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2018年度の医療費、前年度比0.8%と低水準の伸びだが、改定影響除外すれば例年並み―厚労省

2019.9.27.(金)

 昨年度(2018年度)の医療費は、前年度に比べて3400億円・0.8%増加し、42兆6000億円となった―。

 こういった状況が、厚生労働省が9月26日に発表した「医療費の動向」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年度の状況に関する記事はこちら、前々年度の状況に関する記事はこちら)。

「薬価制度抜本改革」を含めた2018年度の診療報酬改定により、医療費の伸び率は低水準にとどまっていますが、「改定の影響を除外すれば、医療費の伸び率は例年並みで、医療費は依然として増加傾向にある」と厚労省保険局調査課の仲津留隆課長は9月27日の社会保障審議会・医療保険部会で説明しています。

2018年度医療費は42兆6000億円で、伸び率は0.8%と低水準

 昨年度(2018年度)の医療費は42兆6000億円で、前年度に比べて3400億円・0.8%の増加となりました。国民1人当たりで見ると33万7000円で、前年度に比べて4000円・1.0%の増加となっています。

 
 今般発表された数値は、国民医療費の98%に該当する「概算医療費」と呼ばれるもので、労災や全額自己負担などの費用は含まれていません。したがって来秋(2021年)に公表される予定の「2018年度国民医療費」は43兆5000億円(42兆6000億円÷0.98)程度になると見込まれます(関連記事はこちらこちら))。

 医療費の伸び率の推移を見てみると、▼2013年度:2.2%増(2012→13)▼2014年度:1.8%増(2013→14)▼2015年度:3.8%増(2014→15、関連記事はこちら)▼2016年度:0.4%減(2015→16、関連記事はこちら)▼2017年度:2.3%増(2016→17、関連記事はこちら)▼2018年度:0.8%増(2017→18)—という状況です。2015年度には、画期的なC型肝炎治療薬のハーボニーやソバルディの登場によって医療費が大きく伸び(関連記事はこちら)、2016年度には、その反動(ハーボニーやソバルディの影響が消滅)によって医療費が減少に転じました(関連記事はこちら)。昨年度(2017年度)には、こうした影響がなくなり、従前の水準に戻りましたが、2018年度には再び伸び率が鈍化しています。

この最大の要因として、前述したように「薬価制度抜本改革」を含む診療報酬が2018年度に行われたことがあげられます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

2018年度の診療報酬改定率はネット(全体)でマイナス1.19%(診療報酬本体:プラス0.55%、薬価:マイナス1.65%、材料価格:マイナス0.09%)となっており(こちら)、これが「なかった」と仮定すれば、2018年度の医療費伸び率は0.8+1.19の「1.99%」と推測できます。

2014年度以降の医療費伸び率を平均するとプラス1.875%で、ほぼ同水準となることから、厚労省保険局調査課の仲津留課長は「改定の影響を除外すれば、医療費の伸び率は例年並みで、医療費は依然として増加傾向にある」と9月27日の社会保障審議会・医療保険部会で説明しています。2019年度以降の医療費の動向にも注目する必要があります。

75歳以上の後期高齢者医療費、1人当たり医療費(単価)はマイナス0.3%

 また昨年度(2018年度)の医療費を制度別に見てみると、▼主に会社員とその家族が加入する被用者保険が13兆1000億円(本人7兆1000億円、家族5兆30000億円)▼主に自営業者などが加入する国民健康保険が10兆9000億円▼75歳以上の後期高齢者が加入する後期高齢者医療が16兆4000億円▼公費が2兆1000億円―となっています。

 それぞれについて前年度からの伸び率を見ると、▼被用者保険が2.1%増(本人2.7%増、家族増減なし)▼国保が2.7%減▼後期高齢者医療が2.4%増▼公費が0.1%増となりました。アベノミクスの効果により景気が上向いたことなどから、「国保加入」から「被用者保険加入」へのシフトが生じ、▼被用者保険の医療費増加(加入者増)▼国保の医療費減少(加入者減)につながったと推測できます。

 また、制度別に1人当たり医療費を見ると、▼被用者保険が16万9000円(前年度に比べて1.4%増)で、うち本人が16万円(同1.2%増)、家族が16万6000円(同1.0%増)▼国保が35万3000円(同1.3%増)▼後期高齢者医療が93万9000円(同0.3%減)―という状況です。

 
 高齢化の進展によって75歳以上人口が増加していきます。また、高齢になれば若人と比べて傷病にかかる頻度がどうしても高くなり、1人当たり医療費は若人の2.6-5.5倍程度と高くなります。1人当たり医療費の高い高齢者が増加するため、後期高齢者医療費全体は当然、膨らんでいきます。

