有床診、2017年末で7218施設・9万838床に減少―医療施設動態調査(2017年12月)
2018.2.28.(水)
昨年(2017年)11月末から12月末にかけて、病院の病床数は1065床も減少。有床診療所は、前月から18施設・149床減少し、7218施設・9万8388床となった―。
このような状況が、厚生労働省が2月28日に公表した医療施設動態調査(2017年12月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。有床診は、このペースで減少すると今年(2018年)8月には7000床を切ってしまいます。
有床診、「月28施設弱」のペースで減少、2018年8月には7000施設を切る見通し
厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。
昨年(2017年)12月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9171施設で、前月末から143施設減少しました。このうち病院の施設数は、前月末から7施設減少して8404施設となりました。病院の種類別に見ると、▼一般病院:7347施設(前月比7施設減)▼精神科病院:1057施設(同増減なし)—という状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3787施設で前月末から3施設減少、「地域医療支援病院」は557施設で前月から変更ありません。
一方、医科診療所は10万1903施設で前月から78施設減少しました。うち有床診療所は、前月から18施設減少し、7218施設となりました。
なお、前月と比べて無床の医科診療所が60施設、歯科診療所が58施設減少した点も気になります。今後の動向などを踏まえる必要があるでしょう。
有床診療所は、2年前(2015年12月末)には7864施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年12月末)には7550施設(厚労省のサイトはこちら)であったので、2015年12月末から16年12月末までの1年間で314施設、さらに昨年(2017年)12月末までの次の1年間で332施設減少しています。有床診療所の施設数は、2016年12月末以降、次のように推移しています。
▼2016年12月末:7550施設
↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
↓(17施設減)
▼2017年7月末:7363施設
↓(21施設減)
▼2017年8月末:7342施設
↓(25施設減)
▼2017年9月末:7317施設
↓(56施設減)
▼2017年10月末:7261施設
↓(25施設減)
▼2017年11月末:7236施設
↓(18施設減)
▼2017年11月末:7218施設
この1年間は、1か月当たり28施設弱のペースで減少が続いています。このペースで進めば、今年(2018年)8月には7000施設を切ることになります。
有床診病床は前月から149床減、病院病床は1065床減
医療施設の病床数(ベッド数)に目を移してみましょう。
医療施設全体では昨年(2017年)12月末で165万3544床となり、前月末から1214床も減少しました。このうち病院の病床数は155万5092床で、前月末から1065床減少しています。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1144床(前月比465床減)▼療養病床:32万5373床(同486床減)▼精神病床:33万1528床(同136床減)—などという状況です。原因を詳しく見ていく必要があるでしょう。
一方、有床診療所の病床数は前月末から149床減少し、9万8388床となりました。2年前(2015年12月末)には10万6294床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年12月末)には10万2450床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年12月末までの1年間で3844床、昨年(2017年)12月末までの次の1年間で4062床減少しています。2016年12月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。
▼2016年12月末:10万2450床
↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
↓(221床減)
▼2017年7月末:10万19床
↓(282床減)
▼2017年8月末:9万9737床
↓(206床減)
▼2017年9月末:9万9531床
↓(688床減)
▼2017年10月末:9万8843床
↓(306床減)
▼2017年11月末:9万8537床
↓(149床減)
▼2017年11月末:9万8388床
この1年間、1か月当たり340床弱のペースで減少が続いています。病院と有床診療所では機能も大きくことなりますが、ベッド数のみに着目して「毎月、1施設ずつ340床の病院が閉鎖している」と考えると、減少ペースの速さが実感できます。
有床診療所減少の大きな要因は、やはり「厳しい経営環境」と言えるでしょう。しかし、地域包括ケアシステムの中で、「在宅医療の拠点」「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療提供」などの機能を果たす有床診療所は重要な役割が期待され、経営の安定化を考える必要があります。そこで中央社会保険医療協議会、社会保障審議会・介護給付費分科会などは、2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定において、有床診療所の「地域包括ケアモデル」(医療・介護併用モデル)での運用を支援することを決めました。
例えば、診療報酬で「介護サービスを提供する有床診療所では、報酬の高い入院基本料1-3までの要件を緩和し、要介護者の入院受け入れを、新たに【介護連携加算】として評価する」ことや(関連記事はこちら)、介護報酬で「利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしていると見なす」ことなどの見直しが行われます(関連記事はこちら)。
これらの見直しは今年(2018年)4月以降に適用されるため、効果を確認できるまでにはしばらく時間がかかりますが、今後の動向をしっかりと見ていく必要があるでしょう。
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