Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

新型コロナ対策の基本的対処方針を緊急事態宣言踏まえ改訂、「3つの密」を避け、医療提供体制を強化

2020.4.9.(木)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍晋三内閣総理大臣が4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行いました。爆発的な感染拡大(いわゆるオーバーシュート)を防止し、収束へと向かうめに、▼埼玉県▼千葉県▼東京都▼神奈川県▼大阪府▼兵庫県▼福岡県―の7都府県を対象として、「外出等の自粛」「3つの密(密閉、密集、密接)を避ける」ことなどを要請するとともに、医療提供体制の確保(とりわけ重症者への入院医療体制確保)を目指すものです。

これに伴い、政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(3月28日に新型コロナウイルス感染症対策本部決定)が改訂されました(以下、基本的対処方針)(内閣官房のサイトはこちら)。

患者増等見据え、「一般医療機関での外来診療」や「一般病床での感染患者受け入れ」を

基本的対処方針は、「国民の生命を守るため、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を的確に把握し、政府・地方公共団体・医療関係者・専門家・事業者を含む国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策をさらに進めていくための対策を現時点で整理し、対策を実施するにあたって準拠となるべき統一的指針」という位置づけです。

まず、これまでの諸データを踏まえて新型コロナウイルスには、例えば次のような特徴があると再確認。
▽特に、(1)密閉空間(換気が悪い)(2)密集場所(多くの人が密集)(3)密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)―という3条件(いわゆる「3つの密」)のある場で感染拡大のリスクが高い

▽WHO(世界保健機関)によれば、現時点で潜伏期間は1-14日とされ、厚生労働省では「濃厚接触者については14日間にわたり健康状態を観察する」こととしている

▽新型コロナウイルスに感染すると、発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い

▽中国における報告(2020年3月9日公表)では、新型コロナウイルス感染症の入院期間の中央値は11日間と、季節性インフルエンザの3日間よりも長くなる

罹患しても約8割は軽症で経過し、また感染者の8割は人への感染はない。入院例も含めて治癒する例も多い

▽重症度としては、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高い。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い



こうした特徴を持つ疾患に対しては、▼正しい情報の積極的な提供と共有▼サーベイランス(監視)・情報収集▼蔓延防止(外出自粛やテレワーク(在宅勤務)の推進など)▼医療の充実・強化▼経済・雇用対策▼人権への配慮や物資・資材(例えばマスク)の供給等―などに総合的な対策をとる必要があることを強調。

このうち「医療」に関しては、次のような対応をとるよう厚労省や都道府県等に指示しています。

【地域ごとの柔軟な医療提供体制の確保】
●現行

▽「帰国者・接触者相談センター」「帰国者・接触者外来」により、適切な感染管理を行った上で、新型コロナウイルス感染症が疑われる患者への外来医療を提供する
▽医師の判断により検査を実施し、感染患者が認められた場合には、「感染症指定医療機関等への入院勧告・措置」を実施し、適切な医療を提供する

●患者が増加し「重症者等に対する入院医療の提供に支障を来たす恐れあり」と判断する都道府県
▽厚労省に相談の上、「重症者等に対する医療提供に重点を移す」観点から、入院治療が必要ない軽症者等は自宅療養とし、電話や情報通信機器を用いて遠隔で健康状態を把握していくとともに、医師が必要とした場合には「電話や情報通信機器を用いて診療を行う体制」を整備する(関連記事はこちらこちら
▽軽症者を自宅療養とする際、「高齢家族や基礎疾患を有する家族等への感染の恐れがある」場合には、宿泊施設等での療養を行うことや、同居家族が一時的に別の場所に滞在することなど、家族内感染のリスクを下げるための取り組みを講じる
▽地方公共団体は、予め「一時的な宿泊施設」(ホテル等)の確保に努め、国はこの取り組みを支援する

●患者が更に増加し「帰国者・接触者外来での医療提供に支障を来たす恐れ」のある地域
▽帰国者・接触者相談センターの体制強化、帰国者・接触者外来の増設、専属的な人材確保など「外来を早急に受診できる体制」を整備する

