Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

【遠隔健康医療相談】の具体例定を提示し、「認められる行為」と「認められない行為」とを明確化―厚労省

2023.12.8.(金)

厚生労働省は11月30日に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、オンライン診療指針)に関する新たなQ&Aを公表しました(厚労省サイトはこちら)。

これまでのQ&Aから更新された部分を見てみましょう。

医師以外の者による【遠隔健康医療相談】の具体例を明らかに

今回のQ&Aでは「遠隔健康医療相談」に関するQ&Aが3点追加されました。

遠隔健康医療相談はオンライン診療指針で次のように定義されています。

【遠隔健康医療相談(医師)】
→遠隔医療のうち、医師・相談者間で情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行い、患者個人の心身状態に応じた必要な医学的助言を行う
→相談者の個別的な状態を踏まえた診断など具体的判断は伴わない

【遠隔健康医療相談(医師以外)】
→遠隔医療のうち、医師または医師以外の者・相談者間で情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うもの
→一般的な医学的情報の提供、一般的な受診勧奨にとどまる
→相談者の個別的な状態を踏まえた疾患の罹患可能性の提示・診断等の医学的判断は伴わない



まず【遠隔健康医療相談(医師以外)】で実施可能とされている「一般的な医学的情報の提供、一般的な受診勧奨」について、次のような大枠の考えが示されました。

▽あらかじめ医師の監修の下で策定されたマニュアル等に従い、年齢、性別、身長・体重(BMI)などの相談者の属性や症状(発症時期、痛みの程度等)を踏まえ「一般的に可能性があると考えられる疾病についての情報提供」「採血や血圧等の検査(測定)項目に係る一般的な基準値についての情報」を提供することが可能

▽医学的判断を要さずに、社会通念上「明らかに医療機関を受診するほどではない」と認められる症状の者に対して経過観察や非受診の指示を行うこと、患者の個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な受診勧奨を行うことが可能

さらに、子ども医療電話相談事業(#8000)において、患者の個別状態に応じた医学的な判断を伴わない「一般的な医学的な情報提供」「一般的な受診勧奨」を行う際に、看護師等による応答マニュアルを活用している都道府県があることを紹介。より具体的に、次のような情報提供が「遠隔健康医療相談として実施可能」なのか、「遠隔医療相談としては実施不可」なのか、を明らかにしています。

(具体例)
【腰痛の相談に対して】
▽医師以外でも遠隔健康医療相談として実施可能なケース

▼医師監修のマニュアル等に従い、重篤な疾病を疑うべき患者の属性(高齢者等、以下同)や症状等(発熱、脱力等、以下同)を確認し、患者の「発熱があり、両足に力が入らない」との説明に対し、「一般に腰痛の場合、原因が明らかではないものも多いすが、発熱・両足脱力といった神経症状を伴うような場合には、感染を伴う腰痛の可能性もある」と伝える

▼上記例で、さらに「一般に、こういった感染を伴う腰痛の可能性がある場合は早期に医療機関に受診することを勧める」と伝える

▼医師監修のマニュアル等に従い、重篤な疾病を疑うべき患者の属性(高齢者等、以下同)や症状等(発熱、脱力等、以下同)を確認し、患者の「そうした症状等はなく、もともと腰痛持ちで歩行は可能」との説明に対し、「かかりつけの整形外科にかかることを勧めるが、受診までに湿布や解熱鎮痛剤を使用して様子をみることも考えられる。湿布や解熱鎮痛剤は薬剤師や登録販売者の指示や注意事項等をよく聞いて使用するように」と伝える

▼「数日前に軽い作業後に腰痛があったが、既に痛みが収まって数日経ち、重篤な疾病を疑うべき属性や症状等がなく、既往歴やその他の異常がない」という患者に対して、経過観察の指示をする

