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2017年度、社会保障費の伸びを5000億円に抑えよ、達成できなければ翌年度に付け回す―財政審建議

2016.11.18.(金)

 財政制度等審議会が17日、来年度(2017年度)の予算編成などに向けた建議を麻生太郎財務大臣に宛てて行いました(財務省のサイトはこちら)。

 我が国の財政を健全化させるため、「社会保障関係費の伸びを5000億円に抑えるべき」と改めて訴え、経済財政諮問会議が策定した改革工程表の前倒し実施や、検討項目の実施を行うよう求めています。

 また、消費増税によって行うべきとされていた社会保障の充実については、「給付と負担のバランスを考えれば、行うべきではない」としています。

社会保障費の伸び抑制に向け、高額療養費見直しなど具体案を提言

 安倍晋三内閣が一昨年(2014年)6月に閣議決定した「経済・財政再生計画」(財政健全化計画)では、2016-18年度の3年間を「財政健全化計画の集中期間」に位置付け、社会保障費の伸びを、高齢化に伴う計1.5兆円程度に抑制させることを「目安」に掲げました。来年度(2017年度)は、この中間年に当たり、財政審は、社会保障費の伸びを年平均の「5000億円」に抑える必要があるとしています。また、2017年度に「目安」に沿った歳出削減を達成できない場合、「その負担は2018年度に付け回される」ことも確認しています。

 財政審では、この「目安」に沿った歳出削減を達成するために、医療・介護について具体的な改革提言も行っています。

 改革の基本的な視点としては、(1)負担能力に応じた負担(2)大きなリスクへの保険給付の重点化(3)高齢化の進展を踏まえた医療・介護提供体制の確保(4)公定価格の適正化・包括化などを通じた、より効率的な医療・介護サービスの提供―の4点を掲げています。

 (1)の「負担能力に応じた負担」では、▼70歳以上の高額療養費制度の見直し(70歳未満と同水準の上限設定や、外来特例の廃止)▼高額介護サービス費の見直し(医療保険制度との均衡を図るなど)▼後期高齢者の保険料軽減特例の見直し▼金融資産などを考慮した負担▼介護納付金における総報酬割の導入―が具体案として提示されています。いずれも、社会保障審議会の医療保険部会介護保険部会で議論されており、近く結論が出されます(関連記事はこちら)。

 

 (2)の「給付の重点化」に関しては、▼入院時の居住費負担の導入▼スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付の見直し▼軽度の要介護者における自己負担割合の引き上げ▼軽度者に対する福祉用具貸与の限定▼軽度者の通所介護(特に報酬の高い小規模型通所介護)の市町村の地域支援事業への移行―などが具体的に提言されています。

 軽度者への給付を薄くし、重症者や重度の要介護者への給付を手厚くすることで、保険本来の機能を維持するという考え方に基づくものと言えますが、介護保険部会などでは「軽度者への給付を制限すれば重度化を招き、本末転倒である」という批判も少なくありません(関連記事はこちら)。今回の建議が、医療保険部会や介護保険部会の議論にどう影響するのか注目する必要があります(関連記事はこちら)。

 

 また(3)の医療・介護提供体制については、▼かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入▼地域医療構想の実現に向けた、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の定量的基準の明確化▼地域医療構想の実現に向けた民間医療機関への機能転換命令権限など、都道府県知事の権限強化▼介護療養からの「新たな転換先」への移行促進▼都道府県別の診療報酬(高齢者医療確保法第14条)の実現に向けたガイドライン整備▼医師偏在の是正に向けた国・都道府県の権限強化(保険医の配置・定数設定など)▼医療費の地域差を見える化した、医療費適正化計画への活用▼介護費の地域差分析と給付の適正化―など、多くの具体案が提示されました。

 このうち「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担」などは、医療保険部会で猛反対の意見が圧倒的多数を占めていますが、今回の建議が、今後の議論にどれだけ影響するのかが気になります。

 

 さらに(4)の効率的な医療・介護に関しては、▼高額薬剤の薬価見直しと、適正使用ガイドラインの作成▼費用対効果評価の本格導入▼生活習慣病治療薬の処方ルール設定(ファーストチョイスルールなど)―を提案しています。このうち高額薬剤の1つであるオプジーボについては、16日の中央社会保険医療協議会で「薬価を50%引き下げる」ことが決まっています。

  

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