しかし、1人当たり医療費の「伸び率」を見てみると、現役世代の1.2-1.4%増に比べ後期高齢者では0.3%減と低い水準となっていることが分かります。この背景には、▼重複受診・頻回受診の是正▼在院日数の短縮—などといった「医療費適正化」対策が功を奏していると考えられ、さらに昨年度(2018年度)からは新たな医療費適正化計画がスタートし(関連記事はこちら)ました。あわせて、高齢者の保健事業(フレイル対策など)と介護予防事業とを一体的実施(これにより健康寿命を延伸し、ひいては医療費を適正化させることが狙い)する方針が固まっており(2019年の健康保険法等改正)、今後、後期高齢者医療費のさらなる適正化が見込まれると予想されます(関連記事はこちらこちら)。

調剤の1日当たり医療費は前年度から3.6%減

 次に診療種類別に医療費を見てみると、▼医科入院が17兆3000円(医療費全体の40.6%、前年度に比べ0.4ポイント拡大)▼医科入院外が14兆6000億円(同34.2%、同0.1ポイント拡大)▼歯科が3兆円(同7.0%、0.1
ポイント拡大)▼調剤が7兆5000億円(同17.6%、同0.7ポイント縮小)▼訪問看護が2600億円(同0.6%、同0.1ポイント拡大)―などとなっています。

 診療種類別医療費の対前年度伸び率は、▼医科入院が2.0%増(3400億円増)▼医科入院外が1.0%増(1500億円増)▼歯科が1.9%増(600億円増)▼調剤3.1%減(2400億円減)▼訪問看護が17.0%増(同400億円増)―などという状況です。

 
 また、受診延日数(「延べ患者数」に相当)の伸び率を診療種類別に見ると、▼全体では前年度に比べて0.5%の減少▼医科入院では0.4%の減少▼医科入院外で0.8%の減少▼歯科では0.1%の減少▼調剤では0.6%の増加―となっています。

一方、診療種類別の1日当たり医療費を見ると、▼全体では1万6700円(前年度に比べて200円・1.3%増)▼医科入院が3万7100円(同900円・2.4%増)▼医科入院外が8900円(同200円・1.9%増)▼歯科が7100円(同100円・2.1%増)▼調剤が8900円(同300円・3.6%減)▼訪問看護が1万1300円(同200円、1.7%増)―となりました。

1施設当たり医療費の伸び率、大学病院で4.2%、公的病院で2.8%

 次に、医療機関の種類別に1施設当たり医療費を見てみましょう。「1施設当たり医療費」は、「医療機関1施設当たりの収益」と読み替えることができます(ただし、保険診療収入以外の収益が別途ある点に留意)。大学病院で大きく伸びている一方で、個人病院が大きく減少しており、2018年度診療報酬改定が「急性期の大規模病院に有利に働いた」と読むことができそうです。

▽大学病院:188億8457万円(前年度に比べて7億5598万円・4.2%増)

▽公的病院:55億5446万円(同1億5057万円・2.8%増)

▽法人病院:17億8816万円(同4127万円・2.4%増)

▽個人病院:7億1687万円(同2954万円・4.0%減)

▽医科診療所:1億165万円(同5万円・0.1%増)

▽歯科診療所:4174万円(同89万円・2.2%増)

▽保険薬局:1億2895万円(同584万円・4.3%増)

 
 また病院の種類別に昨年度(2018)年度の推計平均在院日数を見てみると、▼大学病院では15.4日(前年度に比べて0.3日短縮)▼公的病院では18.4日(同0.1日短縮)▼法人病院では47.1日(同0.3日短縮)▼個人病院71.0日(同0.7日短縮)―などとなっています。

この数字からは、▼(当然とも言えるが)大学病院・公的病院は急性期に特化▼法人病院の中には、「急性期主体」の病院や「回復期・慢性期に軸足を置いている」病院など、さまざまな形態がある―ことが伺えるでしょう。

 

平均在院日数、最長は高知、最短は東京で、20日超の格差

 なお、昨年度(2018年度)の推計平均在院日数を都道府県別に見ると、最長は高知県の43.6日(前年度に比べて0.1日延伸)で、ほか▼山口県42.1日(同0.3日短縮)▼鹿児島県41.9日(同0.1日短縮)―などで長くなっています。

一方、最短は東京都の23.5日(同0.2日短縮)で、ほか▼神奈川県23.9日(同0.1日短縮)▼愛知県24.8日(同0.3日短縮)―などで短くなっています。

 
 最長の高知県と最短の東京都との間には、20.1日間の差異があり、前年度よりも0.3日広がってしまいました。患者の疾患構成や重症度が、都道府県間でそれほど変わるとは考えにくく、「病床利用率・稼働率を維持するために在院日数のコントロールしている」可能性が伺われます。

在院日数の短縮は、「院内感染」「ADL低下」のリスクを低下させ、患者の早期社会復帰(職場復帰を含めて)を可能にする、つまり「医療の質」を高める効果があります。「在院日数が短縮し、新規患者獲得をしても、なお病床稼働率が低下してしまう」場合には、病床数が地域ニーズを超えている(オーバースペックになっている)可能性も考えられ、「病床数の適正化」を真剣に考える時期に来ていると言えます(関連記事はこちら)。

 
 
 

 

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