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「MECP2重複症候群」や「青色ゴムまり様母斑症候群」など38難病、医療費助成すべきか検討開始—指定難病検討委員会

2018.12.17.(月)

 「MECP2重複症候群」や「青色ゴムまり様母斑症候群」、「フォンタン術後症候群」など38の難病について、医療費助成の対象となる指定難病の要件を満たすか否かを検討する—。

 12月13日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」で、こういった検討が始まりました。指定難病の要件を満たすと判断された疾患については、所定の手続きを経た後、来年度(2019年度)中に医療費助成の対象となる見込みです。

12月13日に開催された、「第27回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

12月13日に開催された、「第27回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

 

過去に「指定難病の要件を満たさない」と判断された疾病も、新研究結果等踏まえて審議

 ▽発症の機構が明らかでない▽治療方法が確立していない▽希少な疾病である▽長期の療養が必要である—という要件を満たす「難病」のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たした【指定難病】は、患者の置かれている状況に鑑みて、重症の場合には医療費助成が行われます。

 また、「がん」など他の施策体系が樹立している疾患は指定難病に該当しないこととされていますが、この点、「▼髄膜▼脳▼脊髄▼脳神経▼その他の中枢神経系―に発生した腫瘍は、良性であっても『がん登録』の対象となり(がん登録推進法施行令第1条第2項)、指定難病には該当しない」「それ以外の部位に生じた腫瘍は、良性であれば『がん登録』の対象にならず、指定難病に該当する可能性がある(他の要件を満たすことが必要)」という基準に明確化もなされています(関連記事はこちら)。

医療費助成対象となる指定難病の要件

医療費助成対象となる指定難病の要件

 
 ある疾病が指定難病の要件を満たすか否かは、研究班や関係学会の提出した情報をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会で判断されます。これまでに331疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合))が指定難病に該当すると判断され、一定の重症基準を満たす患者については医療費助成が行われています。

 
今般、指定難病検討委員会には、「2019年度実施分」の候補として、次の38疾患が研究班や関係学会から情報提供されました。この中には、「初めて情報提供された疾患」と「過去に情報提供がなされ、その当時は『指定難病の要件を満たさない』と指定難病検討委員会で判断されたが、新たな研究が進み、再度、情報提供された疾患」とが混在しています。

【神経・筋疾患】(4疾患)
▼MECP2重複症候群:初めての情報提供
▼自己免疫介在性脳炎・脳症:2017年度に情報提供、「発病の機構が明らかでない」「長期療養が必要」の2要件を満たさなかった
▼特発性肥厚性硬膜炎:2016年度に「肥厚性硬膜炎」として情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼ランバート・イートン筋無力症候群:2016年度に情報提供、「発病の機構が明らかでない」の要件を満たさなかった

【皮膚・結合組織疾患】(7疾患)
▼青色ゴムまり様母斑症候群:初めての情報提供
▼家族性化膿性汗腺炎:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼限局性強皮症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼硬化性萎縮性苔癬:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼好酸球性筋膜炎:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼デスモイド型線維腫症:2016年度に「デスモイド線維腫症」として、2017年度に「家族性腺腫性ポリポーシス」として情報提供、「発病の機構が明らかでない」の要件を満たさなかった
▼無汗(低汗)性外胚葉形成不全症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【免疫系疾患】(1疾患)
▼慢性活動性EBウイルス感染症:2017年度に情報提供、「発病の機構が明らかでない」の要件を満たさなかった

【循環器系疾患】(3疾患)
▼川崎病性冠動脈瘤:初めての情報提供
▼フォンタン術後症候群:初めての情報提供
▼不整脈源性右室心筋症(ARVC):2017年度に「催不整脈性右室心筋症(ARVC)」として情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった

【血液系疾患】(4疾患)
▼グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)異常症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼口唇赤血球症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼ピルビン酸キナーゼ(PK)欠乏性貧血:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼不安定ヘモグロビン症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【腎・泌尿器系疾患】(4疾患)
▼低形成腎:2017年度に「先天性腎尿路異常(CAKUT)」として情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼ネフロン癆:2017年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼バーター症候群/ギッテルマン症候群:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼ロウ症候群:2016年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった

【骨・関節系疾患】(1疾患)
▼2型コラーゲン異常症関連疾患:2016年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【内分泌系疾患】(2疾患)
▼インスリン抵抗症(インスリン受容体異常症)A型:2017年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼マッキューン・オルブライト症候群:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【代謝性疾患】(5疾患)
▼1型糖尿病:2016年度に「小児期発症1型糖尿病」として情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼家族性ベータリポタンパク血症ホモ接合体:初めての情報提供
▼極⾧鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸血症:2017年度に「3-ヒドロキシ-3メチルグルタリルCoAリアーゼ欠損症」として情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼ホモシスチン尿症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【呼吸器系疾患】(1疾患)
▼痙攣性発声障害:2016年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった

【消化器系疾患】(3疾患)
▼肝外門脈閉塞症:2016年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった
▼先天性胆道拡張症:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった
▼短腸症:2017年度に情報提供、「発病の機構が明らかでない」「客観的な指標による基準」の2要件を満たさなかった

【視覚系疾患】(1疾患)
▼膠様滴状角膜ジストロフィー:2017年度に情報提供、「長期療養が必要」の要件を満たさなかった

【染色体または遺伝子に変化を伴う疾患】(2疾患)
▼武内・小崎症候群ؙؙؙؙؙؙؙؙؙؙؙؙؙ(先天異常症候群の対象拡大):初めての情報提供
▼ハッチンソン・ギルフォード症候群:2016年度に情報提供、「客観的な指標による基準」の要件を満たさなかった

 
 指定難病検討委員会では、これら38疾患について、詳細に「指定難病の要件を満たしているか」を審議。「全要件を満たす」と判断されれば、来年度(2019年度)中に新たな指定難病として告示され、一定の重症者には医療費が助成されることになります。
 
 
 
 
 
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