新型コロナ感染疑いでも、「生命が危険な状態にある」などの救急患者は速やかな受け入れを―厚労省
2020.4.20.(月)
「発熱、呼吸器症状等がある」など新型コロナウイルス感染症が疑われても、「生命が危険な状態にある」または「速やかに診療を行う必要がある」救急患者については、院内感染対策等を講じ、速やかに受け入れてほしい―。
また、緊急度が高くない場合であっても、基礎疾患や症状の有無等について丁寧に聴取し、都道府県調整本部と調整し、その調整結果に従ってほしい―。
厚生労働省は4月18日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症を疑う患者に関する救急医療の実施について」を示し、こうした点を都道府県や医療現場に依頼しました(厚労省のサイトはこちら)。
「救急患者の受け入れ停止」を避けるため、院内感染対策の徹底を
新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、我が国でも感染患者が急増しています。厚労省は、これまでのデータから「感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっている」ことを明らかにしており、感染患者数の増加は「人工呼吸器による呼吸管理や、集中治療室での集中管理が必要な重症者等の増加」にもつながります。
この点、「新型コロナウイルス感染症が疑われる救急患者」へは、「院内感染対策を十分に行った上で、さらに緊急度や重症度を踏まえながら救命救急医療を実施しなければならない」という、通常よりも格段に困難な対応が求められます。このため、一部に「発熱や呼吸器症状等の新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈している救急患者の搬送先の選定にあたって、非常に時間を要する事例が発生した」ことが報告されています。新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の受け入れを躊躇してしまう救急医療機関が少なくないと推察されます。
厚労省は、「新型コロナウイルス感染症の患者かどうかによらず、必要な救急医療を確実に実施してもらう必要がある」とし、次のような点への協力を都道府県や医療現場に求めています。
(1)「生命が危険な状態にある」または「速やかに診療を行う必要がある」などと考えられる救急患者の受け入れの要請があった際には、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合であっても、院内感染対策等を講じ、速やかに受け入れてほしい
(2)救急患者の受け入れ要請があった際には、「当該患者が発熱、呼吸器症状等がある」ことのみをもって受け入れを断らないでほしい。こうした患者の受け入れ要請があった場合には、従来と同様に基礎疾患や症状の有無等について丁寧に聴取し、新型コロナウイルス感染症を疑う症状を有する場合には、患者の緊急度等を踏まえて、都道府県調整本部と調整し、その調整結果に従ってほしい
(3)「院内感染の発生により救急患者の受け入れを停止せざるを得ない事態」を避けるために、院内感染対策を徹底ほしい。院内感染対策については、厚労省事務連絡「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について(その3)」(4月7日付)を参考にしてほしい
【「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について(その3)」(4月7日付)からの抜粋】
2 医療機関におけるCOVID-19の疑いがある人やCOVID-19患者の診療時の感染予防策
▽COVID-19患者(確定例)、疑似症患者、濃厚接触者のうち何らかの症状を有する者を診察する場合には、▼標準予防策に加え、接触、飛沫予防策を行う▼診察室および入院病床は個室が望ましい▼診察室および入院病床は陰圧室である必要はないが、十分換気する▼上気道の検体採取を実施する場合(鼻咽頭ぬぐい液採取等)にはサージカルマスク、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン(不足の場合はエプロン可)、手袋を装着する▼エアロゾル発生の可能性のある手技(気道吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)を実施する場合にはN95マスク(またはDS2など、それに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、長袖ガウン、手袋を装着する▼患者の移動は医学的に必要な目的に限定する―こととし、受付・案内係・警備員などの職員も標準予防策を遵守する
▽N95マスクの使用に際しては事前のフィットテストと着用時のシールチェックを行い、マスク、ゴーグルまたはフェイスシールド、長袖ガウン、手袋などのPPE(個人防護具)を脱ぐ際の手順に習熟し、汚染されたPPEにより環境を汚染しないように注意する。手指衛生を実施しないまま、自身の眼や顔面を触れない
▽手袋、帽子、ガウン、覆布(ドレープ)、機器や患者環境の被覆材などには、可能なかぎり「使い捨て製品」を使用する。使用後は、専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか、あるいはプラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面を清拭消毒して患者環境(病室など)より持ち出し焼却処理する。リネン類の洗濯にあたっては、通常の摂氏80度・10分間の熱水消毒後、洗浄を行う
【関連記事】
新型コロナ重症者受け入れた場合、救命救急入院料や特定集中治療室管理料を2倍+αに―中医協・総会
新型コロナ重症者対応、臨時に「ICU点数増」「ICU以外での特定集中治療室管理料等算定」など認めよ―集中治療医学会・救急医学会・日病
新型コロナ対策、看護職への危険手当と代替職員確保を実施せよ―日看協
がん患者、透析患者、妊産婦や小児などが新型コロナに感染した場合の医療提供体制を早急に整備―厚労省
