Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 看護モニタリング

新型コロナ対応のために手術延期などして「病院の収益が減少」、国で補填を―医学部長病院長会議

2020.4.21.(火)

ICUの新型コロナウイルス感染症患者への特化や、手術の延期などに伴って「病院の収益減少」が生じており、これを公費で補填してほしい―。

また、新型コロナの院内感染防ぐため、手術や病理検査などに際し「無症候患者へのPCR検査」を保険適用すべきである―。

全国医学部長病院長会議は4月20日に、こうし内容の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療実施に関する声明」を発し、厚生労働省や内閣府等に対応を求めました。

新型コロナ院内感染防止のため、手術前等の「無症候患者へのPCR検査」の保険適用を

新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、我が国でも感染患者が急増しています。安倍晋三内閣総理大臣は、感染拡大を防止し、医療提供体制を確保するために4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行うとともに、「緊急経済対策」を閣議決定。さらに4月16日には緊急事態宣言の対象を、従前の7都県(▼埼玉県▼千葉県▼東京都▼神奈川県▼大阪府▼兵庫県▼福岡県―)から、全国に拡大しています。

そうした中で全国医学部長病院長会議は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では無症状の感染者が少なくないことから、▼手術▼分娩▼内視鏡検査▼病理検査▼救急医療―などの診療実施前や、病理解剖を行う際に「院内感染を予防するための無症候患者へのPCR検査が必要である」と強調します。この点については日本外科学会や日本医学会連合が、「全身麻酔管理のための気管内挿管や抜管操作はエアロゾルを発生しやすい」「新型コロナウイルスは血液や肝臓・消化管などの『呼吸器以外』にも存在する」ことから、知らずに手術等を実施することで、エアロゾル発生による飛沫(核)感染リスクが高まってしまうことを指摘し、新型コロナ核酸検査の保険適用を全身麻酔・局所麻酔管理下の外科手術症例へも拡大することを求めています(関連記事はこちら)。

全国医学部長病院長会議では、こうした状況を踏まえ、具体的に次のような点を厚労省や内閣府、総務省、文科省に強く要請しています。

(1)院内感染を防ぐ水際対策として「無症候の患者に対する新型コロナウイルスのPCR検査」を保険適用、ないしは公費による施行可能としてほしい


(2)PCR検査に必要な「個人防護具」(PPE)と「試薬」を確保してほしい


(3)大学病院はもちろん、診療所等を含むすべての医療機関において、例えば集中治療室確保のための手術件数制限や院内感染防止ための外来診療制限、侵襲的検査の制限など「新型コロナウイルス感染症対策のために業務内容を変更した場合」には、変更に伴う診療報酬減少等に損失補填をしてほしい



このうち(3)については、「分院を含めた大学病院全体で、【特定集中治療室管理料】の1-4を算定する病床と【小児集中治療室管理料】を算定する病床が1683床あり、診療報酬収入が概ね503億円弱である」といった点などを踏まえて、▼ICU(集中治療室)等をすべて新型コロナウイルス感染症の重症患者対応とした場合の補填分として1000億円▼年間の手術件数が3分の1に減少した場合の補填分として1000億円―の合計2000億円が必要になると試算しています。

大学病院のICU収益が年間508億円弱であると全国医学部長病院長会議では試算(全国医学部長病院長会議声明 200420)



各医療機関では、新型コロナウイルスに対応するために、例えば▼新型コロナウイルス感染症対応に特化するために、他の患者の転院等を進め、ベッドを空けて待機する▼ICUを新型コロナウイルス感染症の重症患者に重点化するため、ICUに入室する「他の重症患者」を一般病棟へ移動させ、一般病棟の患者を地域包括ケア病棟へ移動させている―などの取り組みを行っています。その際、前者では患者減に伴って当然に、後者でも玉突き(診療報酬の低い病棟への移動)による収益減少が生じます。この点への補填を十分に行うことで、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れが円滑に進むとも期待されます。



また(1)については、PCR検査が患者1人当たり1万5000円として、入院患者140万人に実施した場合に概ね210億円が必要になると試算しました。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

