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2018年度から医療費助成される指定難病は331疾患に、課題も浮上―指定難病検討委員会

2017.12.26.(火)

 2018年度から、医療費助成の対象となる指定難病について、特発性多中心性キャッスルマン病を新たに指定難病に加え、Aハプロ不全症など5疾患を「既存の指定難病に統合する」形で指定難病に加えることとし、対象疾患を331とする—。

 12月26日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」で、こういった報告書がまとめられました。年明け1月中旬に開催される疾病対策部会での了承を待って、正式決定となります。

 なお、指定難病の対象疾患追加に関する検討の中で様々な課題が浮上してきており、来春(2018年春)から対策の検討を始めることも決まっています。

12月26日に開催された、「第24回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

12月26日に開催された、「第24回 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会」

特発性多中心性キャッスルマン病などを指定難病に追加

▽発症の機構が明らかでない▽治療方法が確立していない▽希少な疾病である▽長期の療養が必要である—という要件を満たす「難病」のうち、▼患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達しない▼客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している—という要件を満たす『指定難病』は、患者の置かれている状況に鑑み医療費助成が行われます。

 研究班や関係学会の提出した情報をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会(以下、検討委員会)で、上記の「指定難病の要件を満たすか否か」を審査しており、2017年度までに330疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患)が医療費助成の対象となっています。

 今般、新たに研究班や関係学会から追加候補としてあげられた61疾患を審査し、6疾患が「指定要件を満たす」と判断されました。このうち、「特発性多中心性キャッスルマン病」は新規追加となり、他の5疾患は、既存の指定難病と統合する形で対象に加えられます。したがって、2018年度から指定難病の対象疾患は331疾患となります(関連記事はこちらこちら)。

(1)特発性多中心性キャッスルマン病→新規追加
(2)A20ハプロ不全症→【遺伝性自己炎症疾患】(指定難病の告示番号325)の1疾患とする
(3)関節型若年性特発性関節炎→【全身型若年性特発性関節炎】(同107)と統合し、【若年性特発性関節炎】と告示病名を見直す
(4)自己免疫性後天性凝固第V/5因子(F5)欠乏症→【自己免疫性後天性凝固因子欠乏症】(同288)の1疾患とする
(5)ジュベール症候群関連疾患→【有馬症候群】(同177)を包含する【ジュベール症候群関連疾患】とする(告示病名の見直し)
(6)先天性声門下狭窄症→【先天性気管狭窄症】(同330)と統合し、【先天性気管狭窄症/先天性声門下狭窄症】する(告示場号は330を維持)

 年明け1月中旬に開催される疾病対策部会での了承を待って、指定難病対象疾患への追加が正式決定され、来年(2018年)4月から医療費助成が適用される見込みです。

指定難病の要件を満たそうとした「疾患情報の切り取り」などの問題も発生

ところで、今般の疾患追加を検討する中で、いくつかの課題が浮上しています。

たとえば、「Aという疾患はがんに発展することが確実で、実質的にがんである」にもかかわらず、「がんに発展することが確実」という部分を切り取ったうえで「指定難病の要件を満たす」と情報提供するような課題が1つあげられます。

「がん」や「精神疾患」「感染症」「アレルギー疾患」などは、別の支援スキーム(がん対策基本法など)が既にあるため、難病対策の対象から除外されます(難病対策は、他の救済策がない疾患に罹患した患者を救済する制度である)。しかし、家族性腺腫瘍ポリポーシスは、「進行してがんになる」ことが確実ですが、そのままでは「がん対策の対象となり、指定難病の要件満たさない」ことから、「いずれがんになる」部分を切り取って、残りの部分が情報提供されました。

検討委員会の審査の中で、この「切り取り」が判明したため、対象への追加は見送られましたが、これが横行すれば審査は極めて非効率になってしまいます。

また、▼「ごく一部の重篤な患者では長期療養が必要だが、ほとんどの患者は軽症で長期療養が不要」という疾患について、「長期の療養が必要である」という要件に合致すると考えるべきか▼がんの施策体系に含まれない疾病(良性腫瘍や前がん状態を呈する疾病)をどう取り扱うべき—という課題も浮上しました。

さらに、後述するように、指定難病の対象に追加された後に、研究が進み「診断基準や重症度分類」が変更される疾患もあります。軽微な変更であれば問題ありませんが、対象範囲に大きな影響を及ぼす重大な変更がなされる場合には、透明性・公平性を確保する必要があります。こうした「重大な変更」については、今後「パブリックコメントを実施するべきではないか」と厚労省健康局難病対策課の担当者は考えています。

検討委員会では、来春(2018年春)から、こうした課題を整理し、対応案を検討していくことを決定しました。

SJSや肺胞低換気症候群など、医学・医療の進展に伴って診断基準などを改訂

 指定難病に罹患しているかどうかは、疾病ごとに定められた「診断基準」に従って医師が判断します。また公費で医療費を助成するという仕組み上、助成対象は重症患者に限定され、疾病ごとに「重症度分類」と、判断基準(医療費助成対象となる重症者の基準)が決められています(いずれも厚労省健康局長通知で規定)。

この診断基準と重症度分類は固定的なものではなく、医学・医療の進歩とともに改訂されていきます。検討委員会では2018年度の対象疾患追加に合わせて、▼亜急性硬化性全脳炎(告示番号24)▼スティーヴンス・ジョンソン症候群(同38)▼高安動脈炎(同40)▼肺胞低換気症候群(同230)▼ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症(同238)▼無虹彩症(同329)―の6疾患について、診断基準・重症度分類を修正することを了承しました。

例えば肺胞低換気症候群については、▽肥満低換気症候群▽先天性中枢性低換気症候群(CCHS)▽特発性中枢性肺胞低換気症候群―に細分化され、診断基準・重症度分類も疾患ごとに細かく設定されなおします。既に「肺胞低換気症候群」と診断された患者は、いずれかの疾患に該当するため、医療費助成が受けられなくなることはありません(肺胞低換気症候群には、ほかに「薬物や物質による睡眠関連低換気」などもありますが、上記以外は指定難病に該当せず、既存診断患者もここには含まれていない)。

またスティーヴンス・ジョンソン症候群では、新たな治療法の開発(中央社会保険医療協議会で、2018年度の次期診療報酬改定に合わせて新治療法の保険収載が検討されている)や診断方法の一部見直しなどが行われています。

なお、診断基準・重症度分類の見直しに伴い、「この患者はこれこれの状態に該当しており、指定難病に該当する」との医師による診断書(臨床調査個人票、通称【臨個票】)の様式も見直されます(ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症は従前どおり)。

さらに、▼パーキンソン病(告示番号6)▼全身性エリテマトーデス(同49)▼潰瘍性大腸炎(同97)―については、「比較的患者数が多く、医師による臨個票記載の負担が大きい」ことから、2018年度より「臨個票の簡素化」が行われる見込みです。

 
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