サージカルマスクやゴーグルなどの防護具、洗浄・消毒のうえ同一品を複数患者診察等に再利用可能―厚労省
新型コロナ対策、地域の医療提供体制や緊急性など総合的に判断し「予定手術の延期」考慮を―日本外科学会
新型コロナ感染・疑い患者への外来診療を評価する【院内トリアージ実施料】、再来患者でも算定可―厚労省
新型コロナで全国の病院外来制限10.4%、停止0.8%、通常稼働は病院外来88.8%、病院入院91.2%―厚労省・内閣官房
新型コロナ対応、N95マスクは滅菌により2回までの再利用等が可能―厚労省
新型コロナで入院するまでの「自宅待機者」にも医療的フォローアップを、宿泊・自宅療養では感染拡大防止策徹底を―厚労省
新型コロナ対策、臨時特例的に電話等での初診を認め、214点に設定―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、新たな全自動検査機器を4月7日から保険適用―厚労省
新型コロナ軽症等患者の宿泊療養、急性増悪の可能性あり「SpO2低下」に注意を―厚労省
新型コロナ対策、病床確保や人工呼吸器・ECMO整備費等を支援する「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」創設―2020年度補正予算案
新型コロナ対応に医療資源を重点化するため、白内障や低悪性度がん手術などは「延期」要請を―厚労省
新型コロナ緊急事態宣言の実効性高めるため、医療物資調達や感染患者受け入れる医療機関への財政支援を―全国知事会
新型コロナ対策で総額108兆円超の緊急経済対策、病床や人工呼吸器・ECMOの確保、オンライン診療の臨時拡大など推進
新型コロナ対策の基本的対処方針を緊急事態宣言踏まえ改訂、「3つの密」を避け、医療提供体制を強化
新型コロナ疑い患者の外来診療で【院内トリアージ実施料】、新型コロナ感染患者の入院医療で【救急医療管理加算】等の算定認める―中医協総会
新型コロナへのBCG有効性は未確認、ゼロ歳時へのBCG接種に問題が生じないよう優先供給を―小児科学会・ワクチン学会
新型コロナ軽症者等の宿泊療養でホテル代・食事代は不要、宿泊・自宅療養のいずれも医療従事者が健康管理―厚労省
新型コロナウイルス感染症、高齢者やLDH高値者で生存率低く、出血合併症に留意したECMO早期実施が重要
日本集中治療医学会と日本麻酔科学会が共同し、新型コロナ患者管理の情報共有や呼吸不全患者管理トレーニング、ICU飽和状態対策など推進
医療機関スタッフが新型コロナ感染等で出勤できず、一時的に施設基準を満たせずとも、変更届を行わず従前の診療報酬を算定して良い―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、検査キット等の考えを2020年度改定の中で明確化―厚労省
新型コロナ陽性でも、軽症者・無症状者は「宿泊療養・自宅療養」の対象に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナウイルスを迅速に検出する機器、国立国際医療研究センター病院など16施設に配置―経産省
医療従事者の新型コロナ感染、必要性を認めた場合には積極的に検査実施を―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、体外診断用医薬品や検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用踏まえ、検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
各都道府県で「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」設定など早急に進めよ―厚労省
各都道府県に「新型コロナ感染患者の診療拠点となる公立・公的病院」を設置せよ―四病協
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、検査キット等を明確化―厚労省
新型コロナ感染防ぐため、在宅自己注射する患者等への「電話等での指導や衛生材料等支給」認める―厚労省
新型コロナ感染予防のため全医療機関外来で標準予防策を講じ、新型コロナ患者診療では必要な装備着用を―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会
公立・公的病院等の再編・統合に向けた再検証、新型コロナ受け事実上の期限延長―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、診療報酬の疑義解釈を提示―厚労省
新型コロナ、疫学的関連性が把握できない程度の感染拡大から「概ね3か月後」に患者数ピーク―厚労省
新型コロナ感染疑い患者、院内で移動型エックス線装置を用いたエックス線撮影を認める―厚労省
新型コロナウイルス検出のためのPCR検査、3月6日から保険適用―厚労省
新型ウイルス対策、WAMの資金貸付の強化や診療報酬等の柔軟対応の周知徹底を―日病・相澤会長
新型コロナ対応、緊急開設医療機関で「届け出月からの基本診療料算定」、大病院で「電話での外来診療料算定」可能―厚労省
新型コロナ患者増加状況踏まえ、一般医療機関での外来診療、一般病院の一般病床での入院医療を段階的に進める―厚労省
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省
公立病院における新型コロナ感染症への医療提供体制の充実を要請―高市総務相
「互いに手を伸ばせば届く距離で、多くの人が会話等で一定時間以上続く」環境が新型コロナ感染リスクを高める―厚労省専門家会議
新型ウイルス感染拡大防止に向け、イベント開催の必要性検討、「社員等が休みやすい環境」整備を―加藤厚労相
新型コロナウイルス感染に関する相談者・受診者増に対応するため、相談センターや特別外来の体制等充実を
新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省
新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長
新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構