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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

特発性多中心性キャッスルマン病など6疾患、指定難病に追加へ―指定難病検討委員会

2017.10.31.(火)

 特発性多中心性キャッスルマン病を新たに指定難病に加え、Aハプロ不全症など5疾患を「既存の指定難病に統合する」形で指定難病に加えてはどうか―。

 10月31日に開催された、厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」でこういった見解が固められました。2018年度から、医療費助成の対象となる指定難病は厚生労働省告示上「331疾患」となる見込みです。

10月31日に開催された、「第22回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

10月31日に開催された、「第22回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

1疾患と新規に指定難病といて追加、5疾患を既存疾患に含める形で追加

 ▽発症の機構が明らかでない▽治療方法が確立していない▽希少な疾病である▽長期の療養が必要である—という要件を満たす「難病」のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達しない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たす『指定難病』は、患者の置かれている状況に鑑み医療費助成が行われます。

 研究班や関係学会の提出した情報をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会で「指定難病の要件を満たすか否か」を判断し、2017年度までに330疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患2017年4月実施分:24疾患)が医療費助成の対象となっています。

 今般、新たに「2018年度から指定難病に追加してはどうか」という、いわば候補が61疾患、研究班や関係学会から情報提供され、指定難病検討委員会で審議。その結果、6疾患が「指定要件を満たす」と判断されています。

 まず、「特発性多中心性キャッスルマン病」新たに指定難病に追加する疾患として認められました。▽リンパ節腫脹▽肝脾腫▽発熱▽倦怠感▽盗汗▽貧血▽皮疹▽浮腫▽胸腹水▽腎障害▽間質性の肺病変▽肺高血圧症▽関節痛▽脳梗塞―などの多彩な症状を呈する疾患で、本邦における患者数は約1500人と推定されます。

また次の5疾患については、指定難病の要件を満たすことが確認されましたが、既存の指定難病と統合する(既存指定難病の一部として統合、あるいは既存指定難病を包含する形で統合)ことが認められました。

▼A20ハプロ不全症(自然免疫系に関わる遺伝子異常を原因として、新生児期から20歳までの若年期に発症する、▽周期性・遷延性発熱▽反復性口腔内アフタ▽皮疹▽関節痛▽外陰部潰瘍▽消化管潰瘍▽ぶどう膜炎―などのベーチェット病様が生涯にわたり続く疾患。推定患者数は100人未満)
→【遺伝性自己炎症疾患】(指定難病の告示番号325)の1疾患とする

▼関節型若年性特発性関節炎(16歳未満に発症した、原因不明の6週間以上持続する慢性関節炎で、成人期に至った患者の30-50%で関節変形が見られ、日常動作困難や咬合不全などの原因となる。2-20%は進行性で、約3%は車いす・寝たきり状態となる。推定患者数は約3000人)
→【全身型若年性特発性関節炎】(同107)と統合し、【若年性特発性関節炎】と告示病名を見直す

▼自己免疫性後天性凝固第V/5因子(F5)欠乏症(血液が凝固するために必要なタンパク質であるF5が先天性・遺伝性ではない理由で著しく減少し、止血栓ができにくくなり、自然にあるいは軽い打撲でも重い出血を起こす疾患。推定患者数は約200人)
→【自己免疫性後天性凝固因子欠乏症】(同288)の1疾患とする

▼ジュベール症候群関連疾患(脳幹の形成以上を特徴とする28亜型がある疾患で、乳児期には筋緊張低下、呼吸障害が見られ、早期から精神運動発達遅滞があり、▽網膜欠損・変性▽腎障害▽口腔内以上▽指の奇形-などが生じ、亜型の1つである『有馬症候群』では腎不全のために透析・移植が必要となる。推定患者数は100人未満)
→【有馬症候群】(同177)を包含する【ジュベール症候群関連疾患】とする(告示病名の見直し)

▼先天性声門下狭窄症(出生直後から呼吸困難・障害を来し、しばしば救命のために緊急的な気管内挿管・気道切開が必要で、気管孔や気管切開チューブに関わる症状が生じる危険性が、常に継続する疾患。推定患者数は約1000人)
→【先天性気管狭窄症】(同330)と統合する(告示病名についてはさらに検討)

 
 10月31日の指定難病検討委員会では、これら6疾患を医療費助成の対象疾患とすることが了承されましたが、診断基準や重症度を判断するための分類などについて整理を行うこと(既存指定難病の書きぶりと整合を図る)や、関係学会の了承を得ることなどの注文が付きました。次回会合(11月13日予定)で診断基準などの見直し案が提示され、委員会レベルでの正式了承となる見込みですが、学会了承などに時間がかかる場合には後ろにずれこむことも考えられます。

指定難病の診断に必要な遺伝子検査、保険収載時期や点数に課題も

 なお指定難病の診断基準に関連して、「一部疾患では遺伝子検査が必須となっている」点にさまざまな意見が出されています。指定難病と診断されるためには、臨床症状や検査所見などから「(当該疾病であることが)明確」(Definite)や「(当該疾患の)可能性が高い」(Probable)と判断されることが必要です。一部の疾患では「遺伝子検査」により、該当遺伝子の変異を確認することが必須要件とされているものもあります(例えば、今般、追加が決定した「A20ハプロ不全症」は遺伝子検査による変異が要件となっている)。

この点、「指定難病の診断に必須」とされている遺伝子検査はすべて保険収載されます(医科点数表 D006-4【遺伝学的検査】:3880点)が、▼診療報酬改定の狭間に指定難病に追加された疾患では、保険収載が遅れてしまう(次の改定を待たなければいけない)▼設定された点数では、検査に必要な費用を賄えないことがある(検査業者や病院の持ち出しが生じてしまう)▼我が国で当該検査を実施する事業者がないケースもある(海外で検査しなければならないケースや、研究者の研究室で実施され精度管理に疑問符が付くケースもある)—といった課題があると宮坂信行委員(東京医科歯科大学名誉教授)らから指摘がなされました。

厚労省健康局難病対策課では「厚労省保険局医療課と連携して早期の保険収載を目指す」と説明するとともに、以前には「遺伝子検査がどこで実施されているのか、リスト作成する」見解も表明するなど、「異例の迅速な対応」(水澤英洋委員長:国立精神神経医療研究センター病院長)をしています。円滑な遺伝子検査の実施体制を構築するために、さらなる検討・対策が求められていると言えるかもしれません。

 
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