所』開設を認めるべき」との考えもありますが、こうした趣旨に遡って考えることが重要です(関連記事はこちら)。



関連して、通知「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」では、「オンライン診療が病院・診療所の事業として行われる場合で、定期的に反覆継続(おおむね毎週2回以上)して行われることのない場合、または一定の地点で継続(おおむね3日以上)して行われることのない場合には、1962年の厚生省通知「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」に準じて新たに診療所開設の手続を要しない」との考えが示されています(関連記事はこちら)。

この点について今般の疑義解釈は、「オンライン診療を実施した場合のみを数える」のではなく、「対面診療とオンライン診療の合計回数で判断する」ことが明確にされています。



また、クリニックである以上「衛生環境の維持」が当然求められ、また上記の趣旨に照らすと「医師は常駐しないが、オンライン診療のサポート等を行う職員、検査等をサポートする看護職員等を配置しなければならないのだろうか」という点が気になります。この点について今般の疑義解釈では、「衛生環境維持やオンライン診療サポート等を行う職員については各診療所の事情に応じて適切に配置する」「提供する医療内容に照らし、必要に応じて適切に看護職員等を配置する」よう求めています。



ところで「対面診療のみを行っている診療所」から、「オンライン診療のための診療所に移行する」「医師が不在となる時間にオンライン診療を実施する」場合に、今回の通知が適用されるのかが気になります(新設のみが通知の対象となるのか否か)。この点については、都道府県・保健所設置市に申し出を行ったうえで、実地調査・チェックシートの提出といった「通知に定める手続き」を実施することが明示されました。新設のみならず、既存医療機関からの移行・転換も要件を満たせば可能となります。



「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」については、開設にあたって、また定期的(概ね1年毎)に「適切なオンライン診療等が実施されているのか」(「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿ったオンライン診療が行われているか)などをチェックすることとなっています(実地調査、チェックシートによる確認など、通知「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」の4ページ目以降にチェックシート・チェックリストが記載されている)。医師が常駐しないため、「不適切な運用」がなされていないかを自治体がチェックし、担保するイメージです。

この点については、次のような考え方が示されました。

▽実地調査・チェックシートの提出は、開設許可申請(医療法第7条第1項)・開設届の提出(同法8条)がなされ、その目的が「当該診療所の医師が常駐しないオンライン診療を実施する」ことであるときに行う

▽巡回診療実施計画の提出を受けた場合も、通知「へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療のための診療所の開設について」に記載のとおり実地調査・チェックシート提出が必要となる

▽その後、概ね1年毎に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を遵守可能な体制を整えているか確認する

▽「実地調査」は、原則として自治体職員が現地で確認することを想定しているが、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を遵守可能な体制が整っていることを現地確認と同程度の水準で確認可能な場合には、個別具体の事情に応じて代替手段を講じることも妨げられない

▽「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」開設のためには、原則として「チェックシートの全項目を満たす」必要がある

▽「開設前に充足することができない項目」(実際のオンライン診療実施後でなければ確認できない事項など)については、開設された診療所で医師が常駐しないオンライン診療を実施する場合に、チェックシートの各項目(「オンライン診療の適 切な実施に関する指針」における「最低限遵守すべき事項」)を遵守する必要がある



ほか、次のような点も明確にされています。

▽オンライン診療のための診療所は、「公民館のみ」といった特定の施設に限って開設を認めるものではないが、住民の医療アクセス確保の観点から「公民館などの身近な場所を活用する」ことが期待される

▽「オンライン診療のための医師が常駐しない診療所」をへき地診療所と指定することについては、今後、実態を踏まえながら検討していく
※へき地診療所は、主として無医地区等における地域住民への医療の提供を担うもので、医療計画策定指針上、「プライマリケア診療が可能な医師等がいること」「巡回診療を実施していること」「必要な診療部門、医療機器等があること」などが求められる

▽例えば、「県内の無医地区に立地する公民館で月2回の巡回診療を実施している」場合、うち1回をオンライン診療とする(公民館でオンライン診療を実施する)ことも制度上可能である

▽「準無医地区と同程度に医療の確保が必要な地区として、オンライン診療のための診療所を開設する必要がある」と都道府県が認める際の手続きについては特段の定めはないので、各都道府県の事情に応じて運用してほしい



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