●さらに患者が増加し「増設した帰国者・接触者外来での医療提供の限度を超える恐れがある」と判断する都道府県
▽厚労省に相談の上、必要な感染予防策を講じた上で、一般の医療機関での外来診療を行う(関連記事はこちら
▽この場合、安易な医療機関受診で感染リスクを高める可能性があることも踏まえ、「症状が軽度である場合は自宅での安静・療養を原則とし、状態が変化した場合に、かかりつけ医等に相談した上で、受診する」よう周知する



【オーバーシュートや感染者の大幅増加を見据えた医療提供体制の確保】
▽「新型コロナウイルス感染症患者を集約して優先的に受け入れる医療機関の指定」など、地域の医療機関の役割分担を行う
▽「結核病床」や「一般医療機関の一般病床」などの活用も検討し、ピーク時の入院患者を受け入れるために必要な病床を確保する
▽医薬品や医療機器、医療資材の製造体制を確保し、必要な医療機関に迅速かつ円滑に提供できる体制を確保する
▽「専門性を有する医療従事者」や「人工呼吸器などの必要な医療機器・物資・感染防御に必要な資材」などを迅速に確保し、適切な感染対策の下での医療提供体制を整備する
▽医療機関では、必要に応じて、医師の判断により「延期が可能と考えられる予定手術や予定入院の延期」を検討する
▽地域の診療所など一般医療機関に勤務している医療従事者の派遣を検討する
▽例えば、重症化しやすい方が来院する▼がんセンター▼透析医療機関▼産科医療機関-などは、必要に応じ「新型コロナウイルス感染症への感染が疑われる方への外来診療を原則行わない医療機関」として設定する
▽仮設診療所・病棟の設置、非稼働病床の利用、臨時医療施設の開設あたり、必要な支援を行う
▽医療提供体制の逼迫・オーバーシュートの発生に備え、「都道府県域を越える場合も含めた広域的な患者の受け入れ体制」を確保する

3つの密の回避や面会制限などで、医療・介護従事者が感染源とならないよう留意

【医療機関・高齢者施設等における施設内感染の徹底的な防止】
▽従事者等が感染源とならないよう、「三つの密」が同時に重なる場を徹底して避ける
▽症状がなくても、患者や利用者と接する際にはマスクを着用し、手洗い・手指消毒の徹底を行う
▽パソコンやエレベーターのボタンなど「複数の従事者が共有するもの」は定期的に消毒する
▽食堂や詰め所で「マスクをはずして飲食をする」場合、他従事者と一定の距離を保つ
▽日々の体調を把握し、少しでも調子が悪ければ自宅待機するなどの対策に万全を期す
▽面会者からの感染を防ぐため、緊急の場合を除き面接を一時中止する
▽患者、利用者からの感染を防ぐため、感染流行地域では▼施設での通所サービスなどの一時利用の中止・制限▼入院患者、利用者の外出、外泊の制限―などの対応を検討する
▽入院患者、利用者等について新型コロナウイルス感染症を疑った場合は、早急に個室隔離し、保健所の指導の下、感染対策を実施し、▼標準予防策▼接触予防策▼飛沫感染予防策―を実施する



【PCR検査や感染患者への入院医療を提供する医療機関等に対し、マスク等の個人防護具を優先的に確保する】



【院内感染防止のために、感染が疑われる医療、施設従事者および院患者等について率先してPCR検査等を受けさせる】



【適切な医療提供・感染管理】

▽オーバーシュート発生に備え、感染症病床等の利用状況を一元的かつ即座に把握可能とする仕組みを構築する
▽外来での感染を防ぐため、医療機関外来で混雑を生じさせないよう、一般患者も含めて▼予約による診療▼動線が適切に確保された休日夜間急患センターの施設活用―などを推進する
▽妊産婦への感染防止の観点から、▼医療機関における動線分離等の感染対策の徹底▼感染が疑われる妊産婦への早めの相談の呼びかけ▼妊娠中の女性労働者に配慮した休みやすい環境整備―などの取り組みを推進する
▽外国人が医療を適切に受けることができるよう、医療通訳の整備などを、引き続き強化する
▽有効な治療薬やワクチン等の開発を加速する
▽特に「他の治療で使用されている薬剤のうち、効果が期待されるもの」について、臨床研究・治験等を速やかに実施する
▽法令に基づく健康診断・予防接種については、適切な感染対策の下で実施されるよう時期や時間等に配慮する