新型コロナの重症患者増加見据え、臨時特例的に人工呼吸器の単回使用構成品の「再使用」可能に―厚労省
新型コロナ核酸検査、全身麻酔・局所麻酔管理下の外科手術症例に保険適用を拡大せよ―日本外科学会
新型コロナ感染疑いでも、「生命が危険な状態にある」などの救急患者は速やかな受け入れを―厚労省
新型コロナ重症者受け入れた場合、救命救急入院料や特定集中治療室管理料を2倍+αに―中医協・総会
新型コロナ重症者対応、臨時に「ICU点数増」「ICU以外での特定集中治療室管理料等算定」など認めよ―集中治療医学会・救急医学会・日病
新型コロナ対策、看護職への危険手当と代替職員確保を実施せよ―日看協
がん患者、透析患者、妊産婦や小児などが新型コロナに感染した場合の医療提供体制を早急に整備―厚労省
サージカルマスクやゴーグルなどの防護具、洗浄・消毒のうえ同一品を複数患者診察等に再利用可能―厚労省
新型コロナ対策、地域の医療提供体制や緊急性など総合的に判断し「予定手術の延期」考慮を―日本外科学会
新型コロナ感染・疑い患者への外来診療を評価する【院内トリアージ実施料】、再来患者でも算定可―厚労省
新型コロナで全国の病院外来制限10.4%、停止0.8%、通常稼働は病院外来88.8%、病院入院91.2%―厚労省・内閣官房
新型コロナ対応、N95マスクは滅菌により2回までの再利用等が可能―厚労省
新型コロナで入院するまでの「自宅待機者」にも医療的フォローアップを、宿泊・自宅療養では感染拡大防止策徹底を―厚労省
新型コロナ対策、臨時特例的に電話等での初診を認め、214点に設定―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、新たな全自動検査機器を4月7日から保険適用―厚労省
新型コロナ軽症等患者の宿泊療養、急性増悪の可能性あり「SpO2低下」に注意を―厚労省
新型コロナ対策、病床確保や人工呼吸器・ECMO整備費等を支援する「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」創設―2020年度補正予算案
新型コロナ対応に医療資源を重点化するため、白内障や低悪性度がん手術などは「延期」要請を―厚労省
新型コロナ緊急事態宣言の実効性高めるため、医療物資調達や感染患者受け入れる医療機関への財政支援を―全国知事会
新型コロナ対策で総額108兆円超の緊急経済対策、病床や人工呼吸器・ECMOの確保、オンライン診療の臨時拡大など推進
新型コロナ対策の基本的対処方針を緊急事態宣言踏まえ改訂、「3つの密」を避け、医療提供体制を強化
新型コロナ疑い患者の外来診療で【院内トリアージ実施料】、新型コロナ感染患者の入院医療で【救急医療管理加算】等の算定認める―中医協総会
新型コロナへのBCG有効性は未確認、ゼロ歳時へのBCG接種に問題が生じないよう優先供給を―小児科学会・ワクチン学会
新型コロナ軽症者等の宿泊療養でホテル代・食事代は不要、宿泊・自宅療養のいずれも医療従事者が健康管理―厚労省
新型コロナウイルス感染症、高齢者やLDH高値者で生存率低く、出血合併症に留意したECMO早期実施が重要
日本集中治療医学会と日本麻酔科学会が共同し、新型コロナ患者管理の情報共有や呼吸不全患者管理トレーニング、ICU飽和状態対策など推進
医療機関スタッフが新型コロナ感染等で出勤できず、一時的に施設基準を満たせずとも、変更届を行わず従前の診療報酬を算定して良い―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、検査キット等の考えを2020年度改定の中で明確化―厚労省
新型コロナ陽性でも、軽症者・無症状者は「宿泊療養・自宅療養」の対象に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナウイルスを迅速に検出する機器、国立国際医療研究センター病院など16施設に配置―経産省
医療従事者の新型コロナ感染、必要性を認めた場合には積極的に検査実施を―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、体外診断用医薬品や検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用踏まえ、検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
各都道府県で「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」設定など早急に進めよ―厚労省

各都道府県に「新型コロナ感染患者の診療拠点となる公立・公的病院」を設置せよ―四病協
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省

新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、検査キット等を明確化―厚労省
新型コロナ感染防ぐため、在宅自己注射する患者等への「電話等での指導や衛生材料等支給」認める―厚労省
新型コロナ感染予防のため全医療機関外来で標準予防策を講じ、新型コロナ患者診療では必要な装備着用を―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会

公立・公的病院等の再編・統合に向けた再検証、新型コロナ受け事実上の期限延長―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、診療報酬の疑義解釈を提示―厚労省
新型コロナ、疫学的関連性が把握できない程度の感染拡大から「概ね3か月後」に患者数ピーク―厚労省
新型コロナ感染疑い患者、院内で移動型エックス線装置を用いたエックス線撮影を認める―厚労省
新型コロナウイルス検出のためのPCR検査、3月6日から保険適用―厚労省
新型ウイルス対策、WAMの資金貸付の強化や診療報酬等の柔軟対応の周知徹底を―日病・相澤会長
新型コロナ対応、緊急開設医療機関で「届け出月からの基本診療料算定」、大病院で「電話での外来診療料算定」可能―厚労省
新型コロナ患者増加状況踏まえ、一般医療機関での外来診療、一般病院の一般病床での入院医療を段階的に進める―厚労省
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省
公立病院における新型コロナ感染症への医療提供体制の充実を要請―高市総務相
「互いに手を伸ばせば届く距離で、多くの人が会話等で一定時間以上続く」環境が新型コロナ感染リスクを高める―厚労省専門家会議
新型ウイルス感染拡大防止に向け、イベント開催の必要性検討、「社員等が休みやすい環境」整備を―加藤厚労相
新型コロナウイルス感染に関する相談者・受診者増に対応するため、相談センターや特別外来の体制等充実を
新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省



新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長



新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構



DPC対象病院、「医療の質向上」と「経営の質向上」とを両立―中医協総会