▽遠隔健康医療相談では実施できないケース
▼「あなたは骨折しています」「あなたは椎間板ヘルニアの可能性があります」と判断して伝える



(具体例)
【高血圧の相談に対して】
▽医師以外でも遠隔健康医療相談として実施可能なケース

▼「日本高血圧学会の診断基準では収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上の場合を高血圧としている」と伝える

▼上記例で、さらに「高血圧が気になる場合、まずは循環器内科等の内科を受診するように」と伝える

▼日本高血圧学会の診断基準に照らし高血圧に該当せず、その他の異常がない患者に対し経過観察の指示をする

▽遠隔健康医療相談では実施できないケース
▼「あなたは高血圧症です。」と判断して伝える



さらにQ&Aでは、▼患者の個別具体的な症状に基づいて、当該患者個人に関して「疾患の罹患可能性の提示や診断」などを行うことは、医学的判断を含む行為でありオンライン診療・オンライン受診勧奨に該当するので、医師・医師以外のいずれも「遠隔健康医療相談」として実施することはできない▼遠隔健康医療相談は、オンライン初診前に行う「診療前相談」とは異なる行為であり、遠隔健康医療相談を「診療前相談」として取り扱った上でオンライン診療を実施することはできない▼マニュアルを監修する医師は、専門の医師など「マニュアル監修者として適切な者」を選ぶことが望まれる—とも付言しています。

医師による【遠隔健康医療相談】では医学的助言も可能

他方、【遠隔健康医療相談(医師)】における「患者個人の心身状態に応じた必要な医学的助言」については、「医師は、必ずしもマニュアル等によらず医学的な専門知識・経験にも基づいて患者個人の詳細な心身状態を複合的に検討したうえで、一般的な医学的情報の提供が可能である」との考えを示したうえで、次のような「腰痛に対する相談」の具体例を示しています。

▽医学的な専門知識・経験に基づき「原因や対処方針に関する助言を行う上で重要と思われる質問」を個別に検討し、それに応じて既往歴・服薬歴や関連する症状等を確認

▽その結果、既往歴として糖尿病があり、腰痛と併せて発熱と両足の脱力があることが判明

▽「感染症の原因となり得る情報」を詳しく聞き取ったところ、患者が「重症の歯周病がある」と回答

▽得られた情報を複合的に検討し、次のように伝えることは【遠隔健康医療相談(医師)】として認められる
「一般に、腰痛の場合、原因が明らかではないものも多いが、既往歴に糖尿病がある場合に は感染症を発症・増悪しやすくなる。加えて両足の脱力と発熱が見られ、歯周病もある場合(ここまでで質問を個別に検討して症状等を確認)には、例えば、稀に歯周病を背景として細菌が血液に入り、細菌が脊髄近くに膿の袋を作って神経を圧迫し、腰痛や両足の脱力を引き起こしている可能性も考えられる(ここまでで、より詳細な心身の状態を複合的に検討)。伺った症状や既往歴がある場合、早期に医療機関に受診することを勧める(最終的に患者個人の心身状態に応じた必要な医学的助言)」



さらに、看護師が【遠隔健康医療相談】対応にあたり、聞き取った患者個人ごとの心身状態を医師に伝達し、当該医師の当該患者ごとに行う指示・監督の下で、当該医師の指示・監督の範囲内で「患者個人の心身状態に応じた必要な医学的助言を行う」ことも認められる点を明らかにしました。

国外在住者へのオンライン診療、本邦と海外の双方の医事関連法令遵守が必要

このほか、日本国内の医師が「国外に所在する患者へオンライン診療・オンライン受診勧奨を行う」場合について、▼診察・診断・処方等の診療行為は日本国内で実施されており、▼医師法、医療法やオンライン診療指針が適用されること▼オンライン診療等の実施に当たっては「患者の所在する国における医事関連法令」もあわせて遵守する必要があること—も明らかにされました。

海外在住患者等へのオンライン診療を行う場合には、本邦の法令と海外の法令の双方を熟知する必要があります。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

