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新型コロナ対策、各医療機関で「セントラルモニタの必要性」「アラーム鳴動時の対応方針」など検討を―PMDA

2020.4.23.(木)

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、生体情報のモニタリングが必要な患者も増加している。予め各医療機関で、「セントラルモニタ等の必要性等をチームで検討しておく」「アラームが鳴動した際の基本的な対応方針を明確にしておく」ことなどが求められる―。

また、電極の粘着力低下を見据えた定期的な交換、電池の低的な交換、電波受信可能な範囲での管理など、医療スタッフの負担が過重にならないような対応も徹底することが必要である―。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は4月17日に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う「PMDA医療安全情報 No.29改訂版(セントラルモニタ、ベッドサイドモニタ等)」を公表。生体情報の集中モニタリングを行うに当たっての、医療事故等発生防止を呼び掛けています(PMDAのサイトはこちら)(臨時号No.1(人工呼吸器等)の記事はこちら、臨時号No.2(気管チューブ等)の記事はこちら)。

「送信機が装着された患者」と「セントラルモニタに設定された患者情報」との確認も

新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、我が国でも感染患者が急増しています。安倍晋三内閣総理大臣は、感染拡大を防止し、医療提供体制を確保するために4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行うとともに、「緊急経済対策」を閣議決定。さらに4月16日には緊急事態宣言の対象を、従前の7都県(▼埼玉県▼千葉県▼東京都▼神奈川県▼大阪府▼兵庫県▼福岡県―)から、全国に拡大しています。

これまでのデータからは「感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっている」ことを明らかにしており、感染患者数の増加は「人工呼吸器による呼吸管理や、集中治療室での集中管理が必要な重症者等の増加」にもつながり、人工呼吸器使用や集中治療に伴う高度機器使用に関連する医療事故の発生リスクも高まることになります。ます。

そこで医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う「PMDA医療安全情報」を順次公表しています。4月17日に公表した「No.29(改訂版)」では、生体情報の集中モニタリングを行うに際して「セントラルモニタ、ベッドサイドモニタ等の取り扱い時の注意」点として以下の6点を整理し、医療安全の確保を呼びかけています。

(1)テクニカルアラームに関する注意点(電極のはがれ)
(2)テクニカルアラームに関する注意点(電池切れ)
(3)テクニカルアラームに関する注意点(受信不良)
(4)送信機の取扱い時の注意点(電源の入れ忘れ)
(5)モニタ設定に関する注意点
(6)ベットサイドモニタ等の適正な使用



まず(1)では、電極が「長期間の使用や患者の発汗など皮膚の状態によって粘着力が低下する」ことを指摘し、「電極の交換時期についてのルールを決め、電極がはがれる前に交換する」ことをアドバイスしています。これにより、電極の剥がれに伴う測定不良を減少することができます

電極の粘着力が落ちることを認識し、定期交換する(PMDA医療安全情報29改訂1 200417)



また(2)では、セントラルモニタに電池交換のマークなどが表示された場合には、テクニカルアラームが鳴ると鳴らないとにかかわらず、速やかに「送信機の電池を交換する」ことが必要と訴えています。早め早めの対応が医療事故防止に向けて極めて重要です。

電池切れがないように定期的に確認を行う(PMDA医療安全情報29改訂2 200417)



一方、(3)では「モニタ用アンテナの受信可能なエリア(病室)を把握しておく」ことを求めています。例えば、モニタ用アンテナから遠い病室で患者のモニタリングを行うと、セントラルモニタが送信機の電波をうまくキャッチできず、頻回に受信不良アラームが鳴ってしまいます。これではスタッフの負担がさらに過重になってしまうため、予め「セントラルモニタが電波を十分にキャッチできる範囲」を把握しておき、その範囲にある病室で患者の管理を行うなどの対策をとることが求められます。セントラルモニタと病室との間に距離がある場合はもちろん、厚い壁がある場合にも電波がうまくキャッチできないことがあるため、事前の確認が重要です。

セントラルモニタが電波受診可能なエリアを事前に確認しておく(PMDA医療安全情報29改訂3 200417)



さらに(4)では、「清拭などのケアのために送信機等の電源を一時的にOFFにした場合」には、▼ケア後に必ず電源をONにする▼セントラルモニタ等にて波形等を確認する―ことの徹底を求めています。いわゆる「うっかりミス」により患者の急変覚知が遅れることを防ぐために、「複数人によるチェック」等を院内でルール化しておくことが重要でしょう。



また(5)では、「送信機が装着された患者とセントラルモニタに設定された患者情報が正しいか確認する」「患者ごとにセントラルモニタを設定する」などの手順を院内で確立しておくことを求めています。モニタリングが必要な患者が複数入院している場合に、複数の患者について設定を同一にしてしまったために「どの患者で異常が生じているのかが瞬時に把握できない」という事態が生じえます。患者の急変覚知が遅れないよう、また医療従事者の負担を過重にしないためにも、重要な視点と言えます。

セントラルモニタと送信機の設定を確認しておく(PMDA医療安全情報29改訂4 200417)



さらに(6)では、予め院内において、▼アラームが鳴動した際の基本的な対応方針を明確にしておく▼セントラルモニタ等の適切な使用のため、必要性等をチームで検討しておく―ことを求めています。

例えば、「同時に複数名のアラームが鳴動したために一旦すべてのアラームを中断。アラームが鳴動した患者に順次対応した際に、緊急性の高い患者への対応が遅れてしまった」という事態が生じえることから、「対応の順序」などを事前に明確にしておくことが重要です。

また多職種によるチームで、患者ごとに「ベットサイドモニタ等の必要性」を検討することも重要です。例えば状態が安定してきた患者に対しては「セントラルモニタを外し、パルスオキシメータに変更する」などを検討することで、「対応の順序」をより明確にすることも可能となります。

一方、「アラームを解除しても頻繁に鳴動する。患者が体を動かしているために鳴動しているのだろう」と思い込み、対応が遅れてしまうという事態が実際に発生しています。こうした事態を防ぐために、患者ごとにアラームの設定を変えることなども重要となってきます。

セントラルモニタの必要性等を事前に多職種チームで検討しておく(PMDA医療安全情報29改訂5 200417)



新型コロナウイルス感染症により高度医療機器を必要とする重症患者が増加する中では、医療スタッフの負担がこれまで以上に大きくなってきています。そうした中では、医療宇スタッフ個々人の負担を軽減することが極めて重要となり、また複数のスタッフで「カバーしあう」ことが求められます。院内でルールを今一度確認するとともに、「ルールを遵守する風土」「互いにチェックしあい、カバーしあう風土」「仮にミスを起こしてしまっても、速やかに報告できる風土(意味のないペナルティなどを課さない)」の醸成が求められています。



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