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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

医学医療の進歩踏まえ、188の指定難病について診断基準見直し議論始まる―指定難病検討委員会

2021.11.25.(木)

医学・医療の進歩を踏まえて、医療費助成の対象となる「指定難病」について診断基準などの見直し(アップデート)を行う―。

11月24日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」で、こういった議論が始まりました。今後、個別疾病の診断基準見直しを非公開で議論し、パブリックコメント等を踏まえて関連告示・通知等の改正が行われます。

学会・研究班が「診断基準改訂案」を固めた188の指定難病が対象

国の定めた要件を満たす「指定難病」については、患者の置かれている厳しい状況に鑑みて、重症の場合には医療費助成が行われます。指定難病の要件は主に次の通りとなっています。
▽発症の機構が明らかでない
▽治療方法が確立していない
▽長期の療養が必要である
▽希少な疾病で、患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない
▽客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している

医療費助成対象となる指定難病の要件



「がん」など他の施策・支援体系が確立されている疾患は指定難病に該当しませんが、「▼髄膜▼脳▼脊髄▼脳神経▼その他の中枢神経系―に発生した腫瘍は、良性であっても『がん登録』の対象となり(がん登録推進法施行令第1条第2項)、指定難病には該当しない」「それ以外の部位に生じた腫瘍は、良性であれば『がん登録』の対象にならず、指定難病に該当する可能性がある(他の要件を満たすことが必要)」など、判断基準の明確化が随時行われてきています(関連記事はこちら)。



疾病が指定難病の要件を満たすか否かは、研究班や学会の提出した情報をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会で判断されます。これまでに339疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合)、2019年7月実施分:2疾患、2021年11月実施分:6疾患)が指定難病に該当すると判断され、一定の重症基準を満たす患者については医療費助成が行われています(ただし1つの疾患に複数病名が含まれているケースもあり、病名ベースでは1000疾患を超過すると考えられる)。

ところで、2019年3月に開催された指定難病検討委員会では「これまでに指定難病として指定された疾患の中でも、調査技術や医療技術の進展などにより『治療効果が大幅に改善』したものもあるため、指定難病に指定されている全疾患について指定後の調査研究の進捗状況などを各研究班に定期的に報告してもらい指定難病検討委員会でフォローする」考えを固めました。既存の指定難病について「真に医療費助成をすべき疾患か」を検証し直す考えと言えます。

この方針を踏まえて今年(2021年)5月の指定難病検討委員会では▼脊髄性筋萎縮症(指定難病の告示番号3)▼重症筋無力症(同11)▼全身性エリテマトーデス(同49)▼発作性夜間ヘモグロビン尿症(同62)▼ウェルナー症候群(同191)▼フェニルケトン尿症(同240)—などの疾患について「診断基準等の見直し」を検討する方針を決定。関係学会等から最新の医学的知見に基づく「診断基準等の改訂案」が示された疾患が対象となります。

さらに今般、下表の188疾患について診断基準見直しの議論がスタートしました。上述のとおり、医学医療の進展を踏まえ学会や研究班で「診断基準等の改訂案」が固められた疾患が対象です。

今後、個別疾患の診断基準等見直しが進められ(公正中立な議論の機会を確保するために非公開で7回程度行われる)、その後、パブリックコメント等を踏まえて関連告示・通知等の見直しが行われます。厚生労働省健康局難病対策課の簑原哲弘課長は「診断基準の見直しは、医療関係者はもちろん、患者・家族にとっても重要なテーマである。エンドユーザー目線での議論」を要請しています。

診断基準の見直しが検討される疾患(その1)(指定難病検討委員会1 211124)

診断基準の見直しが検討される疾患(その2)(指定難病検討委員会2 211124)

診断基準の見直しが検討される疾患(その3)(指定難病検討委員会3 211124)

診断基準の見直しが検討される疾患(その4)(指定難病検討委員会4 211124)

診断基準の見直しが検討される疾患(その5)(指定難病検討委員会5 211124)



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