有床診療所の減少続く、2018年度同時改定で歯止めがかかるのか―医療施設動態調査(2017年11月)
2018.2.6.(火)
昨年(2017年)10月末から11月末にかけて、病院の一般病床数が309床増加した一方で、療養病床は320床減少した。また有床診療所は、前月から25施設・306床減少し、7236施設・9万8537床となった―。
このような状況が、厚生労働省が2月5日に公表した医療施設動態調査(2017年11月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。
目次
有床診、前月から25施設減少し、2017年11月末は7236施設に
厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。
昨年(2017年)11月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9314施設で、前月末から13施設増加。うち、病院の施設数は、前月末よりも3施設減少して8411施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7354施設(前月比2施設減)▼精神科病院:1057施設(同1施設減)—という状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3790施設で、前月末から3施設減少し、「地域医療支援病院」は557施設で、同じく1施設増加しました。
一方、医科診療所は10万1981施設(前月比12施設増)で、うち有床診療所は7236施設となり、前月末から25施設減少しています。
有床診療所は、2年前(2015年11月末)には7905施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には7575施設(厚労省のサイトはこちら)あったので、2015年11月末から16年11月末までの1年間で330施設、さらに昨年(2017年)11月末までの1年間で339施設減少しています。有床診療所の施設数は、2016年11月末以降、次のように推移しています。
▼2016年11月末:7575施設
↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
↓(17施設減)
▼2017年7月末:7363施設
↓(21施設減)
▼2017年8月末:7342施設
↓(25施設減)
▼2017年9月末:7317施設
↓(56施設減)
▼2017年10月末:7261施設
↓(25施設減)
▼2017年11月末:7236施設
この1年間は、1か月当たり28施設強のペースで減少が続いています。後述するように、2018年度診療報酬改定によってこの流れが止まるのか、今後の調査結果に注目する必要がります。
有床診療所のベッド数、前月から306床減少し、2017年11月末には9万8537床に
次に、医療施設の病床数を見てみましょう。医療施設全体では昨年(2017年)11月末で165万4758床あり、前月末と比べて780床減少。このうち病院の病床数は155万6157床で、前月末から474床減少しました。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1609床(前月比309床増)▼療養病床:32万5859床(同320床減)▼精神病床:33万1664床(同380床減)—などという状況です。
一方、有床診療所の病床数は前月末から306床減少し、9万8537床となりました。2年前(2015年11月末)には10万6890床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には10万2737床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年11月末までの1年間で4153床、昨年(2017年)11月末までの1年間で4200床減少しています。2016年11月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。
▼2016年11月末:10万2737床
↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
↓(221床減)
▼2017年7月末:10万19床
↓(282床減)
▼2017年8月末:9万9737床
↓(206床減)
▼2017年9月末:9万9531床
↓(688床減)
▼2017年10月末:9万8843床
↓(306床減)
▼2017年11月末:9万8537床
この1年間、1か月当たり350床のペースで減少が続いています。
介護サービスを提供する有床診療所、高い報酬の要件緩和や加算の新設で経営を下支え
ところで、有床診療所の減少が続く要因の1つは、厳しい経営環境だと指摘されます。有床診療所の中でも、とくに「在宅医療の拠点」「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療提供」などの機能を果たす施設は、地域包括ケアシステムの重要な構成要素となります。そこでは、厚労省は2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定において、有床診療所の「地域包括ケアモデル」(医療・介護併用モデル)での運用を支援する考えです。
診療報酬では、▼介護サービスを提供する有床診療所では、報酬の高い入院基本料1-3までの要件を緩和する▼介護サービスを提供する有床診療所で、要介護者の入院受け入れを、新たに【介護連携加算】として評価する▼在宅復帰機能の高い有床診療所を評価する【有床診療所在宅復帰機能強化加算】について、平均在院日数要件を緩和する—といった見直しが行われます(関連記事はこちら)。
また介護報酬では、▼食堂を持たない有床診療所でも、短期入所療養介護事業所の指定を受けられるよう要件を緩和する▼利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしていると見なす―などの見直しが行われます(関連記事はこちら)。
こうした見直しが有床診療所経営にどのように影響するのか、さらに有床診療所数の減少に歯止めがかかるのか、今後の動向に注目する必要があります。
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