無理筋な「オンライン診療の拡大」要請に社保審・医療部会委員が冷静に反論、医療提供の根幹は「安全」である
初診からの向精神薬処方など「不適切なオンライン診療」を是正、D to Pwith N・D to Pwith Dを適切に推進—中医協総会(2)
へき地等で医療アクセス確保のための「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」、詳細を明確化—厚労省
一部に「歪んだオンライン診療」、適切な形でのオンライン診療推進を目指せ!D to P with Nの量・質の拡充を―入院・外来医療分科会(4)
安全・適正にオンライン診療等を推進するための基本方針、対面診療との適切な組み合わせが重要—厚労省
患者・一般国民の多くはオンライン診療よりも対面診療を希望、かかりつけ医機能評価する診療報酬の取得は低調―入院・外来医療分科会(5)
オンライン診療「推進基本方針」を近く取りまとめ!都市部で「オンライン診療のためのクリニック」認めるか?—社保審・医療部会(1)
へき地等での医療確保に向け、「医師が常駐しないオンライン診療のための診療所」を特例的に認める—厚労省
オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!―厚労省
オンライン診療指針を改訂!「得られる情報が少ない」点を強調するとともに、過重なセキュリティ対策規定を見直し!―厚労省
糖尿病治療薬を「ダイエット薬」等として処方する不適切なオンライン診療が散見、指針を見直し、国民にも周知を—社保審・医療部会(2)
「かかりつけ医機能」持つ医療機関の情報を国民に分かりやすく提示し、地域で機能充実論議を進める—社保審・医療部会(1)

通所介護事業所等でオンライン診療を受けられないか、有料老人ホームの人員配置緩和ができないか―規制改革推進会議

オンライン診療指針を改正し「初診からのオンライン診療」を制度化、かかりつけの医師によることが原則―厚労省
オンライン診療前に医学的情報把握する「オンライン相談」、医師がリアルタイムで診療と別に実施を―オンライン診療指針見直し検討会
電話・オンライン診療のコロナ特例、実施件数は横ばいから微減で適正実施が進む―オンライン診療指針見直し検討会(2)
完全初診患者へのオンライン診療、どういった仕組みで安全性など担保し、費用負担はどうすべきか―オンライン診療指針見直し検討会(1)
オンライン初診の制度化に向けた大枠固める、2021年秋の指針改定に向けて詳細をさらに詰める―オンライン診療指針見直し検討会
診療情報提供等ない初診患者、「事前のオンライン相談等で情報把握」しオンライン診療可能とせよ―規制改革実施計画

オンライン初診が適さない症状などを整理、「問診と動画のみで診断確定できる疾患」はほぼない―日本医学会連合

電話・オンライン診療の件数横ばい、不適切処方を繰り返す医療機関と新規医療機関が混在—オンライン診療指針見直し検討会(2)
「オンライン初診」の前提となる医学的情報把握、「医師の裁量」認めるべきでは―オンライン診療指針見直し検討会(1)
電話・オンライン診療、不適切事例は一部あるが減少傾向、臨時特例措置を当面「継続」―オンライン診療指針見直し検討会
オンライン診療予約から受診までの数時間で重篤化する危険も、事前トリアージを実施しては―オンライン診療指針見直し検討会
完全初診でも、予防接種や健診で患者情報を把握できればオンライン初診を認めて良いか―オンライン診療指針見直し検討会
初診含めたオンライン診療の恒久化論議開始、「完全初診」除外せよとの意見多数―オンライン診療指針見直し検討会(1)
初診からのオンライン診療解禁方針をトップダウンで決定、ただし電話初診は認めず—厚労省
2020年度の医療機関立入検査、オンライン診療や電話等診療が適正に実施されているかを重視―厚労省
完全初診患者への電話等診療、「ハイリスク薬の投与禁止」「処方日数7日まで」等のルールを遵守せよ―厚労省
「電話での湿疹治療」や「発熱患者に対面受診勧奨をしない」など、電話・オンライン診療の拡大に課題も浮上―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ対策、臨時特例的に電話等での初診を認め、214点に設定―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省