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260122ミニセミナー診療報酬改定セミナー2026

看護師特定行為研修の見直し方向固まる、「症例経験数」は指導者が研修受講者の技量を見て設定へ—看護師特定行為研修WG

2026.1.14.(水)

今後、少子高齢化がさらに進展し、「特定行為研修を修了した看護師」の活躍にさらに期待が集まる中、より特定行為研修を受講しやすくするため、例えば「研修受講者の技量を指導者が見極めて、症例経験数を設定する」「既に履修した科目については研修の免除を認めやすくする」などの制度改善を図るべきである―。

また、特定行為の内容について最新の医療・看護状況を踏まえた見直しを行い、例えば「末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル(Midlineカテーテル)の挿入」について、既存の「末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入」と同様に実施可能とするべきである―。

「看護師の特定行為研修制度見直しに係るワーキンググループ」(以下、ワーキング)が1月13日に開催され、こうした「看護師の特定行為研修制度見直し」内容を取りまとめました。2月にも「看護師特定行為・研修部会」(以下、部会)に報告し、そこでの議論を経て見直し内容を決定します。

●報告書(案)はこちら

1月13日に開催された「第4回 看護師の特定行為研修制度見直しに係るワーキンググループ」

少子高齢化が進む中で、特定行為研修修了看護師の役割がますます重要となる

一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38行為(21分野)の診療の補助(特定行為)を実施することが可能になります(関連記事はこちらこちら)。

看護師特定行為研修制度の全体像(看護師特定行為研修WG1 250917)



今後、▼高齢化の進展に伴って医療・介護の複合的ニーズが急速に膨らんでいく▼少子化に伴って医療従事者の確保が難しくなっていく—中では、一定の医行為を行える「特定行為研修修了看護師」の活躍に大きな期待が集まっています。とりわけ、「在宅療養や介護施設など、医師の関与が手薄になりがちな場面」、「新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症対応」、「医師働き方改革を進める中で、医師からの重要なタスク・シフティング先」などで、特定行為研修修了看護師がさらに活躍することが期待されています。

昨年(2025年)9月時点で、特定行為研修を実施する指定研修機関は474施設(定員6717名)、特定行為研修修了者は1万3887名に拡大しています。

特定行為研修の最新状況(看護師特定行為研修WG2 250917)



ただし、特定行為研修修了者の育成は、まだまだ十分ではなく、また「研修の内容や運用、さらに特定行為そのものにも改善点がある」ことも指摘されています。そこで厚労省はワーキングを設置し、「現場感覚に富んだメンバー」で特定行為研修制度について、▼効果的・効率的な研修の実施に向けてどういった見直し等が考えられるか▼特定行為の内容についてどういった見直し等が考えられるか—の検討を行ってきました。

1月13日の会合では、これまでの検討・議論の内容(関連記事はこちら(第1回)こちら(第2回)こちら(第3回))を踏まえた「報告書」案が厚生労働省から示され、これに基づいた議論を行いました。

制度改革の内容は既にこれまで見てきたものですが、改めて確認すると次のように整理できます。

【効果的・効率的な研修】
●看護師の能力を切れ目なく積み上げていく教育・研修

▽特定行為研修の「共通科目」で学ぶ内容は、すべての看護師が身につけておくべき知識・技能であり、看護師の「基礎教育」から組み込んでいくことが重要であるが、「生涯学習の視点も含め、どの項目をどの時点で学ぶことが適切か」を、基礎教育や新人看護職員研修に関する検討の場において具体的に議論することが求められる

(ワーキングでの意見)
・共通科目の中には「基礎教育に取り入れた方がよい内容」と「臨床現場で実践しながら学ぶ方が効果的な内容」がある
・基礎教育→新人研修と段階を踏んで「複雑な症例に対し、臨床推論、病態判断できる」力をつけていくべき
・「形だけ、ものまね」にならないよう、疾患ごとに「臨床推論が重要となる基本的な兆候、フィジカルアセスメント、臨床推論」までを一連で学ぶカリキュラムの構造とし、基本的な疾患から徐々に広げていくべき



●臨床判断能力、臨床実践能力を効果的・効率的に養う特定行為研修
(1)実習の在り方

▽「医療現場での患者との関わりを通した学び」は必須であり、区分別科目における実習については、▼シミュレーター等を活用した効率的な知識・技能習得とあわせて、「医療現場において患者に対する実技も実施する」ことを必須とする▼研修修了に必要な「患者に対する実技の症例数」は受講する看護師の習得状況等を踏まえて指定研修機関が設定するべきである

▽研修の質、修了後の実践の質を担保する観点から、同時に以下の対応を講じることが必要である
・通知「保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為及び同項第4号に規定する特定行為研修に関する省令の施行などについて」に示されている区分別科目の評価方法について、「各種実習の観察評価」を「患者に対する実習の観察評価」へと明確化する
・参考となる区分別科目ごとの到達目標を提示する
・研修受講中は受講者の習得状況に応じて補習を行うことを必須とする
・指定研修機関の症例数設定にあたり、直接指導を行った指導者の意見を踏まえ特定行為研修管理委員会で決定する
・研修修了後に患者に対して行為を実施する前に「知識・技能に関する確認を受ける」ことを必須とし、初めて患者に特定行為を実施する場合については、医師と一緒に実施することを推奨する