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

【関連記事】

新型コロナ疑い患者の外来診療で【院内トリアージ実施料】、新型コロナ感染患者の入院医療で【救急医療管理加算】等の算定認める―中医協総会

新型コロナへのBCG有効性は未確認、ゼロ歳時へのBCG接種に問題が生じないよう優先供給を―小児科学会・ワクチン学会
新型コロナ軽症者等の宿泊療養でホテル代・食事代は不要、宿泊・自宅療養のいずれも医療従事者が健康管理―厚労省
新型コロナウイルス感染症、高齢者やLDH高値者で生存率低く、出血合併症に留意したECMO早期実施が重要
日本集中治療医学会と日本麻酔科学会が共同し、新型コロナ患者管理の情報共有や呼吸不全患者管理トレーニング、ICU飽和状態対策など推進
医療機関スタッフが新型コロナ感染等で出勤できず、一時的に施設基準を満たせずとも、変更届を行わず従前の診療報酬を算定して良い―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、検査キット等の考えを2020年度改定の中で明確化―厚労省
新型コロナ陽性でも、軽症者・無症状者は「宿泊療養・自宅療養」の対象に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナウイルスを迅速に検出する機器、国立国際医療研究センター病院など16施設に配置―経産省
医療従事者の新型コロナ感染、必要性を認めた場合には積極的に検査実施を―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、体外診断用医薬品や検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用踏まえ、検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
各都道府県で「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」設定など早急に進めよ―厚労省

各都道府県に「新型コロナ感染患者の診療拠点となる公立・公的病院」を設置せよ―四病協
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省

新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、検査キット等を明確化―厚労省
新型コロナ感染防ぐため、在宅自己注射する患者等への「電話等での指導や衛生材料等支給」認める―厚労省
新型コロナ感染予防のため全医療機関外来で標準予防策を講じ、新型コロナ患者診療では必要な装備着用を―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会

公立・公的病院等の再編・統合に向けた再検証、新型コロナ受け事実上の期限延長―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、診療報酬の疑義解釈を提示―厚労省
新型コロナ、疫学的関連性が把握できない程度の感染拡大から「概ね3か月後」に患者数ピーク―厚労省
新型コロナ感染疑い患者、院内で移動型エックス線装置を用いたエックス線撮影を認める―厚労省
新型コロナウイルス検出のためのPCR検査、3月6日から保険適用―厚労省
新型ウイルス対策、WAMの資金貸付の強化や診療報酬等の柔軟対応の周知徹底を―日病・相澤会長
新型コロナ対応、緊急開設医療機関で「届け出月からの基本診療料算定」、大病院で「電話での外来診療料算定」可能―厚労省
新型コロナ患者増加状況踏まえ、一般医療機関での外来診療、一般病院の一般病床での入院医療を段階的に進める―厚労省
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省
公立病院における新型コロナ感染症への医療提供体制の充実を要請―高市総務相
「互いに手を伸ばせば届く距離で、多くの人が会話等で一定時間以上続く」環境が新型コロナ感染リスクを高める―厚労省専門家会議
新型ウイルス感染拡大防止に向け、イベント開催の必要性検討、「社員等が休みやすい環境」整備を―加藤厚労相
新型コロナウイルス感染に関する相談者・受診者増に対応するため、相談センターや特別外来の体制等充実を
新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省



新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長



新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構



DPC対象病院、「医療の質向上」と「経営の質向上」とを両立―中医協総会