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医師働き方改革、「新たな医療提供体制に向かうチャンス」の可能性も―社保審・医療部会

2019.12.10.(火)

12月9日に開催された社会保障審議会・医療部会でも、2020年度の次期診療報酬改定「基本方針」を了承しました。2024年4月から適用される「医師の働き方改革」を診療報酬でも下支えしていく方針が確認されていますが、その内容は中央社会保険医療協議会の論議を待つ必要があります(これまでの基本方針策定に関する医療部会議論の記事はこちらこちらこちら)。

また、「医師の働き方改革」について検討会の状況が報告されましたが、委員からは「地域医療の崩壊」を懸念する声が数多くでるとともに、「まず地域の医療提供体制の在り方を議論すべき」との注文も付いています。

12月9日に開催された、「第71回 社会保障審議会 医療部会」

医療部会でも、2020年度診療報酬改定基本方針を了承

繰り返しお伝えしていますが、2006年度の診療報酬改定から、▼改定基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で決定する▼改定率を内閣が予算編成過程で決める▼基本方針と改定率を受け、中央社会保険医療協議会(中医協)で改定内容を詰める―という役割分担が行われています。かつては中医協の所掌範囲・権限があまりに大きくなりすぎ、診療報酬改定をめぐって汚職事件が生じてしまった点を反省した権限分担です。

すでに医療保険部会では11月28日に基本方針案を了承しており、今般、医療部会での了承も得られました。今後、最終の文言調整を医療部会の永井良三部会長(自治医科大学学長)と医療保険部会の遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所所長)と厚生労働省で実施。正式には、年明け1月中旬頃の「諮問」の段階で中医協に厚生労働大臣から「基本方針」が示されます。

12月9日の医療部会には、厚労省保険局医療介護連携政策課の山下護課長から基本方針案が提示され、これに基づいた議論が行われました。医療保険部会で了承されたものと同じ内容で、改定の基本的視点と具体的方向性については(1)医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進(2)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現(3)医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4項目が立てられ、うち(1)「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」について、2024年4月から、すべての勤務医に罰則付きの新たな時間外労働上限(原則960時間以内、救急科や研修医などでは厳格な要件の下で1860時間以内)が適用されることなどに鑑み、2020年度改定の【重点課題】に据えています。

医療部会に提示された基本方針案

2020年度診療報酬改定基本方針の概要(社保審・医療部会1 191209)



こうした基本方針案に対し、費用負担者を代表する河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事から、再度、「医師の働き方改革のみが【重点課題】に据えられたことは残念である」「制度の安定性・持続可能性を十分に踏まえた診療報酬改定とすべき」との指摘がなされましたが、他に目立つ反対意見は出ていません。

もっとも、木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長)や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)から、「昨今、診療報酬本体について『医師の人件費』と報道されることが多く、大きな違和感を覚える。医療体制全般のコストを賄うものであるという点について、国民全体に広く理解してもらいたい」と指摘。

また猪口雄二委員(全日本病院協会会長)と加納繁照委員(日本医療法人協会会長)は、基本方針には盛り込まれていない「入院時の食事」について、中医協で十分に議論してほしいと改めて要請しています。とくに猪口委員は「近い将来、給食業者が業務停止せざるを得ない事態が生じる可能性があるほどの人手不足に陥っている。病院だけでなく、介護施設においても、対応を早急に考えなければいけない」と求めました(関連記事はこちらこちら)。

中医協でも、個別テーマの方向性見直し論議は終盤に入っており、今後、より具体的な点数・要件等論議が進められます。

医師の働き方改革、「地域医療の崩壊」を懸念する声も少なくない

また12月9日の医療部会には、厚労省医政局医事課の佐々木健課長から「医師の働き方改革の推進に関する検討会(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)」「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会(関連記事はこちらこちらこちら)」の状況が詳しく報告されました。

前者の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、2024年4月からの勤務医に対する新たな時間外労働上限適用に向けて、▼いわゆるB・C水準医療機関(960時間を超える時間外労働が極めて厳格な要件の下で認められる)の指定の仕組み▼長時間労働となる医師の健康を確保するための仕組み(勤務間インターバルや産業医等による面接指導など)―の議論を続けており、12月2日の会合では「兼業・副業において、面接指導等をどの医療機関が担当するか」などの方向を固めました。

この点、医療部会では「医師の働き方改革によって地域医療が崩壊してしまうのではないか」との声が複数出されました。

例えば自治体の首長である遠藤直幸委員(全国町村会、山形県山辺町長)と久喜邦康委員(全国市長会、埼玉県秩父市長)は「地方、とくに離島や中山間部などでは医療従事者の絶対数が少なく、タスク・シフティングなどにも限界がある。勤務医の新たな労働時間規制によって、地域医療が崩壊するのではないかと強く心配している」とコメント。