▽シミュレーターの活用は非常に有効だが、費用が高額であるなどの課題もあり、「シミュレーターを共同利用できる仕組み」づくりが必要である



(2)履修免除
▽「科目単位での履修免除」とする

▽科目単位の履修証明書(仮称)を発行できる要件
・通知「保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為及び同項第4号に規定する特定行為研修に関する省令の施行などについて」に示されている「学ぶべき事項」を網羅した研修内容であること
・研修は各科目で理解度を確認する構造になっていること
・「共通科目、区分別科目の到達目標に到達している」ことを確認していること。

▽履修したことを確認する統一フォーマット(履修証明書(仮称))の例を示すことが、履修免除の導入の推進や適正な運用につながると考えられる(現在は指定研修機関の7割程度しか履修免除を導入していない)
▼履修証明書(仮称)の項目
・受講者氏名 ・看護師籍登録番号
・履修した科目、受講期間、使用した教材・評価結果
・履修証明発行機関名・責任者名・発行年月日

▽履修証明書(仮称)の発行は、特定行為研修管理委員会で審査を行い、研修の内容や質が担保されることが望ましい

▽履修からの期間が長期に経過しているなど「履修証明書(仮称)だけでは本人の能力を測ることが難しい」場合は、必要に応じて筆記試験などの一定の能力の判断や復習講義等を受けた記録の確認などを特定行為研修管理委員会において審査することが望ましい



【特定行為の内容の見直し】
(1)「末梢静脈挿入式中心静脈用カテーテル(Midlineカテーテル)の挿入」
→すでに特定行為に含まれている「末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)の挿入」と同様の手技で実施可能であることを踏まえ、通知「保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為及び同項第4号に規定する特定行為研修に関する省令の施行などについて」の中で読めるようにすることが妥当

Midlineカテーテルについて(看護師特定行為研修WG5 251020)



(2)「抗がん剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整」
「がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版」(日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会)で「血管外漏出に対してステロイド局所注射を行わないことが弱く推奨されている」ものの、臨床現場での有用性を指摘する意見も踏まえ、「1年程度の経過措置期間を設け、当該行為に係る研修の受講状況、臨床現場での活用状況を国において調査し、臨床における影響等を確認した上で特定行為から削除する」ことを求める

抗がん剤等が血管外漏出した場合のステロイド投与など(看護師特定行為研修WG6 251020)

特定行為研修修了看護師による訪問看護、診療報酬等での評価を求める声

これまで繰り返し議論してきた内容であり、異論・反論は出ていません。2月に親会議である「看護師特定行為・研修部会」に上記内容を報告し、そこでの議論を経て早々に通知「保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為及び同項第4号に規定する特定行為研修に関する省令の施行などについて」改正へと進みます(4月スタートの研修開始に間に合うように通知改正が行われる見込み)。

なおワーキング構成員からは、今後の特定行為研修のさらなる発展に向けて例えば次のような意見・注文が出ています。親会議である「看護師特定行為・研修部会」での議論や、今後の診療報酬改定論議などに反映することが期待されます。

▽在宅医療の領域や診療所の外来などでも特定行為研修修了看護師の活躍が期待されるが、「特定行為研修修了看護師による訪問看護」に特別な点数・療養費が設けられていない点、手順書を示す医師側の理解が必ずしも十分に進んでいない点が課題であり、こう問題にも切り込んでいってほしい。また特定行為研修に関連する相談を気楽に行えるネットワーク、コミュニティがあるとよい(小林正宜構成員:葛西医院・院長)

▽今般の特定行為見直しに向けて学会・団体から意見を募ったが、そこからも「特定行為研修制度への理解」が必ずしも十分でないことが伺えた(「すでに特定行為に含まれる行為」の追加を求める声などが相当程度あった)。医療者側の理解をさらに進める必要がある(渋谷智恵構成員:日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程・課程長)

▽量の拡大(研修修了者の増員)に加え、今後は「質の担保」も重要課題となる。この点、医療・看護の進歩を踏まえた「教材の質の担保」についても議論を進めてほしい。また特定行為研修に関連する各種の情報(どのシミュレーター機器が安価であるなど)を広く共有する仕組みがあるとよい(大滝純司構成員:東京医科大学医学部・客員教授)

▽特定行為研修修了看護師の行為を診療報酬や療養費で評価することで、「研修中の代替要員確保」などがしやすくなり、病院サイドもより積極的に研修に看護師を送り出すことが可能となる。こうした点も今後、議論を進めてほしい(今明秀構成員:八戸市立市民病院・事業管理者)

このうち小林構成員や大滝構成員の提唱する「特定行為研修に関連する気軽な相談を行えるネットワークやコミュニティ」は非常に魅力的ですが、行政が仕組みを作り「利用してください」と動くよりも、現場レベルで有志が立ち上げていくことが重要でしょう。この点、多様な病院等からの研修を受け入れる指定研修機関では、いわゆる「同期会」のようなネットワーク・コミュニティが自然発生的に生まれ、特定行為研修に関連する気軽な相談、意見交換」が行われていると言います。こうしたネットワーク・コミュニティを「後輩の研修修了者」などにも広げていくことで、より多くの知見が集まっていくと期待されます。小林構成員は「ないのであれば、自分が立ち上げる」との意欲も示しており、今後、賛同者が広がっていくことに期待が集まります。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

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