関連して相澤孝夫委員(日本病院会会長)や今村聡委員(日本医師会副会長)は、「まず我が国の医療提供体制の在り方をきちんと議論する場を設けるべきではないか。地域には『本当にそれほど多くの医師を抱える必要があるのか』と疑問符が付く医療機関もあり、あるべき医療機関の姿をまず固め、そのうえで医師の配置等を考える必要がある。それをせずにパッチワーク的に細かな部分部分の議論を重ねても意味がないのではないか」と指摘。これに対し佐々木医事課長は「医療部会こそが、我が国の医療提供体制の在り方を考える場であり、医療部会の意見は検討会にも伝え、検討会の議論は医療部会に報告している」旨を説明し、理解を求めました。

なお松原由美委員(早稲田大学人間科学学術院准教授)は「我が国の医療提供体制の問題・課題が、今般の医師の働き方改革で一気に噴出する。現在の医療提供体制を維持しようとすれば地域医療は崩壊に向かってしまうが、新たな医療提供体制の構築に向けて動くのであれば、良い方向に進むチャンスでもある」と指摘。例えば、我が国では先進諸国に比べて「人口当たりの医療機関数、ベッド数が多すぎる」と指摘されます。これは「医療へのアクセス」という面では有利ですが、「医師1人1人の負担が大きくなる」「医療の質確保が困難になる」「高コストになる」という大きなデメリットもあります。これらが、医師の働き方改革という、言わば「黒船」によってどのように変化するのか、我が国の医療は大きな転換点に来ていると言えるでしょう。



このほか12月9日の医療部会では、▼眼の水晶体に係る被曝限度等の見直し▼臨床研究中核病院の承認要件見直し―の2点を了承しています。見直し内容は下図表のとおりとなりました。

水晶体被曝の限度基準見直し内容1(社保審・医療部会2 191209)

水晶体被曝の限度基準見直し内容2(社保審・医療部会3 191209)

臨床研究中核病院の承認要件見直し内容(社保審・医療部会5 191209)



前者(眼の水晶体被曝限度の見直し)については2021年4月より施行されますが、教育研修などを考慮し「2年間の経過措置」が置かれます。

水晶体被曝の限度基準見直しスケジュール(社保審・医療部会4 191209)

 
 

 

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2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



妊産婦の診療に積極的な医師、適切な要件下で診療報酬での評価に期待―妊産婦保健医療検討会



2020年度診療報酬改定、「ネットで2%台半ば以上のマイナス、本体もマイナス」改定とせよ―財政審



2020年度診療報酬改定、院内調剤と院外処方の格差是正し病院薬剤師業務の適切な評価を―日病協
人件費・材料費の高騰で入院患者への食事提供コストも高まり、病院・業者を圧迫―四病協



医師の兼業・副業で労働時間は当然「通算」、面接指導等の健康確保措置は主務病院が担当―医師働き方改革推進検討会
B・C指定に向け、医師労働時間短縮状況を「社労士と医師等」チームが書面・訪問で審査―医師働き方改革推進検討会
高度技能習得や研修医等向けのC水準、「技能獲得のため長時間労働認めよ」との医師の希望が起点―医師働き方改革推進検討会(2)
地域医療確保に必要なB水準病院、機能や時短計画、健康確保措置など7要件クリアで都道府県が指定―医師働き方改革推進検討会(1)
2021年度中に医療機関で「医師労働時間短縮計画」を作成、2022年度から審査―医師働き方改革推進検討会(2)
長時間勤務で疲弊した医師を科学的手法で抽出、産業医面接・就業上の措置につなげる―医師働き方改革推進検討会(1)
1860時間までの時間外労働可能なB水準病院等、どのような手続きで指定(特定)すべきか―医師働き方改革推進検討会



医師・看護師等の宿日直、通常業務から解放され、軽度・短時間業務のみの場合に限り許可―厚労省
上司の指示や制裁等がなく、勤務医自らが申し出て行う研鑽は労働時間外―厚労省

医師働き方の改革内容まとまる、ただちに全医療機関で労務管理・労働時間短縮進めよ―医師働き方改革検討会



医師から他職種へのタスク・シフティング、「B・C水準指定の枠組み」に位置付けて推進―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
診療放射線技師による造影剤注入や臨床検査技師による直腸機能検査など、安全性をどう確保すべきか―医師働き方改革タスクシフト推進検討会
医師から他職種へのタスク・シフティング、「業務縮減効果大きく、実現しやすい」業務から検討―医師働き方改革タスクシフト推進検討会



現行制度の整理・明確化を行うだけでも、医師から他職種へのタスク・シフティングが相当進む―厚労省ヒアリング
医師から他職種へのタスク・シフティング、特定行為研修推進等で医療の質担保を―厚労省ヒアリング
フィジシャン・アシスタント(PA)等、医師会は新職種創設に反対するも、脳外科の現場医師などは「歓迎」―厚労省